2025年中国全⼈代︓景気刺激策の核⼼と新機軸

中国の全国⼈⺠代表⼤会(全⼈代)が今日(5日)開幕しました。中国は景気減速が報道されていますが、今年の全⼈代では、何が重要なのか、教えてください。

 2025 年の中国全⼈代では、以下の内容が伝えられました。
 景気刺激策は、「デジタル需要創出」と「構造的デフレ」への対応に重点が置かれました。

  1. 2025 年度主要経済目標
    今年の経済成長率目標は5%前後と、前年と同じ伸び率に設定。国際情勢の激変、米国による追加関税の影響を緩和するため、財政出動を昨年よりも拡大します。

(1)三大景気刺激パッケージとして、 デジタル消費拡大政策(予算:2,800億元)。

  • 「スマート家電更新補助」
    省エネ基準を満たす冷蔵庫/エアコン購入で最大2,000元還元(対象世帯5,000万軒)。
  • バーチャル空間経済の育成
    Metaverse プラットフォーム開発企業に法人税10%優遇(通常25%)。
  • データ取引市場の整備
    個人データ取引で年120万元まで非課税(例:健康データを製薬会社に提供)。

(2)課題となっている不動産市場は活性化策として、総額:5.3兆元の予算を計上します。

  • 「家賃補助金制度」新設
    大卒者向けに初年度家賃の50%を3年間補助(対象都市30都市)。
  • 地方政府デット・エクイティスワップ
    不動産開発企業の負債を地方債に転換(上限1兆元)。
  • スマートホーム税制優遇
    IoT 設備導入住宅の固定資産税を20%減免。

▼(3) 中小企業向け金融緩和(融資枠:10兆元)

  • 「AI業績予測融資」導入
    過去3年のデータ分析で金利を0.5-2%優遇(対象企業300万社)。
  • 輸出保険補償率引き上げ
    新興国向け輸出で90%→95%補償(日系商社にも適用)。
  • デジタル人民元利子補填
    中小企業向け融資の年利2%を中央銀行が負担。

    2.業界別重点支援策
業界具体策経済効果見込み
EV・自動車充電ステーション増設補助(1基あたり5万元)2025年内にEV販売1,500万台(世界シェア60%)
半導体先進プロセス工場の電気料金50%減免(5年間)28nm 以下生産能力を月産200万枚に倍増
農業スマート農業機械リース補助(費用の30%)食糧自給率68%→71%へ改善
観光外国人向けデジタルビザ発行時間を24時間に短縮訪中観光客数8,000万人回復(2019年比90%)

3. 金融市場改革の新展開

    • 「A株」制度の国際化加速
      外国企業の上場要件を緩和(利益要件撤廃→時価総額300億元以上)。
    • 人民元為替バンド拡大
      対ドル相場の変動幅を±3%に(従来±2%)。
    • デジタル債権市場創設
      ブロックチェーン技術で中小企業の売掛債権を証券化。

    4. 海外企業向け特例措置

      • 「日系企業専用特区」新設
        蘇州工業園区に「中日デジタル融合ゾーン」を設置(法人税12%)。
      • 技術移転規制の例外措置
        日本企業が先端材料技術を中国合弁会社に提供する場合、出資比率上限を60%に緩和。
      • クロスボーダーESG融資
        三菱UFJ銀行と中国工商銀行が共同でグリーンプロジェクト融資枠(1兆円)を設定。

      中国経済の転換点
      「量的拡大」から「需要創造型成長」へパラダイムシフトが明確化。日本企業にとっては、デジタル消費関連技術(例:家電IoT)と金融イノベーション(例:デジタル人民元決済)が最大の参入機会に。一方、半導体・AI分野では「技術主権」を強化する中国の規制が日米連携をさらに促す構図が鮮明に。

        
      以上