品質・安全性・信頼性を示すCR認証「中国機器人(ロボット)認証」(2)
- 中国ではヒューマノイドロボットの普及が進んでいますが、その中、「CR認証(中国機器人認証/China Robot Certification)」があると聞きました。これはどんな制度なのか、概要を教えてください。
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先週に続いて、「CR認証」について解説します。
CR認証の技術的な構造は、二段階で理解すると分かりやすいです。
第一段階はいわゆるCR1.0で、安全とEMC(電磁両立性)という国際的に共通する品質の底線について、基準への適合性を「合格・不合格」で評価するものです。工業ロボットの場合、機械電気安全、機械安全のリスクアセスメント、工業環境用ロボットの安全要求、EMCの発射・イミュニティなどが確認対象になります。
第二段階の CR2.0 は、信頼性、機能安全、情報安全、知能化という四つの高度な品質要素について、L1 から L5までの等級で評価するものです。どの項目をどの等級で申請するかは、用途や顧客要求に応じて企業側が選択できます。たとえば信頼性の最高等級L5はMTBF(平均故障間隔)10万時間以上、寿命6万時間以上に相当し、取得すれば高い品質水準を対外的に示す材料になります。単なる合否ではなく、ロボットの品質レベルを「見える化」する設計になっている点が、CR認証の特徴です。
認証取得の流れは、申請、受理、型式試験、必要に応じた工場検査、認証結果の評価、証書発行、取得後の監督という順序で進みます。認証モデルには、型式試験のみを行うモデルA(証書有効期間3年)と、型式試験に加えて初回工場検査および取得後監督を行うモデル B(有効期間 5 年、年次監督あり、CR マーク使用可)があり、工業ロボット、協働ロボット、ロボット用精密減速機は原則としてモデルBのみで運用されます。
実務上は、製品仕様書、電気回路図、取扱説明書、主要部品リストと部品の認証・試験資料などの準備が必要で、シリーズ申請では型式間の差異を確認する補充試験が求められることもあります。EMC などで不合格となると手戻りが大きいため、正式申請前の事前確認が重要です。
では、任意認証のCR認証をなぜ企業が重視し始めているのでしょうか。転機は、2024年8月1日に施行された工業情報化部「工業ロボット業界規範条件(2024版)」(工信部公告2024年第20号)https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202407/content_6965409.htm です。
規範公告を申請する企業の主要製品(ロボット本体、主要部品、集成システム)について、CR認証の取得が求められる形になりました。規範条件自体は業界を誘導する政策文書であり、通関や一般販売の前提となる強制許認可ではありません。
一方で、規範公告企業の名簿は2024年12月に第一陣、2025年10月に第二陣が公表されるなど制度は着実に運用されており、政府調達、補助金、大型入札、国有企業・大手メーカー向け案件では、CR 認証が採信要件、加点要素、あるいは事実上の参加条件になる場面が増えています。
なお、規範公告の申請実務では、CR 認証証書の提出に代えて、GB/T 15706(機械類の安全性)や GB/T5226.1(機械の電気装置)など該当規格への適合を示す試験報告書(CNAS 認定範囲内で実施され、結論頁にCNAS押印のあるもの)でも受理される運用があります。
つまり、CR 認証を未取得でも規範公告への対応ルートはありますが、いずれの場合も中国側規格に基づく試験データ
の整備が前提です。この試験の手配・代行が実務対応の要です。
外資大手の動きも加速しています。安川電機は2019年に工業ロボットで早期にCR認証を取得し、KUKAは2024年9月に全系列ロボットでCR認証を取得(信頼性・機能安全とも最高等級L5)、ABBも2025年2月に国家機器人検測与評定中心と全系列ロボット製品のCR認証に向けた戦略協力を開始しました。
日本企業にとって CR 認証は、「中国で売るために必須の認証」というより「中国市場で本格的に競争するための信用証明」と位置づけるべきです。一般的な販売だけであれば、まずは CCC 該当性や安全規格対応を個別に確認すれば足ります。しかし、政府系案件、スマート工場案件、規範公告企業との取引を狙う場合には、CR 認証を単なる任意マークとしてではなく、販売戦略、入札戦略、現地パートナー戦略の一部として早めに検討することをお勧めします。
CR認証の取得支援や中国規格に基づく試験の代行手配にご関心のある方は、弊社までお問い合わせください。以上


