【前半】北京モーターショーの圧倒的スケールと自動車産業の新潮流
- 北京モーターショーが話題となっています。今年のモーターショーの特徴と日系企業の様子を教えてください。
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2026 年の北京モーターショー(Auto China 2026)は、中国自動車産業が単なるEV普及の段階を越え、AI、ソフトウェア、バッテリー、スマートコックピット、低空モビリティを含む総合的なテクノロジー競争へ移行したことを示す場となっています。
正式名称は、2026第19回北京国際自動車展覧会(http://www.beijingautoshow.com/ja/)。今回のモーターショーは、日系メーカーにとっても大きな意味を持っています。中国市場では、すでに「電動化」そのものは前提条件となりつつあり、競争の焦点は、AI運転支援、スマートコックピット、急速充電、ソフトウェア更新、そして現地企業との協業スピードへと移っています。以下、前半でモーターショー全体の特徴を整理し、後半で中国メーカーの動きと日系メーカーの対応を見ていくことにします。1.史上最大規模:圧倒的なスケールと中国市場の成熟
2026 年の北京モーターショーは、展示面積38万平方メートルという過去最大級の規模で開催され、展示車両は1,451台に上上りました。そのうち初公開車は181台、コンセプトカーは 71 台とされ、単なる自動車展示会ではなく、世界最大級のモビリティ・テクノロジーの祭典となっています。
この圧倒的なスケールの背景には、中国市場における新エネルギー車(NEV)の急速な普及があります。2025 年通年で、中国の乗用車小売販売に占めるNEV比率は約54%に達し、12月単月では約59%まで上昇した。すでに中国市場では、EVやPHEVは「新しい選択肢」ではなく、主流商品の一角を占める存在になっています。
その意味で、今回の北京モーターショーは、中国が世界の未来のモビリティを定義し、自動車産業のイノベーションと輸出の中心地になりつつあることを強く印象づける場となりました。
2026 年北京モーターショー会場 2.今年のモーターショーを象徴する4つの特徴
今回のモーターショーでは、従来の価格競争一辺倒から、AI、電池、ソフトウェア、モビリティ領域を含む高付加価値化へのシフトが鮮明になった。特に注目すべき特徴は、以下の4点です。① 「SDV」から「AIDV」へ:AI・知能化が主戦場に
これまでの自動車産業では、ソフトウェアが車を定義する「SDV(Software Defined Vehicle)」が重要なキーワードであった。しかし、中国市場ではさらに一歩進み、AI が車の価値を定義する「AIDV(AI Defined Vehicle)」とも呼ぶべき段階に入りつつあります。
高度な運転支援機能、AI による音声操作、スマートコックピット、車内サービス連携などが、高級車だけでなく普及価格帯の車にも広がり始めています。
「小米(Xiaomi)の SU7」 ② バッテリー技術の革新と「超急速充電」
航続距離に対する不安が徐々に解消される中で、次の競争軸は充電スピードと低温環境での性能に移っています。世界最大級の車載電池メーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)は、残量10%から98%まで6分27秒で充電可能とされる第3世代「神行超充電池」を発表した。また、BYDも第2世代ブレードバッテリーとフラッシュ充電技術を打ち出し、低温環境下でも充電時間の短縮を図っています。
③ サプライチェーンの「下克上」と序列の変化
今回のモーターショーで象徴的だったのは、完成車メーカーだけでなく、電池、AI、半導体、スマートコックピットを担うサプライヤーの存在感が大きく高まったことである。CATL、ファーウェイ、地平線(Horizon Robotics)などのコア技術企業は、もはや単なる部品供給者ではない。車両の商品性そのものを左右する技術基盤を提供し、完成車メーカーの競争力を左右する存在となっている。従来の自動車産業では、完成車メーカーが主役であり、部品メーカーはその下に位置づけられることが多かった。しかし、AI、電池、OS、半導体が競争力の中核となる時代には、サプライヤーが製品定義に深く関与し、完成車メーカーがそのプラットフォームに接続するという構図も生まれています。
④ 新次元のモビリティ:「空飛ぶクルマ」と低空経済
今回の北京モーターショーでは、地上を走る自動車だけでなく、eVTOL(空飛ぶクルマ)も大きな注目を集めています。特に小鵬汽車(Xpeng)系の企業などは、地上走行可能な母艦車両に飛行体を格納するタイプのモビリティを打ち出しており、中国で進む「低空経済」の象徴的な存在となっています。
現時点では法規制、運航管理、安全性、インフラ整備など多くの課題が残りますが、中国では自動車産業と航空・ドローン産業が接近し、新しい移動市場を形成しようとしています。この点も、中国のモビリティ産業が単なるEV競争を越え、より広い産業領域へ拡張していることを示しています。以上


