【中国商標実務】 登録後のフォント変更、どこまで許される?
- 中国で「文字商標」を登録する予定ですが、登録した後に、フォント(書体)を変更して使うことはできるのでしょうか?
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―― 「変更の程度」次第です。ポイントは、商標としての"同一性"を保っているかどうか…ここを境界線に、扱いが大きく分かれます。
■ 問題にならないケース
文字の構成や顕著な特徴を変えない通常の書体変更(宋体→黒体など)は、実務上「登録商標の使用」と認められます。フォントを差し替えても、需要者から見て「同じ商標」と認識できる範囲であれば、あらためて出願する必要はありません。日常的なブランド運用でよく起こる変更は、基本的にこの範囲に収まります。■ 認められないケース
一方で、大幅なデザイン化・繁体字化・図形ロゴ化など、商標としての同一性を損なう変更は認められません。見た目の印象が大きく変わり、別の商標と評価されるレベルの改変です。この場合は、新しい書体であらためて出願する必要があります。無断で使い続けると、元の登録商標が「不使用」と評価され、取消リスクにつながる点にも注意が必要です。■ 新法と旧法での違い
確認したところ、この判断基準そのものは、旧法(2019年改正版)でも新法(2026年改正版・2027年1月1日施行)でも変わりません。ただし、根拠条文の番号は改正で繰り下がっています。 ・標章変更時の再出願:旧24条→ 新28条 ・無断変更への制裁:旧49条 → 新57条 ・専用権の範囲:旧56条 → 新71条 新法では、無断変更に対し「5万元以下の罰金」が新設され、制裁が強化されました。とはいえ、フォント変更の扱いそのものに実質的な差はありません。■ 実務上の根拠
許容範囲の判断は、下記の最高人民法院の司法解釈の運用に基づきます。 ・該当条項:最高人民法院「関於審理商標授権確権行政案件若干問題的規定」(法釈〔2017〕2号)第26条第2項 ・原文:「実際に使用した標章が登録標章と細微な差異があっても、顕著な特徴を変えていなければ登録商標の使用とみなす」■ 具体例で見る境界線
たとえば「宋体で登録した二文字の漢字商標」を考えます。これを黒体やゴシック体に置き換えるだけなら、文字そのものは一目で同じと分かるため、通常は登録商標の使用として問題ありません。しかし、同じ二文字を大胆にデザイン化し、一部を図案化したり、簡体字を繁体字に組み替えたりすると、需要者が受ける印象が変わり「別の商標」と見なされる可能性が高まります。境界線は「文字の読み・構成・顕著な特徴が保たれているか」にあります。■ 実務ポイント
書体を変えるときは、「顕著な特徴を維持しているか」を判断の軸にしてください。単純なフォント差し替えは問題なし、デザイン性の高い改変は新規出願を検討、が基本方針です。判断に迷うケースは、リスク回避のため新規出願をおすすめします。
■ 参考リンク
・中国商標法(2026年改正版・2027年1月1日施行/第28条・第57条・第71条・第87条)
https://www.cnipa.gov.cn/col/col3686/index.html
・最高人民法院 司法解釈(法釈〔2017〕2号)
http://gongbao.court.gov.cn/Details/24b8d167656cee1b3329634dcefaa6.html以上

