今週のトピックス(2025年6月)
2025年6月18日
■中国、5月小売売上高6.4%増に拡大 家電など好調
国家統計局が16日発表した5月の社会消費品⼩売総額(⼩売売上⾼)は前年同月比6.4%増加した。伸び率は4月の5.1%から拡大した。政府の買い替え補助⾦の恩恵で家電や通信機器などが好調だった。⼩売売上⾼は百貨店やスーパーの売り上げ、インターネット販売を合計したものだ。家電・音響映像機器は53.0%増、パソコンなどの通信機器は33.0%増だった。同日発表の5月の⼯業生産は5.8%増加したものの、伸びは4月の6.1%増から縮⼩した。主要産品の生産量をみると⼯業用ロボットは35.5%増えた。3Dプリンター設備も40.0%増えたが、粗鋼は6.9%減少した。
■中国の対米レアアース輸出再開、「6カ月の期間限定」観測
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは11日、米中協議の関係者の話として、中国によるレアアース(希土類)の輸出再開は6カ月の期限つきの措置になる⾒通しだと報じた。中国側が貿易交渉の切り札を手元に残すためだとの⾒方が出ている。米中は9〜10日にロンドンで閣僚級協議を開いた。報道によると、中国側は両国首脳の署名後すぐに米国企業の申請を認めることで合意した。米国はレアアースの提供の⾒返りとして、ジェットエンジンやプラスチックの製造に使われ
るエタンなどの中国への販売に関する規制を緩和するという。
■中国がアフリカ53カ国にゼロ関税、連携強化で米国けん制
中国外交部は11日、中国と国交があるアフリカ53カ国(アフリカ54カ国中、台湾と国交のあるエスワティニ王国︓旧スワジランドを除く)から輸⼊する製品に「ゼロ関税」特例を適用すると発表した。湖南省⻑沙市で同日開催された「中国アフリカ協⼒フォーラム」閣僚級会議に対し、習近平・国家主席が寄せた祝賀メッセージの中で宣⾔した内容として明らかにしたもの。アフリカの発展途上国が中国への輸出をより円滑に⾏えるよう⽀援し、双方のパートナーシップ関係を強化する考えを示した。
■テンセント系音楽配信会社、同業を買収 総額約3500億円
中国ハイテク大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)傘下の音楽配信会社テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(TME)は10日、同国のオーディオ配信プラットフォーム、喜⾺拉雅(シマラヤ)を現⾦と株式を合わせて約24億ドルで買収すると発表した。 TMEは現⾦と、発⾏済み株式総数の5.2%を上限とするクラスA株で12億6000万ドルを⽀払う。
■奇瑞がLGエナジーと電池供給契約、「円筒形」6年調達
中国の奇瑞汽⾞はこのほど、韓国の⾞載電池大手、LGエナジーソリューションとバッテリー供給契約を締結した。契約期間は6年間で、約12万台の電気⾃動⾞に搭載できるバッテリーを供給する。LGエナジーは次世代円筒形電池「46シリーズ」を供給する。従来の製品に比べ、出⼒は5倍、容量は6倍以上改善された。 ⼯程の単純化を通じて生産コストも大幅に下げたという。
2025年6月11日
■中国消費者物価、5月0.1%下落 4カ月連続マイナス
中国国家統計局が9日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月⽐で0.1%下落した。マイナスは4カ月連続で、下落幅は4月から横ばいだった。中国経済は内需不足を背景としたデフレ圧⼒が続いている。品目別に⾒ると、食品・たばこ・酒は0.1%上昇した。中国の食卓に欠かせない豚肉が3.1%上がる一方、牛肉は0.1%低下。酒類も2.0%下がった。激しい価格競争が起きている⾃動⾞などの乗り物は3.4%下落し、マイナス傾向が続いた。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは0.6%上昇した。4月から0.1ポイント拡大した。
■中国発EVトラック「Windrose」、フランス工場建設へ 欧州事業拡⼤に拍⾞
フランスのマルク・フェラチ産業・エネルギー担当大臣はこのほど、中国の大型電動トラックメーカー「葦渡科技(Windrose Technology)」が 1 億7500万ユーロ(約290億円)を投じ、同国東部のオルナンに⻑距離EVトラックの生産拠点を建設すると明らかにした。葦渡科技は、電気を動⼒源とする大型スマートトラックのトータルソリューションを手掛ける。中国国内の主要拠点は安徽省合肥市、江蘇省蘇州市、⾹港にあり、欧州本部をベルギーのアントワープに置く。2024年7月にはプレIPOラウンドでベルギーの政府系ファンドから2億ドル(約290億円)を調達した。
