中国輸出装置における防爆規制とCCC認証対応

IPA(イソプロピルアルコール)を使用する危険な乾燥ユニットを中国へ輸出するにあたり、どのような防爆規制が適用され、どのような試験やレポート報告が必要になるのか教えてください。

 中国へ可燃性蒸気[IPA(イソプロピルアルコール)など]の発生を伴う装置を輸出・納入する場合、ユーザーの安全を確保するため、極めて厳格な法的要件が課されます。中国では装置内部の危険な場所で使用される電気部品に対して、「CCC-Ex(防爆製品強制認証)」取得品の選定・使用が事実上義務付けられており、これを客観的に証明するための試験レポートが必要となります。

1. 防爆規制の法的根拠(なぜ対応が必要か)
 対応が必須となる法的根拠は、主に以下の「法律」と「行政の運用ルール」の組み合わせから成り立っています。

安全生産法 第36条第1項:
 安全設備(防爆機器を含む)の設計、製造、設置、使用等は「国家標準(GB)または業界標準」に適合しなければならないと定めており、ユーザー(工場側)に対して法的な適合義務を課しています。

国家市場監督管理総局(SAMR)公告2019年第34号:
 本公告により、2019年10月1日から防爆電気機器が「強制性製品認証(CCC認証)」の管理範囲に編入されました。1年間の移行期間を経て、2020年10月1日以降は、CCC認証を取得せず認証標志を表示していない製品は、中国国内での出庫、販売、輸入、およびその他の経営活動での使用が全面的に禁止されています。
 すなわち、「法令上、国家標準に適合した機器を使わなければならない(安全生産法)」+「国家標準への適合を証明する手段がCCC認証である(SAMR公告)」という二段構えの法規制により、CCC-Ex認証への対応が必須となります。

2. 適用される国家標準(GB規格)と危険場所の分類
具体的に準拠すべき主要な国家標準は以下の2つです。

GB 50058-2014(爆発危険環境電力装置設計規範):装置内部や排気系のどの部分が「危険場所(Zone 0/1/2)」に該当するかを特定・分類します。IPAの爆発下限界(LEL)は2.0 vol%であり、これを超える高濃度環境は、最も危険度の高いZone 0またはZone 1に分類される可能性が高くなります。

GB/T 3836シリーズ(爆発性環境):危険場所で使用する電気機器の防爆構造(耐圧防爆、本質安全防爆など)を定めた規格です。規格番号に「/T(推奨・任意)」が付いていますが、CCC認証制度の試験基準として法的に指定されているため、実質的には「強制規格」として扱われます。なお、新版のGB/T 3836-2021シリーズが2022年5月1日に施行されており、現在の防爆CCC認証は新版標準に基づいて実施されるため最新版への準拠が必要です。

3. 必要な試験・レポートおよび実務対応ステップ
実務上のポイントは、装置全体で一つの防爆認証を取得するのではなく、「危険場所内に設置される個々の電気部品(ヒーター、センサー、モーター等)」がCCC-Ex要件を満たしているかを証明することです。具体的には、以下の対応と技術文書の準備が求められます。

危険場所分類図の作成:
GB 50058 に基づき、装置のどの部分がZone 0/1/2に該当するかを明確に図示します。

電気部品のCCC-Ex認証確認:
危険場所に設置される全ての電気部品をリスト化し、それぞれがCCC-Ex認証を取得しているか確認・選定します。

精密検証試験とレポートの作成:
装置から排出または漏洩する可燃性蒸気の濃度が、中国の安全基準(例えばLELの25%以下など)を下回る安全な設計であることを客観的に証明する必要があります。実務においては、職業衛生規格である「GBZ/T 300.84-2017(工作場所空気有毒物質測定 第84部分:甲醇、丙醇和辛醇/旧GBZ/T 160.48を部分的に置換)」等に準拠したガスクロマトグラフィーによるサンプリング試験を実施し、公式な試験報告書を作成することが推奨されます。

連続監視システムの導入:
万が一の漏洩に備え、GB/T 50493-2019(石油化工可燃気体和有毒気体検測報警設計標準)の警報設定基準(一級警報:LELの25%以下、二級警報:LELの50%以下)に適合するガス検知警報器を設置し、安全性を二重に担保します。

 中国では防爆認証未取得の部品を使用すると、税関での差し止めや顧客工場での操業停止、さらには処罰のリスクに直結します。まずは専門機関と連携し、「危険場所の特定と濃度試験の実施」、そして「使用部品のリスト化とCCC-Ex 認証の確認」を早急に進めることが、確実なコンプライアンス対応への第一歩となります。

  以上