上海市の都市封鎖に関する影響が拡大

 上海市では、新型コロナウイルスの都市封鎖が⻑期化しているにも関わらず、コロナ感染者は増え続けており、住⺠の不満が⾼まっていると報道されています。現地に駐在している日本人の状況はどうなっているのでしょうか。

 先週ご紹介したとおり、上海の都市封鎖は、3 区分管理へ移⾏しています。3 月 28 日から、⻩浦江を挟んで市内を東部(浦東、浦南地区および周辺地域)と⻄部(浦⻄地区)に分け、2 段階で封鎖の上、PCR 検査と抗原検査を実施しました。しかし、東部、⻄部とも封鎖管理の終了予定時期には封鎖解除とはならず、4 月 9 日に同市政府は追加的な市内全域の PCR 検査を実施し、感染者の発生状況などによって市内を「封控区」「管控区」「防范区」の 3 つに分けて管理を⾏うことになりました。
 4 月 11 日に市政府はこの 2 日間で 2,152 万人の検査を完了し、このうち検査異常所⾒は 2 万 5,996 例でした。そして、市内の 4 割強の地区に相当する 7565 地区で外出制限を解除すると発表し、地区のリストを順次公表しており、すでに外出が可能になった地区もあるようです。しかし、残る 6 割弱の地区は引き続き、外出を制限。⾼水準の新規感染が続いており、都市封鎖の全面的な解除には、なお時間がかかる可能性が⾼いとされています。

 そんな中、4 月 15 日付で上海にある日本領事館の⾚松総領事が、上海市副市⻑宛に以下の書簡を送りました。
 https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/files/100332650.pdf
 それによると、上海で暮らしている在留邦人 4 万人が隔離され、厳しい生活を余儀なくされていることがわかります。また、書簡に書かれている上海商工クラブのアンケート結果が公表されました。リンク先は以下の通りです。
 上海市封鎖の影響に関するアンケート結果概要(和文・個別回答)配布版.pdf (jpcic-sh.org)
 このアンケート結果をみると、上海の日系企業のビジネスに大きな影響を与えていることがわかります。このアンケートの概要を読みやすく整理、要約して、以下に提供します。

「上海市封鎖による事業への影響に関するアンケート結果」の概要(要約版)
 ⻑期化している上海市の封鎖により、各社の事業活動や皆様の生活に様々な影響が出ている。上海商工クラブではその影響を把握するため、理事会、地域連絡会の役員、事業環境委員会メンバー等の 70 社に対し、4 月 9 日〜12日にアンケートを実施した。そのうち、53 社から回収し、以下の通りアンケート結果を取りまとめた。垣内理事⻑より、上海市宗明副市⻑宛に書簡を付して、市商務委員会、市対外友好協会を通じて提出した。
1.物流・移動
(1)国内物流(上海以外の地域と)
  ●物流は停⽌されている(36 社)
  ●許可取得が必要だが、容易ではない(11 社)
  ※トラックドライバーの不⾜、PCR 検査や隔離が大きな要因
(2)国内物流(上海市内)
  ●物流が停⽌(40 社)
  ●通⾏証を取得するなどで、⼀部の市内物流に対応(8 社)
  ※発送・受取ができずサプライチェーンがつながらない。
(3)国際物流
  ●完全に停⽌(17 社)
  ●⼀部の物流は動いているが遅延などがあり、事業に影響
  ※トラックドライバーや港湾の荷役作業員の不⾜
(4)市内の移動
  ●原則禁⽌。病院等への移動など市内移動が必要な場合、許可を得られても⾞の⼿配に問題(10 社)
(5)帰任者、赴任者
  ●帰任、赴任ができない(14 社)
  ●封鎖により、帰任者が上海から出られない、赴任者が上海に入れない(12 社)
  ●パスポートが入館から戻ってこないため、帰国できない(2社)

2.事業活動・生活
(1)在宅勤務(50 社)対応できない業種は対応に苦慮しており、企業によっては社員がお泊まり込みで対応。
(2)工場への制限・稼働状況
  ●工場を停⽌(18 社)
  ●従業員が泊まり込みで⼀部作業に対応(4 社)
(3)回答者、従業員の生活
  ●⾷料の調達に苦労(14 社)

3.備 考(その他の措置や影響)
  ●銀⾏が封鎖されているため、従業員への給与⽀払いや取引先への⽀払いができない。
  ●会社で⾷料品を調達して従業員に配達
  ●ロックダウンにより、製品の生産・納入ができず、他地域の同業者にシェアを奪われ始めた。
  ●ロックダウンの期間が延⻑され、終了の先⾏きが⾒えないので、精神的にも厳しい。

以上