今週のトピックス(2022年5月)

2022年5月31日

■新型コロナによる消費落ち込みの挽回へ江蘇省各市で消費促進活動が活発化

江蘇省の消費動向を示す社会消費品⼩売総額は、2022 年 1〜4 月期は前年同期⽐ 3.7%減の 1 兆 3,650 億元(約 25 兆 9,350 億円、1 元=約 19 円)、4 月単月では前年同月⽐ 17.0%減の 2,794 億元となった。新型コロナ感染拡大などによる個⼈支出の減少や、⾼級品への消費意欲の減退などで、⾦銀宝⽯、スポーツ娯楽⽤品、化粧品の⼩売額はそれぞれ前年同月⽐ 31.2%、23.4%、17.7%減少した。また、外出の減少などの影響を受け、⾃動⾞、⽯油・⽯油製品の⼩売額もそれぞれ 46.2%、13.9%減少した。
落ち込んだ消費の回復に向けて、江蘇省内各地で商品券の発⾏や消費促進イベントが開催されている。
南京市では 4 月 28 日から「2022 南京国際消費節」を開催。期間中は商品券や割引クーポンの発⾏や抽選などが⾏われ、優遇⾦額の規模は 20 億元を超える。無錫市は 4 月 30 日から、「2022 無錫太湖ショッピング節」を開始した。総額 5,000 万元の商品券を配布する計画。常州市は 5 月 21 日、体育館の使⽤再開を支持し、スポーツ商品の消費回復を図るため、総額 500 万元分のスポーツ消費券を発⾏する。

■4 月の中国携帯電話市場、出荷台数が 34.2%減

中国情報通信研究院によると、2022 年 4 月には、中国国内市場の携帯電話出荷台数が前年同期⽐ 34.2%減の1807 万 9 千台になった。そのうち 5G スマホは同 31.9%減の 1458 万 5 千台で、同期の出荷量全体のうち 80.7%を占めた。携帯市場の落ち込みは、中国の携帯市場は今年 2 月から低下局⾯に⼊ったと同時に、新型コロナウイルス感染症の影響の中で、市場のニーズが低迷を続け、これに半導体、形態、機能で目に⾒える進歩や⾰新がなかったことも加わって、消費者の買い換え意欲が引き続き低調だったからだと説明している。

■中央政府が 100 億元の資⾦を拠出、再び穀物⽣産農家に農業⽣産資材⼀時補助⾦

財政部によると、中央政府は⼀般公共予算からこのほど 100 億元(1 元は約 19.1 円)の資⾦を拠出し、穀物を実際に栽培する農家に農業⽣産資材⼀時補助⾦を支給し、夏の収穫シーズンおよび秋の種まきシーズンを支援し、農業⽣産資材の価格上昇がもたらす穀物⽣産のコスト増大の影響を緩和し、農家の穀物栽培への積極性をさらに喚起するという。

2022年5月24日

■上海市の経済活動ほぼ半減 4 月、⽣産は 6 割減

都市封鎖に踏み切った上海市の 4 月の経済活動は前年に⽐べほぼ半減した。⽣産が前年同月⽐ 6 割減、⼩売りと不動産開発は 5 割減になった。上海市は 6 月に封鎖を解除する⾒通し。新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策で受けた打撃を軽減するため、中⼩・零細企業向けに 1400 億元(約 2 兆 7000 億円)相当の税の減免を実施する方針。

■期間 5 年以上のローンプライムレートを引き下げ

中国⼈⺠銀⾏(中央銀⾏)は 5 月 20 ⽇、ローンプライムレート(以下、LPR)の期間 5 年以上を 4.60%から4.45%に 0.15 ポイント引き下げると発表した。期間 1 年の LPR は 3.70%で据え置いた。期間 5 年以上の LPR は住宅ローンなど中⻑期融資の基準になる。2022 年 1 月 20 ⽇以来 4 カ月ぶりの引き下げとなった。⼀部地域での新型コロナウイルスの感染拡大の⻑期化、それに伴う封鎖管理強化による物流や企業活動、消費⾏動への影響が懸念される中、中国⼈⺠銀⾏は 4 月 15 ⽇に預⾦準備率の引き下げを発表していた。

