今週のトピックス(2025年4月)

2025年4月30

■宝山の24年通期、38%減益 輸出量過去最⾼も価格下落

中国鉄鋼最⼤手の宝山鋼鉄が26日発表した2024年12月期通期決算は、純利益が前の期比38%減の73億元(約1400億円)だった。減益は3期連続。輸出量は過去最高だったが、販売価格の下落の影響で減収減益となった。宝鋼は世界最⼤手の中国宝武鋼鉄集団傘下の企業。売上高は7%減の3221億元で、2期連続で減収だった。国内、海外ともに7%減となった。

■中国、政府債の発⾏前倒し指⽰ 貿易摩擦で景気下⽀え

中国共産党は25日、中央政治局会議を開き超⻑期の特別国債や地⽅政府によるインフラ債(専項債)の「発⾏と活⽤を加速する」と打ち出した。米国との貿易摩擦が激化するなか、政府債の発⾏前倒しで補助⾦などを増やし、景気を下支えする。

■1Q中国スマホ出荷7090万台で5%増、小米が10年ぶり⾸位浮上

2025 年第1四半期(1〜3月)の中国スマートフォン出荷台数が前年同期比5%増の7090万台に伸びた。政府の補助⾦政策や消費者⼼理の回復に支えられている。メーカー別では、⼩米集団(シャオミ・コーポレーション)が10年ぶりに1位に浮上した。上位の出荷台数は、⼩米が1330万台(前年同期比40%増)でシェア19%を占め、前四半期の4位から1位に浮上した。2位は華為技術(ファーウェイ)で、出荷台数が1300万台(同12%増)、シェアが18%となっている。

■中国、新型エネ貯蔵の新設容量世界最多、24年は全国43.7GW/109.8GWh

中国の新型エネルギー貯蔵設備の新規設置容量が3年連続で世界最多を独⾛した。年間の新規設置は、2024年に43.7GW(4370万kW)/109.8GWh(1億980万kWh)にまで拡⼤している。世界全体の新規設置に占める比率は約6割に達した。総容量は揚⽔発電を初めて超え、今年2月末時点で全国合計7500万kWを上回っている。北京市内で開催された「第13回エネルギー貯蔵国際サミット・展示会(ESIE 2025)」の報告内容として、中国政府系メディアが伝えた。

■百度が新⽣成AI、DeepSeekの6割安 検索離れに危機感

中国ネット⼤手の百度(バイドゥ)は25日、⽣成AI(⼈⼯知能)を支える基盤モデルを刷新すると発表した。新興のDeepSeek(ディープシーク)のモデルの25〜40%に相当する低価格を実現したという。主⼒のネット検索の広告収入がAIアプリの台頭で落ち込んでおり、巻き返しを図る。

■BYDの25年1〜3⽉、純利益2倍 PHV販売台数76%増

中国⾃動⾞⼤手の比亜迪(BYD)が25日発表した2025年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比2倍の91 億元(約1800億円)だった。同期間の増益は5期連続。電気⾃動⾞(EV)やプラグインハイブリッド⾞(PHV)の販売が増えた。為替差益を計上したことも増益に寄与した。売上高は36%増の1703億元だった。売上高の8割を占める⾃動⾞関連事業が好調だった。(今週のサマリーを参照)

2025年4月23

■中国、米国産の鶏肉輸入8割減・牛肉2割減関税発動で

中国税関総署が20日発表した3月の貿易統計(ドル建て)の詳報によると、⽶国から輸⼊した鶏⾁は前年同月⽐で8割減った。中国が3月から15%の追加関税を課したのが影響したとみられる。トランプ⽶政権は合成麻薬の密輸を理由に、2〜3月に中国からの輸⼊品に計20%の追加関税を発動した。中国も報復措置として⽶国産の鶏⾁や⽜⾁、綿花などに10〜15%の追加関税を課した。

■バイトダンス・アリババなど中国企業、NVIDIAのAI半導体を大量確保

アリババ集団や字節跳動(バイトダンス)、騰訊控股(テンセント)など中国の⼤手ネット企業が、⽶エヌビディアの人⼯知能(AI)半導体「H20」を⼤量に確保していることが23日までにNikkei Asiaの取材でわかった。H20は4月に⽶政府による輸出規制の対象となっており、中国企業規制前から十数億ドル相当の在庫を確保し、⽶規制に備えていた。

■⾹港市場、中国企業の上場「避難所」に 1〜3⽉調達額前年⽐3.8倍

香港の新規上場公開(IPO)市場が活気を取り戻している。2025年1〜3月のIPOに伴う資⾦調達額が前年同期⽐3.8倍の182億香港ドル(約3300億円)と世界4位になった。中国当局が本⼟市場での新規上場を抑制しているため、本⼟企業の上場が相次いだ。トランプ⽶政権次第では⽶国市場に上場する中国企業が締め出され、香港に再上場するとの⾒⽅もある。

