今週のトピックス(2023年8月)

2023年830

■中国で食塩の関心急拡大 処理⽔放出で買いだめか

中国の消費者の間で食塩への関心が高まっている。24 日、ネットスーパーなどで販売上位に食塩が入った。中国メディアによると、東京電⼒ホールディングスが同日、福島第 1 原⼦⼒発電所の敷地内にたまる処理⽔の海洋放出を始めたことを受けて、一部の消費者が買いだめに走ったようだーーと伝えた。

■中国クラウド市場競争激化 アリババなど値下げ・AI 連動

中国のクラウド市場で競争が過熱している。⼤⼿のアリババ集団や騰訊控股(テンセント)が 5 月以降に相次いで値下げに踏み切り、⾜元では⽣成 AI(⼈工知能)とクラウドを組み合わせて顧客に提案する動きも広がる。市場の成⻑が減速していることが背景にあり、各社は顧客の獲得に向けて躍起になっている。

■中国タイヤ産業が好況謳歌、外需取り込みで高成⻑

中国のタイヤ産業が増産に追われている。国家統計局によると、今年 1〜7 月のゴムタイヤ国内⽣産は、前年同期⽐13.5%増の 5 億 5910 万 1000 本に拡⼤した。前年同期の⽣産実績を上回り続けている。税関統計によると、1〜7月のゴムタイヤ海外輸出量は、前年同期⽐ 12.5%増の 509 万トンに達した。

■⼈⺠銀⾏、期間 1 年のローンプライムレートを引き下げ

中国⼈⺠銀⾏(中央銀⾏)は 8 月 21 日、最優遇貸出⾦利の指標のローンプライムレート(LPR)の期間 1 年を3.55%から 3.45%に 0.10 ポイント引き下げると発表した。期間 5 年以上は 4.20%のまま据え置きとなった。中国⼈⺠銀⾏は 8 月 15 日に MLF の期間 1 年を 2.65%から 2.50%に 0.15 ポイント引き下げており、今回の LPR 引き下げにつながったとみられる。

■経営危機の中国恒大集団、株式売買再開を⾹港証券取引所に申請…昨年3⽉から取引停⽌

「中国恒⼤集団」は 25 日、香港証券取引所に 28 日からの株式売買再開を申請したと発表した。財務内容の悪化によって決算が発表できず、恒⼤株は昨年3月から取引停⽌になっていた。恒⼤は 7 月、2022 年末の負債総額が約2.4 兆元(約 48 兆円)に達したと発表した。債務超過に転落し、今月 17 日には、米連邦破産法第 15 条の適⽤をニューヨークの裁判所に申請した。不動産管理や電気⾃動⾞(EV)⽣産を⾏う傘下の企業も7月以降、株式取引を再開している。

■CATL、⾞載⽤ LFP 電池を開発、10 分の充電で 400 キロ⾛⾏可能

中国の⾞載電池⼤⼿の寧徳時代新能源科技(CATL)は 8 月 16 日、世界初の 4C(注)急速充電が可能なリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「神⾏超充電池」を発表した。同電池を搭載する電気⾃動⾞(EV)は、10 分の充電で 400 キロの走⾏ができ、航続距離も 700 キロを超える。さらに、マイナス 10 度の低温環境でも 30 分で 80%まで充電でき、加速性能も保つという。

2023年823

■中国・京東の 4~6 ⽉、純利益 5 割増 家電販売が回復

中国ネット通販大手の京東集団(JD ドットコム)が 16 日に発表した 2023 年 4~6 月期の純利益は、前年同期⽐50%増の 65 億元(約 1300 億円)となった。前年同期に「ゼロコロナ」政策下で上海市のロックダウン(都市封鎖)があった反動で、家電などの販売が伸びた。低価格の商品を拡充する取り組みも奏功した。

■中国、22 年の出生率 1.09 現地報道、日本を下回る

複数の中国メディアが 16 日までに、同国で 1 ⼈の⼥性が生涯に産む⼦どもの平均的な⼈数を⽰す「合計特殊出生率」が 2022 年に 1.09 に下がったと報じた。⼈口 1 億⼈を超える国の中では中国が最も低いという。20 年、1.3、21 年は1.15 だった。少⼦化や⼈口減少が労働⼒の不⾜につながり、経済成⻑を抑制する要因になる。

■7 ⽉の中国住宅価格、下落都市 7 割に拡大 11 都市増加

中国国家統計局が 16 日発表した 2023 年 7 月の主要 70 都市の新築住宅価格動向によると、前月⽐で価格が下落したのは全体の 70%にあたる 49 都市だった。6 月から 11 都市増えた。家計が雇⽤など将来不安を抱えるなか、住宅ローン⾦利の引き下げ効果は乏しく、マンション販売は低迷が⻑引いている。

■曲がる太陽電池、基礎研究で中国先⾏ 安全保障リスクも

次世代の太陽電池「ペロブスカイト型」の研究で、中国の存在感が増している。学術論⽂を分析したところ、2019 年以降に中国が関わった論⽂数は上位 10 カ国全体の 3 割と首位だった。中国軍に近い組織と日米の共著は 1 割を超え、安全保障リスクを懸念する⾒⽅もある。

■BYD の新ブランド、SUV から投入 ⾼価格帯を開拓

中国の電気⾃動⾞(EV)大手、⽐亜迪(BYD)は 16 日、新たな⾼価格帯ブランド「⽅程豹」の第 1 弾モデルとなる多目的スポーツ⾞(SUV)を発表した。⾞台に電池を組み込む技術により、燃費と⾛⾏性能を両⽴する。これまで低中価格帯を強みとしてきたが、より幅広い顧客層を取り込むため商品群を広げる。

