資本⾦払込未了で清算する場合や利益配当を海外送⾦する場合

前号の資本⾦払込未了で(1)会社を清算する場合、(2)現⾦出資⽐率について、(3)株主の利益配当を海外送⾦する場合に、何か規制があるのでしょうか。

(1)全額払込未了での期前解散
 前号で解説した、定款に「経営期間内の払込」と記載し、部分的な払い込みしか実施していない状況で期前解散する場合について解説します。
 根拠法は、「企業抹消の円滑化推進に関する通知(国市監中[2019]30 号)・付属文書 2」となり、企業生産に際して、残余財産が債務弁済に不⾜する場合、「未払込の資本⾦の範囲で、出資者が弁済義務を負うべきである」と規定してあります。
 つまり、全額払込未了でも債務弁済に支障がなければ、未払込部分の支払いは不要で期前解散ができます。一方、債務弁済に支障をきたす場合は、出資者は払込未了の資本⾦額の範囲内で弁済責任を負うことになります。

(2)現⾦出資⽐率について
 改正前の会社法では現⾦出資⽐率を 30%以上とすることが義務付けられており、現物出資⽐率は 70%以内でしたが、この制限も 2017 年 3 月 1 日に廃止されました。
 ※現⾦出資の方法
 以前は、海外からの資本⾦払込は外貨のみ可能でしたが、クロスボーダー⼈⺠元決済制度の開始により、「クロスボーダー⼈⺠元建て直接投資に関する問題の通知(商務函[2011]889 号)」・「クロスボーダー⼈⺠元直接投資に関する問題の通知(商務部公告 2013 年第 87 号)」が施⾏され、⼈⺠元での支払いが可能となりました。ただし、ここで⾔う現⾦は、銀⾏間で国際送⾦されたものを指します。中国国内で調達した現⾦を払い込んでも出資とは認められません。

(3)株主の利益配当を海外送⾦する時
 資本⾦の払込未了の会社が、株主配当⾦という名目で海外送⾦することも考えられる。しかし、これについては現在、国は明確な規制を設けておらず、各銀⾏の内部リスク管理(リスク管理規定)に応じて決められている。
 資本⾦の払い込みがまったくない場合、株主配当⾦の送⾦はできない(株主の配当可能利益を国外に送⾦することはできない)。国有⾊が強い四⼤銀⾏(中国⼯商銀⾏、中国建設銀⾏、中国農業銀⾏、中国銀⾏)に会社⼝座を開設した場合、より厳格な管理のため、資本⾦が整っていないと株主配当⾦の送⾦ができない。
 一方、商業銀⾏は上述した 4 ⼤銀⾏より融通が利く。交通銀⾏によると、現在、同⾏の政策は、資本⾦が払い込まれていない場合でも株主に利益分配できると説明した。また、海外に送⾦することも可能であるとの回答だった。さらに上海 H&J の資本⾦が未整備のままでも、会社が清算されるときは、会社の営業利益は国外(株主)に送⾦できる。

以上