大連における新エネルギー・低炭素の推進について

大連市が水素エネルギーに力を入れていると聞きました。どのような取り組みなのか、教えてください。

 大連市政府は 8 月 17 日、大連ボイラー圧力容器検験検測研究院が出資する大連水素エネルギー測定センター(以下、測定センター)の第 1 期工事が完成したと発表しました。総投資額は 1 億 7,000 万元(約 34 億円、1 元=約 20 円)で、ガスシリンダーとその付属品分野で中国最高レベルの試験場となります。
 また、水素燃料電池車向けの水素貯蔵・供給システム分野において、中国初の専門の実験室も完備しています。今回、測定センターの完成は大連市の水素エネルギー産業が更なる発展していくことを意味しています。大連市発展改革委員会は、大連市の水素エネルギー産業の発展動向について、「水素燃料電池車をはじめとし、今後は水素エネルギー船、機関車、航空機、分散型発電所、熱電併給、エネルギー貯蔵などの分野にも拡大する」との見通しを示しました。


■大連新興産業の発展
 大連は中国でも新興産業が発展している都市のひとつです。中国科学院大連化学物理研究所は、水素エネルギーの利用に関する研究に従事する中国で最も早い科学研究機関であり、水水素エネルギーと水素燃料電池の基礎研究と技術革新のハイランドです。新源動力股份有限公司と提携し、中国の現行燃料電池規格 51 のうち 45 の規格策定に参加し、国内外における水素エネルギー産業技術において、大連の主導的地位を固め続けています。
 水素の調製、貯蔵、輸送、燃料電池、水素エネルギー応用の分野において、大連市には既に 50 以上の企業や研究機関が集まっており、基本的にはより完全な産業チェーンを形成しています。
 さらに、今回測定センターの完成と共に水素の製造、貯蔵、輸送、燃料補給、燃料電池システム、そして応用に至るまで、完全な産業チェーンを備えるようになりました。

 そのほか、大連経済技術開発区は、国内初の「水素製造・充填ステーション技術規範」を発表し、水素製造・充填ステーションの安全性をさらに向上させました。 また、水素燃料電池車の迅速な通関、効率的な監督と科学的検査を実現するため、国内初の「全車両水素ボンベ陸上監督検査メカニズム」を導入しました。
 一方、大連市は、風力、太陽光、水力、原子力などクリーンエネルギー発電が盛んで、原子力発電、風力発電、太陽光発電は、従来の火力発電をはるかに上回っています。2022 年末までに、非化石エネルギー発電の設置容量が59.8%を占め、新エネルギーの発電量は遼寧省全体の 70%に達しているということです。

■「ダブルカーボン」(注)目標
 2021 年 12 月国務院発令の「計量発展規画(2021~2035)」に沿った遼寧省政府の政策実施に伴い、中国・遼寧省市場監督管理局は 4 月 28 日、「遼寧省炭素計量センター」(以下、同センター)が大連市に設立されたと発表しました。同センターは、省レベルで設立される全国初の炭素計量センターです。同センターの設立は、企業の二酸化炭素(CO2)の計量システムの整備や計量サービスの提供をサポートすることを目的としており、同省が掲げる「ダブルカーボン」目標の達成を実現する手段として期待されています。遼寧省は、特に先端設備製造業、石油化学工業、金属加工業など重点産業の電力分野の炭素排出削減に焦点を当てています。

(注)「ダブルカーボン」とは、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの略称

 

以上