中国のコロナ感染が拡大、各地域のコロナ感染状況は︖

 中国のコロナ感染が拡大しているようですが、各地域のコロナ感染状況および規制はどうなっているのでしょうか。

先週に続き、中国の各地域の感染状況や都市封鎖の状況をお伝えします。
■上海
〇上海、都市封鎖後の感染死者 87 人に
中国の衛生当局は新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を続ける上海市で、23 日に感染者 39 人が死亡したと発表した。同市での 1 日当たりの死者としては過去最多。3 月下旬の封鎖開始後に同市で報告された死者は計 87 人となった。死亡した 39 人の平均年齢は 78.7 歳で、最高齢は 98 歳だった。直接の死因はいずれも基礎疾患だとしている。

〇上海市、都市封鎖を再強化
4 月 22 日、上海市衛生健康委員会幹部は「依然として状況は深刻だ。PCR 検査の徹底や外出制限など厳格な管理を⼀層強化していく」と強調した。新規感染が増えた⼀部地域で再び外出を禁じるほか、PCR 検査も改めて徹底する。21 日の上海市の新規感染者数(含む無症状)は 1 万 7629 人と増加ペースは鈍化したが、高止まりが続く。市当局は約 100 万人が住む市中⼼部の⾏政区で再び外出を禁止した。

〇上海、経済回復に向けて重点企業 666 社を支援
中国政府は新型コロナウイルス対策で事実上の都市封鎖(ロックダウン)をしている上海市の経済回復に向けた取り組みを始めた。自動⾞や半導体など重点企業 666 社を指定する通知を出し、工場の稼働継続や再開を支援することが 18 日までにわかった。ただ、従業員の移動が難しいことなどから再開がずれ込む可能性もある。

■江蘇省
〇蘇州市で新型コロナ規制強化、防疫措置下で工場操業再開も

 蘇州市では、4 月 1 日から 20 日までの感染者数は 12 人、無症状感染者は 527 例確認されている(輸⼊症例は除く)。蘇州市は 4 月 16 日、蘇州駅周辺で市外から来た求職者とその関係者の間で感染者を確認したため、蘇州市防疫コントロール第 100 号通告を発表した。通告では、同日午前 0 時から、市内の呉江区、呉中区、相城区、姑蘇区、蘇州工業園区と⻁丘区(蘇州ハイテク区)で防疫措置をより強化することを决定し、主に以下の措置が取られている。
①不必要に蘇州市を離れない、蘇州市を離れる必要がある人は 24 時間以内の PCR 検査陰性証明が必要。
②可能な限り在宅勤務を推奨。在宅勤務が困難で、事務所に出⼊りする場合は、24 時間の PCR 検査陰性証明または当日の PCR 検査を受けた証明書と体温測定、蘇州健康コード、⾏程コード、場所コードが必要。
③住⺠の住む⼩区(マンション群、団地単位)、産業園区では封鎖型管理を実施。出⼊りする人を厳格に管理し、外部からの人および⾞両の不必要な進⼊を避ける。⾏程コードまたは蘇州健康コードで異常が確認された場合には、所属する社区に報告しなければならない。
 
 防疫の徹底などの条件を満たす企業については活動再開も可能になりつつある。蘇州市の地級市である昆山市では、工場などの操業停止期間が続いていたが、4 月 19 日に昆山市政府が「無疫企業」60 社のリストを発表した。昆山市において「無疫企業」として認定されるためには、(1)申告の直近 7 日間に企業内で感染者が確認されていないこと、
(2)企業内の最後の濃厚接触者が 7 日間隔離され、陽性ではないことが前提となる。さらに、従業員の人員名簿が整っており、予防・コントロール措置を確実に実施できること、閉環管理を⾏うなどの条件の下で、生産再開を優先的に申請できるとしている。60 社の中には、台湾の電子機器受託製造大手フォックスコン、半導体後工程の世界大手の日月光半導体などが含まれている。

■浙江省
〇新型コロナの防疫措置、浙江省企業の活動に影響

 上海市に隣接する浙江省では、4 月 1 日から 19 日までに 239 人の新型コロナウイルス確定症例と 484 人の無症状感染者が確認された。省内でも感染者が多い海寧市(嘉興市内の県級市)では 4 月 4 日以降、「重大突発公共衛生事件 1 級対応」(注 1)に基づく管理を実施していたが、18 日から「封控区」「管控区」「防范区」の 3 区分によるコントロールに変更となった。
 企業の生産活動への影響は、寧波市自動⾞・部品産業協会が 16 日に発表した調査レポートによると、アンケートに回答した自動⾞部品企業 100 社のうち、50〜60%が上海市と江蘇省の感染拡大の影響を受けていると回答、10〜20%が⻑春市、広州市、深セン市、重慶市などの感染拡大の影響を受けている。
 例えば、浙江省の自動⾞大手である吉利汽⾞は⻑春市、上海市、江蘇省・深セン市などにあるサプライヤーの操業や輸送の停止により、⼀部の生産ラインが稼働を停止しているという。また、企業によっては、オフィスが「管控区」(注 2)となったり、⼀部の従業員が隔離の対象となったりしたことで人手不⾜に陥り、生産ラインに影響が及んでいるという。上海市や江蘇省などの周辺省市の防疫措置が浙江省の⼀部企業にも波及しているとみられる。

<補⾜>
(注 1)︓「国家突発公共事件総合緊急対応マニュアル」によると、疫病など公共衛生に関する突発事件について、1級、2 級、3 級(比較的重大)、4 級(⼀般)の 4 段階に分類しており、1 級は国務院の決定と指揮に基づいて対策を実施する。2 級は省レベルで対策を実施できる。
(注 2)︓管控区では、区内から区外への移動や集会が禁止される。
■北京市
〇北京市内で買いだめに⾏列、防疫強化で封鎖懸念高まる
中国北京市政府は 24 日、新型コロナウイルスの感染拡大を警戒し、PCR 検査などの防疫態勢を強化すると発表した。都市封鎖(ロックダウン)への懸念が広まり、市内の⼀部スーパーなどは⾷料や日⽤品などを買い込む市⺠でごった返した。23 日に市内で新たに確認された感染者(空港検疫などを除く)は 22 人だった。


以上