■上海市、従業員の通勤を条件付きで解禁 5 月内に

上海市は 6 月の都市封鎖(ロックダウン)解除を前に企業活動を段階的に正常化する。5 月内に従業員の通勤を⼀定の条件付きで認める。従業員が⼯場内に寝泊まりしながら働く「⼯場隔離」が不要となり、操業再開が進む⾒通しだ。港や空港など物流網の回復も進める。

■就業安定化に向け、大卒者を雇用した企業への補助などを実施

5 月 11 ⽇に開催された国務院常務会議では、財政・⾦融政策において雇⽤を優先する方針が強調された。また、税の軽減や還付、社会保険料の納付猶予、資⾦調達コストの削減により市場主体(企業など)・就業の安定を目指し、基本的な⺠⽣、安定成⻑、消費促進を保障するとした。また、各種の政策ツールをさらに検討・実⾏し、地方政府の積極性を引き出しつつそれぞれの責任を果たさせるなど、就業の安定化に適切に取り組むとしている。
さらに国務院弁公庁は 5 月 13 ⽇、「大学新卒者など若者の雇⽤・起業の促進に向けた取り組みに関する通知」を発表した。大学新卒者を雇⽤する中⼩・零細企業に対して社会保険料の補助や税の減免などの⽀援策を実施する。

■海南省の対外貿易が加速し、EU が最大の貿易相⼿に

海口税関の統計によると、2022 年 1-4 月、海南省の貨物貿易輸出⼊総額は前の年の同じ時期と⽐べて 68.8%増え、598 億 4000 万元で、伸び率は全国トップを維持した。その中で、輸出は 89.6%増加し 151 億 8000 万元、輸⼊額は 62.8%増加し 446 億 6000 万元となった。1-4 月の海南省の対外貿易のデータから⾒ると、⼀般貿易が 4割超を占め、貨物貿易が急速に増加している。また、EU と ASEAN が上位 2 つの貿易パートナーとなり、「⼀帯⼀路」沿線諸国に対する輸出⼊を倍増させた。国有企業が急速に増加し、外資系企業の輸出⼊も 8 割近く増加した。

2022年5月17日

■中国 1-4 ⽉の対外貿易 7.9%増

今年 1-4 月には、中国の物品貿易輸出⼊総額が前年同期比 7.9%増の 12 兆 5800 億元(1 元は約 19.4 円)に上り、うち 4 月は増加率が目に⾒えて鈍化し、対外貿易にかかる下方圧⼒が顕在化した。その中で、1-4月には中国のハイテク製品輸出の伸びが好調だった。電気機械製品の輸出は同 6.7%増の 4 兆 400 億元で、輸出総額の57.9%を占めた。

■北京市、封鎖・管理区域以外の感染者ゼロ目指し連⽇ PCR 検査を実施

5 月 12 日の北京市記者会⾒の発表によると、5 月 11 日午後3時から 5 月 12 日午後3時までの北京市の新規感染者は 36 人で、そのうち朝陽区が 14 人だった。また、36 人のうち、封鎖・管理区域内の感染者は 32 人、封鎖・管理区域以外で実施されている PCR スクリーニング検査によって確認された感染者が 4 人だった。市内の飲食店における店内飲食(屋外のテラス席や屋台などでの飲食も含む)は⼀時停⽌されており、デリバリーやテークアウトのみ可能となっている。
北京市では社会⾯(封鎖区域や管理区域、集中隔離施設などを除くエリア)において依然として感染者が散発的に確認されている。⼀方、「ロックダウン」を⾏う方向ではなく、食料品の買い占めや物資の買いだめなどは必要ないとした。市⺠の生活にとって必要な物資の供給は⼗分であり、フードデリバリーや宅配の配送も⽌めないとした。

■蘇州市内のほとんどの企業が⽣産再開と発表

江蘇省蘇州市の顧海東副市⻑は 5 月 6 日の記者会⾒で、4 月 29 日以降 7 日連続で市内の新型コロナウイルスの感染者がゼロとなったと発表した。同市では前回(4 月 29 日)の記者会⾒以降、市内の封控区 86 カ所、管控区75 カ所が解除されたという。これに伴い、4 月 29 日時点と比較すると、防疫管理が強化されているエリアの封控区と管控区の居住者に該当する人数も、封控区は約 4 万人近く、管控区は約 24 万 4,000 人減少した。5 月 4 日に市内全域が低リスク地域と指定され、他区域への移動制限が緩和された。また、5 月 5 日午前 0 時から封控区、管控区を
除く市内全域で徹底した防疫対策を前提として生産活動を回復させている。
5 月 5 日時点で、蘇州市の⼀定規模以上の⼯業企業 1 万 2,486 社の再稼働率は 99.6%に達した。感染拡大の影響が最も大きかった蘇州市下の県級市である昆⼭市や太倉市でも、全⾯的に再稼働している。また、蘇州市内の再稼働済みの⼀定規模以上の⼯業企業の稼働率は、稼働率 80%以上が48.8%、稼働率 60%〜80%が 28.9%で、生産の回復が⾒受けられる。また、蘇州市はサービス業の防疫ガイドラインを作成し、郵便速達、交通、銀⾏、ショッピングモール、スーパー、理容業などの秩序ある活動再開を推進している。

