現地法人が負債を抱えて倒産した場合の親会社の責任

当社が出資している中国現地法人は、複数の日本企業の共同出資となっています。もし当該現地法人が負債を抱えたまま倒産した場合、当社は親会社として負債の責任は発生するのでしょうか。また、発生する場合、その責任の案分はどうなるのでしょうか。

中国の現地法人の名義で発生した債務については、複数日本企業の出資の割合によって、相応する債務を負担する必要があります。債務に責任がないと主張するには、債務の保証に関する契約書に責任がないことを明記したの証明等が必要です。ただし、債務弁済の順序としては、当該現地法人の名義で保証されているため、当該現地法人が債務弁済を⾏うことになります。その後、共同出資している複数の日本企業の間で、当該債務の引き受け方について相談します。
現地子会社に対する日本の親会社の責任は、主に以下の通りです。

≪親会社(株主)に対する連帯責任及び損害賠償責任≫
中国では、有限責任公司であっても日本親会社の負う損害賠償責任は、出資した範囲が上限となっていないことに注意が必要です。以下は中国の「会社法」に規定されている親会社の責任範囲です。
●「会社法」(2023 年 12 月 29 日改正)
株主の権利濫⽤の禁⽌第 23 条 会社の株主が会社法人の独⽴した地位と株主の有限責任を濫⽤し、債務を逃れ、会社の債権者の利益株主がその支配する 2 つ以上の会社を利⽤して前項の規定⾏為を実施する場合、各社はいずれかの会社の債務に対して連帯責任を負わなければならない。株主が 1 人の会社だけで、株主が株主⾃⾝の財産から独⽴していることを証明できない場合は、会社の債務に連帯責任を負わなければならない。
●代理⾏為・越権代表責任
中国の子会社が親会社の代理業務を⾏なっていた場合で、中国の「契約法」には、以下の規定がある。

「⾏為者が代理権なく、代理権の範囲を越え、または代理権終了後、被代理人の名義をもって締結した契約について、相⼿方が⾏為者に代理権があると信じる理由がある時は、当該代理⾏為は有効である」(「契約法」第 49 条)「法人の法定代表者、責任者が権限を越えて締結した契約は、相⼿方がその権限越を知り得たか、または知り得るべき場合を除き、当該代表⾏為は有効である」(「契約法」第 50 条) 

以上