中国のワイン事情について

当社は地元で栽培されたブドウの味わいを活かしたワインづくりを⾏っております。円安の進⾏や国内需要の低迷から、中国市場への参入を考えています。中国現地のワイン市場、お酒のトレンド、日本ワインのポジショニングや認知度、現地でヒットする要素などをご教示いただけたらと存じます。

■中国のワイン事情
上海に限らず中国では日本産ワインはほとんど販売されていません。⻑城ワインなどの有名な中国国内ブランドが知られていますが、中国でワインといえば、やはりヨーロッパやチリ、オーストラリア産が人気です。輸入食品スーパーではフランスやドイツなどのヨーロッパのワインが多く、日本産ワイン(赤ワイン、白ワイン)はほとんど販売されていません。
「蘇州市」の日系スーパー「泉屋」に⾏き、店内のワイン販売状況を調査しました。 ワイン売り場を確かめましたが、やはり日本産ワインは販売されていません。販売されているワインはチリ、フランス、ドイツ、オーストラリア、スペイン、アフリカのワインでした。値段は 70 元(約 1,400 円=1 元 20 円)〜1,000 元(約 20,000 円)など、安いものから高いものまで幅広く取り扱っています。

【上海市の日本産ワイン市場】

上海市の日系百貨店「久光百貨」の地下にフレッシュマートという輸入食品スーパーがあります。店内では日本産の葡萄酒は販売されていませんでしたが、日本産のフルーツワインは販売されていました。フルーツワインは北海道のイチゴや桃、さくらんぼ、りんごを使用したワインです。商品パッケージはどれも色鮮やかなものが多く、⼥性が好みそうなデザインになっています。
また、上海市の日系スーパー「APITA」内に入店する「Caldi 輸入スーパー」には多数の日本産ワインが販売されています。同店は店舗面積が小さく、多店舗展開はしていません。

上海市内の輸入食品スーパーを調査して気づいたことは、ワインは欧米産が多く、日本産のワインはほとんど⾒かけませんでした。しかし、日本産のイチゴや桃、りんごなどのフルーツワインが販売されていました。特に⼥性が好みそうな味やパッケージデザインのフルーツワインが目⽴ちます。上海では欧米の葡萄酒が市場で優位に⽴っていますが、フルーツワインであれば日本の強み(パッケージデザイン、味)が生かせるような気がします。

【酒類販売店のモトックス】
メトロシティーの地下一階に日本産食品を販売するモトックスの店舗があります。https://www.mottox.co.jp/news/detail/1st-anniversary
ここでは主に酒類を販売しており、店内には日本酒や果実酒、梅酒、お菓子などが販売されています。以前、店舗責任者と面談した際に、「⼥性が好む可愛いパッケージの果実酒や梅酒、お菓子がよく売れている」との情報をいただきました。
実際、店内には日本産の果実酒や梅酒が沢⼭販売されています。逆に日本産のワインは売れ⾏きが悪く、どうしても欧米産に負けてしまうようです。上記より、日本産の果実酒や梅酒であれば中国市場で売れる可能性があります。日本産ワイン(赤ワイン、白ワイン)の中国市場でのポジションを検討したところ、⽴ち位置は低いと思われます。しかし、日本産フルーツワインであれば中国市場で優位に⽴てる可能性があると思います。現にヨーロッパ産のフルーツワインは中国ではあまり⾒かけません。ここにチャンスがあるように⾒えます。

今回の現地視察結果より、中国市場で日本産ワイン(葡萄酒)を販売することは現時点では非常に厳しいと思います。いまだ中国では、日本産ワインの市場が成熟していないため、自らヒットさせてブームを作り上げるしかありません。もしくは、中国現地の展示会や消費者向けイベントへ定期的に出展し、バイヤーや消費者に向けて地道な営業活動を⾏い、日本産ワインを普及させていく方法もあります。