■中国の4⽉消費は11%減、⽣産もマイナス

中国国家統計局が16日発表した4月の主要経済指標によると、消費動向を示す小売売上⾼は前年同月比11.1%減だった。マイナスは2カ月連続で、下落幅は前月(3.5%)から拡大。小売売上⾼の内訳では、当局の感染対策の影響を受けやすい飲食店収⼊は22・7%減と落ち込みが大きかった。⾃動⾞が31・6%減となったほか、宝飾品や化粧品も2割台の下落を記録した。薬品は7・9%増で、感染拡大を受けて購⼊が進んだとみられる。⼯業生産は2・9%減だった。前月(5・0%増)から⼀気に落ち込んだ。生産量では⾃動⾞が43・5%減だった。上海など封鎖に踏み切る都市が相次いでいることを受け、サプライチェーン(供給網)が深刻な打撃を受けている。

2022年5月10日

■国務院が新型コロナの影響緩和のために消費促進策を発表

国務院弁公庁は 4 月 25 日、「消費の潜在力をさらに引き出すことによる消費の持続的な回復の促進に関する意見」を発表した。消費の回復促進および消費財の供給確保などに向けて、5 分野 20 項目の重点措置を掲げている。
具体的には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を緩和するため、影響が大きい中小零細企業、個人事業主に対し、税の減免、金融支援などの支援策を実施することを改めて盛り込んだほか、地方政府に対し、小売り、飲食企業等の従業員に対して無料で PCR 検査を提供し、防疫・消毒関連費用に補助金を出すことを奨励するとした。
また、農村における消費の潜在力を引き出すため、企業に対し、自動車、家電を重点とした販促キャンペーンの開催を促すほか、農村での新エネ車や省エネ・スマート家電の販売促進を行い、充電インフラ施設の整備を促進する。

■中国、5 月から石炭の輸入暫定税率をゼロに

国務院関税税則委員会弁公室によると、エネルギーの供給保障を強化し、質の高い発展を推進するため、同委はこのほど公告を発表し、2022 年 5 月 1 日から 2023 年 3 月 31 日まで、すべての石炭に対して税率がゼロとなる輸入暫定税率を適用するとした。公告の付表によると、これまで 3%、5%または 6%の最恵国税率が適用されてきた輸入石炭だが、今回の決定により一律にゼロ関税が適用されることになる。

■中国人民銀行 交通運輸・物流業支援に 1000 億元の再融資開始

中国の中央銀行である中国人民銀行は 6 日、1000 億元(約 2 兆円)の再融資を早期に打ち出して交通運輸、物流倉庫業の融資を支援する方針を明らかにした。また、中国人民銀行は4日、金融政策支援によって潤沢な流動性を確保し、国内の新型コロナウイルス流行で大打撃を受けた企業を支援し、消費の回復を支える方針を示した。金融機関が実体経済のニーズを満たすことを目指すべきとし、例として、中小企業向けの低利融資の拡充、コロナ禍で深刻な影響を受けているサービス業、航空会社、貿易会社の支援を挙げた。

■北京4カ所が「高リスク地区」 企業に在宅勤務指示

新型コロナウイルス感染者の確認が相つぐ北京市で、市政府の定例記者会見が 5 月 5 日開かれ、北京市疾病対策予防センターは、同市朝陽区と房山区の計 4 カ所を、最高警戒レベルの「高リスク地区」に指定したことを明らかにした。北京市当局は、朝陽区など感染者が確認された重点地区を対象に、党・政府機関と大企業については出勤者を 50%以下にするよう要請。事務職の企業従業員については、原則として在宅勤務を命じた。屋内型の娯楽施設、フィットネスクラブ、研修機関は全部休業を命じた。