■中国の対米輸出35%減 5月、高関税の影響残りマイナス幅拡⼤
中国税関総署が9日発表した5月の貿易統計(ドル建て)によると、米国への輸出額は前年同月⽐35%減だった。マイナス幅は4月の21%減から拡大した。米中が5月中旬に互いに追加関税を115%引き下げた後も影響が残った。5月の対米輸出は288億ドル(約4兆1400億円)で、落ち込み幅は新型コロナウイルスの流⾏が始まった2020 年2月(54%減)以来の大きさだった。
■小鵬、ファーウェイのディスプレー採用 ARで運転情報を表示
電気⾃動⾞(EV)新興の⼩鵬汽⾞(シャオペン)は5日、EVに通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)の拡張現実(AR)を使ったディスプレーを採⽤すると発表した。フロントガラスに運転に関わる情報を表示する。同技術はEV事業を手掛ける⼩米(シャオミ)も搭載を決めるなど中国で拡大しつつある。このシステムは、華為のハードウェアと⼩鵬のソフトウェアを統合し、ナビゲーションや運転支援機能を強化しています。新しいヘッドアップディスプレイシステムは、87イン- 3チのパノラマ画像を特徴としており、複数の⾞線にわたって情報を投影し、8つの異なる運転シナリオをカバーすることができるという。
■米スタバ、中国で飲料100円前後値下げ 地元勢との競争激化
米コーヒーチェーン大手のスターバックスは9日、中国で茶系飲料などの価格を5元(100円)前後値下げすると発表した。消費者の節約志向が強まり、低価格帯の飲料を提供する蜜雪氷城(ミーシュエ・グループ)など地元勢との競争が激化している。価格⾒直しで中国事業をテコ入れする。
2025年6月4日
■⽶中、貿易協議停滞で非難の応酬 レアアース規制・学生ビザ取り消し
⽶中による貿易協議の停滞を巡り両国が非難を強めている。中国商務省は2日、トランプ⽶⼤統領が「中国が5月の⽶中合意を破った」と批判したことに反発した。⽶国による留学⽣ビザ(査証)取り消しなどが合意に反すると強調した。⽶中はスイスで開いた閣僚級協議の合意に基づき、5月14日に互いに課し合った追加関税を115%引き下げた。
■中国景況感、5月も50割れ 関税摩擦緩和でも受注低調
中国国家統計局が31日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5だった。前月より0.5ポイント⾼かったが、2カ月連続で好調・不調の境目である50を下回った。⽶国の関税引き下げ後も先⾏き不安で受注が伸び悩んだ。PMIは製造業3200社を対象に調べる。
■中国首相、河野洋平氏らと面会 ⽶対抗へ「中⽇協⼒を」
河野洋平元衆院議⻑ら日本国際貿易促進協会(国貿促)の訪中団は3日、北京で中国の李強(リー・チャン)⾸相と⾯会した。国貿促によると李⽒は関税措置を続ける⽶国に対抗するため「中日両国はさらに協⼒を深めるべきだ」と訴えた。李強⾸相はアメリカのトランプ政権の関税措置について、「世界各国への挑戦と受け⽌めている。中日両国はさらに協⼒を深め、対抗していくべきだ」と訴えました。
■中国、⽇本産水産物輸入の⼀部再開で合意
中国政府は、福島・宮城・茨城など10都県を除く37道府県の水産物に限り、輸⼊再開手続きを開始した。東京電⼒福島第⼀原発の処理水海洋放出(2023年8月開始)を受け、中国が日本産水産物の輸⼊を全⾯停⽌していたが、昨年9月の段階的再開合意を具体化した。日本側は放射性物質(セシウムに加え、新たにストロンチウム・トリチウム)の検査証明書を添付。加工施設の中国当局への再登録が必要で、手続き完了まで数か月を要する⾒通し。
■NVIDIAの中国向け廉価AI半導体、価格3割安
ロイター通信は27日までに⽶エヌビディアが中国向けに廉価版の⼈工知能(AI)半導体を発売する計画だと報じた。4月に⽶政府が輸出規制の対象に加えた「H20」の代替品となる。⽶規制に合わせて性能を落とし、従来の中国向けの主⼒品と⽐べ価格を3割程度安くした。6月にも量産を始める予定だという。
■小⽶、1〜3月の純利益2.6倍 スマホや白物家電の販売好調
中国スマートフォン⼤手の小⽶(シャオミ)は27日、2025年1〜3月期の純利益が前年同期⽐2.6倍の108億元(約2200億円)だったと発表した。4四半期連続で増益だった。中国政府による補助⾦政策が寄与し、主⼒のスマホや利益率の⾼い⽩物家電の販売が好調だった。