抜け駆け出願された商標を三年間不使⽤取消審判請求で取り戻す

冒認出願した中国企業に対し、三年間不使⽤取消審判請求を⾏って、取り消すことに成功したと聞きました。どういった状況でしょうか。

 A 社は食品メーカで、5 年ほど前に香港の展示会に出展しました。その後、A 社の商品を中国⼤陸に販売することになり、同社の会社名と、かなり特徴のある商品全体をイメージした商標の出願登記を⾏うことになりました。ところが中国で類似商標調査を⾏ったところ、まったく同じ会社名とロゴがすでに香港企業に冒認(抜け駆け)出願されていたことが判明し、困惑することに。香港の展示会に出展して数か月後のタイミングでした。
 A 社はたいへん驚くとともに、⼤事な商標を取られたことに憤慨し、どうにか取り戻すことができないかと⾦融機関を通じて弊社に相談してきました。香港企業が出願登録してから、もうすぐ 3 年が経つというタイミングだったため、三年間不使⽤取消審判請求を⾏えば、取り戻せる可能が高いことを説明し、請求を申請することになりました。

 「中華⼈⺠共和国商標法」第 49 条では,「登録商標が正当な理由なく継続して3年間使⽤されなかった場合は,如何なる単位又は個⼈も,商標局に対し当該登録商標の取消を請求することができる」と規定しています。
 したがって、もし正当な理由なく継続して3年間使⽤されなかった場合は、中国商標局に「三年間不使⽤取消審判請求」を申請することができ、それと同時に当該商標を申請しておけば、同審判請求に成功した際に商標の権利を確保することができます。

 

 そして A 社は、弊社の案内に応じて、意⾒書を作成して三年間不使⽤取消審判請求を申請しましたが、それが先日中国商標局から報告があり、取り消すことに成功しました。
 写真の資料は、「三年間不使⽤取消審判請求の決定書」の原文となります。これにより、香港の商聯企業顧問有限公司の登録した第 30 類の商標は取り消され、同商標登録証の原本は無効となりました。そして当該商標は新たに登録されて、無事、A 社の権利となりました。
 以下は、「三年間不使⽤取消審判請求の決定書」の日本語訳です。

       登録商標第 25239●●●号第 30 類「●●●●●」の
         三年連続不使⽤取消申請の決定について

株式会社●●●︓
●●●●有限公司︓

 株式会社茶の環は《中華⼈⺠共和国商標法》第 49 条の規定に基づき、正当な理由がなく 3 年連続不使⽤であることを理由に、2021 年 10 月 18 日、「茶飲料」等の商品の使⽤が認められた商聯企業顧問有限公司の商標登録第25239●●●号、第 30 類「●●●●」の登録取消を申請した。審査後、当局は出願を受理し、2018 年 10 月 18日から 2021 年 10 月 17 日までの期間における商標の使⽤証拠を当局の通知を受領した日から 2 ヶ月以内に国内官庁に提出するよう、●●●●有限公司に通知した。
 ●●●●有限公司は、指定期間内に商標第 25239●●●号、第 30 類「●●●●」の使⽤証拠を当局に提出しなかった。《中華⼈⺠共和国商標法》第 49 条、《中華⼈⺠共和国商標法実施条例》第 66 条および第 67 条の規定により、当局は、第 30 類第 25239●●●号商標「●●●●」を取り消すことを決定し、第 25239●●●号商標登録証の原本を無効とし、公告する。
 《中華⼈⺠共和国商標法》第 54 条の規定により、商標登録者である商聯企業顧問有限公司は、当局の決定に不服がある場合、本決定を受領した日から 15 日以内に国家知識産権局に再審を請求することができる。

以上