■中国消費品博の低空⾶⾏機(空⾶ぶタクシーや物流ドローン)

海南省で開催された第5回中国国際消費品博覧会では、「低空経済」分野が初めて展示され、空⾶ぶタクシーや物流用ドローンが注目を集めた。eVTOLを開発する御風未来は5人乗りの純電動タクシーを初公開し、広州億航などの無人航空機も実用化に向けた認証を取得。物流分野では、過酷な環境下でも稼働可能なスマート無人機が紹介さた。

■フォード、米国生産⾞の中国輸出停⽌ 米中関税応酬受け

⽶フォード・モーターが⽶国⽣産⾞の中国への輸出を停⽌したことが分かった。⽶紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が18日報じた。フォードは年間5000台程度を中国に輸出している。トランプ⽶⼤統領が中国に⾼関税を発動し、中国も報復関税を発動したことを受け、関税によるコストを回避する。

■ファーウェイ、上海汽⾞と新エネ⾞ブランド 中価格帯で

中国通信機器⼤手のファーウェイと国有⾃動⾞⼤手の上海汽⾞集団は16日、新エネルギー⾞の共同ブランドを⽴ち上げると発表した。今秋の発売をめざす。ファーウェイは中国⾞メーカーと4つの新エネ⾞ブランドを展開しているが、初の中価格帯ブランドになるとみられる。

2025年4月16

■中国、1〜3月実質GDP5.4%増 生産が堅調に推移

中国国家統計局が16日発表した1〜3⽉の国内総⽣産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期⽐5.4%増えた。2024年10〜12⽉の5.4%増と伸びは同じだった。⽣産が堅調に推移したが、不動産関連は引き続き低迷した。先⾏きは⽶国による対中追加関税が重荷となる。

■中国、レアアース輸出を一時停⽌ 製錬も国有⼤手に限定

中国政府はハイテク製品に必要なレアアース(希土類)の統制を強化する。4日に7種類を輸出規制の対象に加えたほか、製錬⼯程を国有⼤手に限定する。⽶国が製錬を中国に依存しているのを逆手にとり、同国との関税を巡る対⽴に備える。

■中国、出前ドライバーの待遇改善急ぐ 保険加入など

中国当局が出前サービスや商品の即時配送を担うドライバーの待遇改善を急いでいる。人⼒資源・社会保障省などは1⽉、ネット注文された商品を配送するドライバーの管理を強めると発表した。不安定な収⼊や⻑時間労働が社会問題になり、国や地方政府がサービスの提供企業に是正を要請。⼤手企業が社会保険の加⼊補助を広げるなど重い腰を上げ始めた。

■5月に上海で愛犬向けフィットネス「GOGOGYM」が開業

ペット向け経済が急速に拡⼤する中、犬専⽤ジム「GOGOGYM」が間もなく上海・⻄岸中環エリアにオープンする。施設内には、犬⽤ランニングマシン、ドッグラン、健康診断エリアなど、人間向けジムさながらの設備が整えられ、専⽤アプリで健康管理や運動記録も可能だ。また、愛犬と飼い主が共に参加できるバディートレーニングや、AIによる動作分析、SNS映えする撮影コーナーも完備。2025年にはペットエコノミー市場規模が約9兆円に達すると予測され、体重管理年に合わせた健康増進策とも相まって、今後の新たなライフスタイルとして注目される。

■⾃動運転の実⽤化が加速、北京が先⾏

北京市は4⽉1日、「北京市自動運転⾞条例」を施⾏した。この条例は自動運転⾞の個人利⽤、公共交通、タクシー、都市運営保障など多岐にわたる活⽤を認め、条件を満たす⾞両の試験運⽤を可能とするものである。⼯業情報化部が定めるL0からL5の区分のうち、L3以上の自動運転技術を合法的に実現する法的根拠を提供する。この施⾏により、技術⾰新や製品開発、インフラ整備の加速が期待され、通信および制御技術の研究、重点実験室や技術開発センターの設置も奨励される。さらに、既存道路の改修や新規道路建設時に自動運転対応インフラとの連携が求められ、運⾏データは北京市管理プラットフォームによりリアルタイムで監視される仕組みが導⼊された。■中国、出前ドライバーの待遇改善急ぐ 保険加入など

