中国の若者の間で“薬食同源+滋養”がブーム

最近、中国の若者の健康意識が高くなり、飲食などで滋養を重視するようになってきたと聞きました。どのような状況なのか、詳しく教えてください。

 最近、中国文化の神髄ともされる「中薬」(=生薬)とお茶を融合させた飲料が、若者の間で“薬食同源+滋養”ブームを巻き起こしています。
 「Z 世代栄養消費動向報告」によると、中国では 18 歳から 35 歳までの若い消費者層が健康・滋養を求める消費者層の 83.7%を占めています。薬食同源に加えて滋養効果のあるものが、日頃、不摂生をしがちな Z 世代消費者に新たに選ばれています。また、飲料ブランドだけでなく、中医学クリニックや製薬企業と連携して立ち上げた店舗は多くの若者を引き寄せ、中薬入り茶飲料の人気ぶりを示しています。

 写真は中国茶系飲料ブランド「奈雪的茶(ナイシュエ)」の商品で、東阿県産の阿膠(オージャオ)という中薬の一種と、ミルクティーを合わせています。
 中薬入り茶飲料が若者に愛される理由として以下の2点が挙げられています。一つは、この種の茶飲料の多くは、ミルクティーによく使われる砂糖の代わりに「羅漢果」や「甘草」などの甘みのある生薬を使用しており、薬の苦味や酸味、渋みを中和して飲み物の風味を保っていること。もう一つは、同時に「体を温めて栄養を補う」効果もあり、手間を省きたい若者の滋養ニーズに応えることで人気を呼んでいます。

阿膠ミルクティー


 一方、中医学クリニックと連携して立ち上げられた店舗では中薬入り茶飲料コーナーを開設し、多くの古典的な中薬の湯剤(漢方薬を水から火にかけ煮詰めた煎じ薬)を茶飲料に配合して、若い来訪者から人気を博しています。また、日常の生活と飲食習慣などに基づいて、一人一人の体質により適した中薬入り茶飲料の処方が可能となりました。その中には“湿気の多さ(体の中の余分な水分)”を調整する除湿茶、“尿酸値の高さ”を調整する尿酸降下茶、“お腹にガスがたまりやすい子ども”に対する消食茶など多種あります。
 さらに、中薬入り茶飲料店舗のほか、中薬入り料理店も多数あります。老舗の称号、“中華老字号(ジョンファ・ラオズハオ)”として有名な中薬の専門店、同仁堂が立ち上げた高級料理店や柳州市の広西中医学病院によるレストランなどがあり、健康を重視する人々の“食堂”になることを目標としています。
 中高年層と比べると、若い世代の滋養を重視する行動と薬食同源の考え方も絶えず進化しているのです。

 

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