■テスラ「データ管理、中国で完結」 情報漏洩懸念受け

米電気⾃動⾞(EV)大手のテスラは 14 日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」への投稿で、⾞両などから得られたデータを保管するためのデータセンターは中国大陸内に設置済みだと説明した。インターネットへの投稿などから、⾞両からの情報漏洩への懸念が生じていたのを受けて、データ管理が現地で完結しており流出への懸念はないことを強調した。

2023年89

■中国、半導体素材の輸出規制開始 日本は供給 4 割依存

中国は 1 日、半導体素材として使う希少⾦属、ガリウムとゲルマニウムの関連製品の輸出を許可制とした。⽶国を中⼼に先端半導体などの対中輸出規制を強化する動きへの対抗措置とみられる。足元で日本企業に⼤きな影響は出ていないが、中国の運⽤次第では供給の 4 割を依存する素材産業にとって打撃となりかねない。

■7 月中国製造業景況感、4 カ月連続 50 割れ 受注回復せず

中国国家統計局が 31 日発表した 2023 年 7 月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は 49.3 だった。前月より0.3 ポイント高かったが、4 カ月連続で好調・不調の境目である 50 を下回った。不動産市場の低迷が⻑引き、建材などの生産が伸び悩んでいる。

■日系企業の上海投資、1〜6月は 13 倍に急伸

上海市統計局によると、日系企業による 2023 年上半期(1〜6月)の実⾏ベースの投資額は6億 6,500 万⽶ドル(約 949 億 3,000 万円)だった。ロックダウンで経済が停滞した前年同期から 13 倍に急伸した。外資企業全体の投資額は前年同期⽐ 7.1%増の 127 億 7,700 万⽶ドルだった。第3次産業向けが 6.1%増の 122 億 9,400 万⽶ドルで、産業全体の 96.2%を占めた。

■中国、高性能ドローン輸出規制 軍事転用警戒で管理強化

中国商務省などは 31 日、高性能ドローンや関連製品を輸出規制の対象にすると発表した。戦略物資などの輸出管理を強化する輸出管理法などに基づき、9 月 1 日から許可制を導⼊する。軍事転⽤へのリスクが高いとして、国家安全の観点から管理を強める。

■中国第⼀汽⾞集団が⻑春市で、5G+⾃動運転のハイパワー無線給電道路システムを開発

国有⾃動⾞製造⼤⼿の中国第一汽⾞集団(以下、中国一汽、吉林省⻑春市)は、科学技術イノベーション基地を正式にオープンしたと発表した。同基地は新エネルギーとインテリジェントネットワーク接続の技術のブレークスルーを実現するため建設した新たな研究開発拠点で、中国初のスマートエネルギーシステムを統合した⾃動⾞工業団地となる。

■中国電池メーカーのサンオーダ、ハンガリーに欧州初の生産工場建設を発表

ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は 7 月 26 日、中国のリチウムイオン電池メーカーのサンオーダ(欣旺達電子)が、5,800 億フォリント(約 2,320 億円、1 フォリント=約 0.4 円)を投じて、同社にとって欧州初の工場をハンガリー北東部のニーレジハーザに建設することを発表した。

2023年82

■中国、シンガポールとブルネイに対する滞在期間 15 ⽇以内のビザ免除措置を再開

在ブルネイ中国大使館と在シンガポール中国大使館は 7 月 23 ⽇、それぞれブルネイおよびシンガポール国⺠に対して、滞在期間 15 ⽇以内のビザ免除措置を再開すると発表した。これらの措置は、7 月 26 ⽇午前 0 時(中国時間)から開始されている。中国外交部はこれらの措置の目的について、「シンガポールとブルネイの両国⺠の中国訪問の利便性を高めるため」と説明した。

■中国スマホ出荷 2%減 4〜6 月、9 四半期連続前年割れ

米調査会社 IDC は 27 ⽇、中国の 2023 年 4〜6 月期のスマートフォンの出荷台数が前年同期⽐ 2.1%減の6570 万台だったと発表した。9 四半期連続で前年同期を下回ったが、1〜3 月期の約 12%減に⽐べると下げ幅は縮⼩した。需要はなお低迷しており、回復には時間がかかりそうだ。

■上海市の上半期 GRP 成⻑率は 9.7%、新型コロナ沈静化で回復傾向に

中国の上海市統計局は 7 月 20 ⽇、同市の 2023 年上半期(1〜6 月)の主要経済指標を公表した。実質域内総生産(GRP)の成⻑率は前年同期⽐ 9.7%の 2 兆 1,390 億元(約 42 兆 7,800 億円、1 元=約 20 円)となった。2022 年 3 月末から新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖で、経済活動が停滞していたが、2023 年はその反動もあり、回復傾向にあることがうかがえる。

■中国 CATL、1〜6 月純利益 2.5 倍 国内外で EV 向け好調

⾞載電池の世界最大⼿、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が 25 ⽇発表した 2023 年 1〜6 月期決算は純利益が前年同期の約 2.5 倍となる 207 億元(約 4000 億円)だった。中国を中⼼に拡大している電気⾃動⾞(EV)向け需要を受けて好調だった。売上高の 1 割強を占める発電所や⼯場向けの蓄電池事業も収⼊が 2 倍となったほか、海外事業も好調だったようだ。

■⻑安汽⾞がテンセントと海外展開に向けて提携

中国大⼿⾃動⾞メーカーの⻑安汽⾞は 7 月 11 ⽇、中国 IT 大⼿の騰訊科技(テンセント)と戦略的提携の強化で合意した。両社はナビゲーションシステムや⾃動運転、グローバルサプライチェーンの構築などの多岐にわたる分野で連携を強化する。また、人⼯知能(AI)や 5G(第 5 世代移動通信システム)などの先端技術分野で共同研究を実施し、⻑安汽⾞の海外市場開拓を⽀援する。