■アリババ、通販で輸出企業の国内消費支援 1万社以上対象

中国ネット通販最⼤手のアリババ集団は15日、中国から海外に製品を輸出する企業に向けて、自社が運営する通販サイトを通じた⽀援策を導⼊すると発表した。1万社以上の対外貿易企業の国内販路開拓を後押しする。⽶中で関税引き上げの応酬が続くなか、中国政府が始めた海外輸出製品の国内消費⽀援に歩調を合わせる。

■AppleとHP、中国内陸部からアメリカへの輸出中⽌

⽶パソコン⼤手は相次いで中国内陸部からの対⽶輸出を⽌めた。トランプ⽶⼤統領の関税政策を受けて、アップルのパソコン「Mac」などを組み⽴てている四川省成都市の⼯場は対⽶輸出を⼀時中⽌し、HPの重慶のパソコン⼯場も北⽶輸出を停⽌した。地元経済への影響だけでなく、世界的なサプライチェーン(供給網)⾒直しに波及しかねない。

2025年4月9

■中国が報復措置 ⽶相互関税と同じ34%、全輸入品に

中国政府は4日、米国からのすべての輸⼊品に34%の追加関税を課すと発表した。トランプ米政権が発表した相互関税への報復措置で、米国と同じ税率を上乗せする。

■中国、⽔産物サンプルも「異常なし」 福島原発の処理⽔

中国国家原⼦⼒機構は7日、東京電⼒福島第1原⼦⼒発電所周辺で採取した⽔産物の分析を終え、放射性物質の濃度に異常がなかったと発表した。中国が海⽔だけでなく⽔産物など「海洋⽣物」の安全性も確認し、発表するのは初めて。中国政府は2024年10月に海洋放出後の処理⽔のサンプルを取り、25年1月に異常はなかったと公表した。

■中国AI家電、テレビやエアコンにDeepSeek 対話で操作

中国の家電業界で人⼯知能(AI)搭載が広がっている。四川⻑虹電器やTCLなど大手が新興企業DeepSeek(ディープシーク)のAIを製品に相次ぎ実装した。中国では家電以外でもAIが浸透しており、AIを活用した新たな機能の開発競争が始まった。

■中国プードゥがアーム付き移動ロボ ⼆⾜歩⾏より安定感

中国配膳ロボット大手の深圳市普渡科技(プードゥ・ロボティクス)は、料理の上げ下げといった操作が可能な新たな⾞輪移動式ロボットを開発した。従来のサービスロボットより複雑な仕事をこなせる。ホテルやレストランでの活用を⾒込む。

■中国CATL、石油大⼿とEV電池の交換施設 年内500カ所

中国の⾞載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は2日、中国石油大手の中国石油化⼯集団(シノペックグループ)と電気⾃動⾞(EV)の電池交換ステーションの増設で協業すると発表した。2025年内に500カ所、中⻑期で1万カ所の建設を目指す。

2025年4月2

■中国、ネット安全法の改正案公表 国家安全へ罰則強化

中国政府は28日、ネット空間を統制するインターネット安全法(サイバーセキュリティー法)の改正案を発表した。法律などで禁じた情報の流出に対する罰⾦を最大で現⾏の20倍にするなど罰則を厳しくする。米国との対⽴の激化に備え、国家安全や政治的な安定を優先する。

■中国国有大手4⾏、資本増強10兆円 不動産リスクを抑制

中国建設銀⾏や中国銀⾏など中国の国有大⼿4⾏は30日、資本増強計画を発表した。増資額は最大5200億元(約10兆7000億円)で、政府が新たに発⾏する特別国債で調達した資⾦などを活⽤する。習近平(シー・ジンピン)指導部は大⼿⾏への資本注入を通じて不動産不況が⾦融リスクに波及するのを防ぐ。

■中国景況感、3月受注堅調で50超え 節約志向に懸念

中国国家統計局が31日発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で好調・不調の境目である50を上回った。2月の春節(旧正月)休暇の影響がなくなり生産や受注が堅調だったが、家計の節約志向が回復持続への懸念要素だ。

■百度の⾃動運転タクシー、UAEに進出 海外で初めて

中国ネット大⼿の百度(バイドゥ)は自動運転タクシー事業でアラブ⾸⻑国連邦(UAE)に進出する。ドバイで2028年までに1000台超を投入し、⾸都アブダビでも展開する。百度が外国で同事業を⼿掛けるのは初めて。中国で培ったノウハウを活⽤し、早期の収益化をめざす。

■百度、AIアプリにDeepSeekなど導⼊ 利⽤者増狙う

中国ネット大⼿の百度(バイドゥ)は31日、対話型人⼯知能(AI)アプリ「文小⾔」を全面刷新したと発表した。DeepSeek(ディープシーク)など他社の有⼒AIの基盤モデルを導入して組み合わせて使うことで使い勝⼿を改善し、利⽤者拡大をめざす。