中国「製品品質法」改正の動向―一般工業製品にもリコール制度拡大か(2)
- 中国では、製品品質法の改正が検討されていると聞きました。2026年の立法計画ではどのように位置づけられ、どのような改正が予定されているのでしょうか。
-
先週に続いて、製品品質法の改正動向について解説します。
4.重大リスク製品のトレーサビリティ
第 18 条では、「重大な品質安全リスクを有する製品」について、生産、販売、保管、輸送、関連サービスを含む全工程のトレーサビリティ体制を構築し、製品の全過程を追跡可能にすることが求められています。
条文上、「すべての製品を製造番号単位で管理する」とまでは規定されていません。しかし、実際にリコールを行う場合には、対象となる型式、ロット、製造期間、出荷先、販売先、設置先を迅速に特定する必要があります。
日本企業としては、製造番号またはロット番号と、中国向け出荷記録、輸入者、販売代理店、最終ユーザー、設置場所を結びつけて管理することが、実務上重要になります。
5.輸入者・国外生産者の授権代表の義務
日本企業にとって特に注意が必要なのが、第109条です。
同条は、「輸入者または国外生産者の授権代表について、その製品品質上の義務には、生産者および販売者に関する規定を適用する」と定めています。これは、輸入製品について、中国国内で誰が事故報告、欠陥調査、リコール、品質表示などの義務を負うのかを明確にするものです。
ただし、条文が直接規定しているのは「製品品質上の義務」の適用であり、授権代表が生産者・販売者と完全に同一のあらゆる民事責任を負うと明記しているわけではありません。
それでも、日本本社、中国現地法人、輸入者、販売代理店の間で責任の所在が曖昧な場合、事故発生時の当局報告やリコール対応が遅れる可能性があります。
6.日本企業が先行して準備すべき事項
改正法の成立時期や最終条文は、現段階では確定していません。しかし、日本企業は、少なくとも次の体制を先行して整備しておく必要があります。
第一に、中国側輸入者、現地法人、販売代理店との契約において、事故・欠陥情報の通知期限、当局への報告主体、欠陥調査の主導者、リコールの決定権限、回収・修理・交換・廃棄費用の負担、販売先情報の提供義務などを明確にすることです。
第二に、中国国内で発生した事故、故障、クレーム、修理履歴を、日本本社の品質保証部門へ速やかに集約する仕組みを構築することです。
第三に、型式、ロット、製造番号、輸入記録、販売先、設置先を関連づけ、問題発生時にリコール対象範囲を速やかに特定できる状態にしておくことです。
契約によって、当局や消費者に対する法定義務そのものを免れることはできません。契約は、関係会社間の業務分担、費用負担および求償関係を整理するためのものとなります。今回の改正は、単なる製品検査や表示規制の見直しではありません。事故発生後の報告、欠陥調査、リコール、流通履歴の管理まで含めて、製品のライフサイクル全体を管理する制度への転換と見る必要があります。特に中国へ産業機械、設備、電気製品、部品等を輸出している日本企業は、正式な法案提出を待つだけでなく、現在の品質情報管理と中国側事業者との責任分担を、あらかじめ点検しておくことが望まれます。
(※)「市場監管総局关于征求《中華人民共和国産品質量法(公开征求意见稿)》意见的通知以上


