ペッ増値税の軽減税率― ペットフードは9%の理由

中国に販売会社を設立し、ペットフードを中国国内で仕入れて販売する計画を立てています。現地の業者が出してきた見積書では、ペットフードの増値税率が9%になっていました。標準税率は13%ではないのでしょうか。

 ご覧の見積書の通り、ペットフードには標準税率13%ではなく、飼料に対する軽減税率9%が適用されます。中国の増値税は「何を売るか」で税率を細かく区分しており、ペットフードは「飼料」区分に入るためです。
 根拠は現行法にあります。中国では2026年1月1日に増値税が初めて正式な「法律」として施行されました(従来の暫行条例からの格上げ)。その「中華人民共和国増値税法」第十条(二)は9%の軽減税率が適用される貨物を列挙し、第4号に「飼料、化学肥料、農薬、農業機械、農業用フィルム」を明記しています。
 農業・畜産の保護という趣旨から、飼料は農産品などと並ぶ軽減対象品目とされ、ペットフード(宠物饲料)もこの「飼料」に該当するため、13%ではなく9%で課税されます。

 混同しやすいのが「免税」との違いです。飼料のうち単一大宗飼料・混合飼料・配合飼料・複合預混料・濃縮飼料の5 類は、財税〔2001〕121号により増値税が全額免除されます。もっともこの免税は、家畜・家禽・養殖といった生産用飼料のコストを下げる目的の限定列挙であり、愛玩動物向けのペット用飼料は含まれていません。
 したがってペットフードは「免税は受けられないが、飼料本来の軽減税率 9%で課税される」という位置づけです。「飼料だから0%では」という誤解が生じやすい点に注意してください。

 一方、同じ栄養補助食品でも、人間用の加工食品・サプリメント・飲料は軽減の対象外で標準税率13%が適用されます。税率は「誰が口にするか(用途)」で決まり、実務上は製品がどのカテゴリで登録・販売されるかが分岐点になります。
 ペット用としてペット飼料管理弁法(宠物饲料管理办法)に基づき登録・流通していれば9%、人用食品として扱えば13%です。自社製品がどちらに当たるかは、登録カテゴリと発票上の品目分類を事前に確認しておくと安全です。
 価格設計への影響も押さえておきましょう。中国では小売価格を税込で表示するのが原則のため、税抜で案内していた定価は税込へ組み替える必要があります。ただし販売会社が一般納税人であれば、仕入時に払った9%は仕入税額控除で相殺できます。例えば税抜100元(+9元)で仕入れ、税抜150元(+13.5元)で販売した場合、税務局へ納めるのは差額の4.5元だけで、粗利50元が税で目減りすることはありません。

 ここで新設の販売会社が必ず確認すべきなのが「納税人区分」です。設立当初は売上規模により小規模納税人となる場合があり、この区分では低い徴収率による簡易課税となる代わりに、仕入税額控除が使えません。その場合、仕入時の9%はそのまま自社のコストとして残ってしまいます。仕入れて再販する事業モデルであれば、要件を満たして一般納税人として登録し、9%を控除できる体制を整えるほうが有利なケースが多い点も念頭に置いてください。
 結論として、9%は「安く見積もられた」のではなく、飼料区分に基づく正規かつ有利な税率です。定価の税込への組み替えや納税人区分の選定にあたっては、まず自社製品が飼料として登録・分類されているかを確認することが出発点になります。

■ 根拠法令


  以上