中国合弁企業の出資持分を評価額以下で譲渡することは可能か︖
- 当社は広州で中国法人(合弁会社)に出資していますが、経営上の事情により、日本資本側が中国側の持分を評価額以下で買い取りたいと考えています。評価額以下での出資持分の譲渡は可能でしょうか︖また、留意すべき点を教えてください。
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中国において出資持分を譲渡する場合、基本的には「資産査定報告書(資産評価)」を取得することが義務付けられています。特に、外資企業や国有資産が関わる場合には、資産評価に基づく評価額以下での譲渡は原則として制限されます。
仮に評価額を下回る⾦額で譲渡を⾏うと、不当な損失または贈与と⾒なされ、税務調査や再評価による課税リスクが高まりますので、注意が必要です。特に広州市では外資管理および税務審査が厳格であり、譲渡時には以下の実務的留意点を確認する必要があります。
■広州市での主な留意事項
合弁契約や企業章程に「譲渡制限」や「清算条項」などが規定されていないか事前確認が必要です。資産評価は、中国国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)認定の評価機関に委託する必要あります。譲渡手続きにおいては工商登記および外資審査(商務局による承認)が必須となります。
■資産評価の具体的な流れと注意点
資産評価は、中国の資産評価法に基づき厳格に⾏われます。具体的な手順は次の通りです。
1)中国国内のSASAC認定評価機関を選定後、業務委託契約を締結し評価基準日を指定。
2)現地会計士および弁護士による現物資産確認。
3)業務委託契約後、5営業日以内に評価報酬の50%を前払い。
4)評価期間は通常1〜2ヶ⽉程度(案件内容による)。■必要な主な提出書類(代表的な例)
資産評価時には、以下のような書類提出が求められます。
・企業営業許可証、・董事会決議書、・企業規約、・リース契約書、過去2年分の財務諸表および科目残高明細銀⾏残高証明、・現⾦棚卸表、・固定資産台帳、・在庫明細表、・不動産権利証書、・⾞両所有証明、・無形資産契約書、・特許/商標登録証、各種納税申告書および納税証憑上記は⼀例であり、実際の詳細なチェックリストは別途評価機関から提⽰されます。
評価額以下での譲渡については、特に深圳市のように厳格な審査体制が整っている地域ではリスク管理を徹底することが重要です。
以上