中国で勝手にビジネス活動していると PE(恒久的施設課税)が適用される!?
- 中国の工場で当社の製品の委託生産を⾏い、日本に輸入しています。その製造状況の確認や、工場との打ち合わせを⾏うこと、また中国国内で製品の販売先を開拓するため、日本で中国人を社員として雇い、工場の近くに住居を借りて活動を始めました。現地法人がない状態で、このような活動を⾏うことは問題がありますか︖
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中国現地に正式な拠点がなく、中国従業員が現地の生産や営業に関わると、PE(恒久的施設課税)が適用されることになります。
すなわち、非居住者企業が従業員またはその他の人員を通じて、中国国内で 1 つの事業または 2 つ以上の関係事業についてコンサルティング労務を提供する場合も、一定の期間を超えれば PE と認定されます。
以下にポイントを整理してみます。●日中租税条約第5条第5項のサービス PE に関する規定
日中租税条約では、12 カ⽉間に連続または累計で 6 カ⽉を超える場合。また、国家税務局公告 2018 年 11 号では、「6 カ⽉」は「183 日」であると解釈されます。
※日中租税条約第5条第5項の条文
一方の締約国の企業が他方の締約国内において使用人その他の職員(7 の規定が適用される独⽴の地位を有する代理人を除く。)を通じてコンサルタントの役務を提供する場合には、このような活動が単一の工事または複数の関連工事について⼗⼆箇⽉の間に合計六箇⽉を超える期間⾏われるときに限り、当該企業は、当該他方の締約国内に「恒久的施設」を有するものとされる。
この 183 日は、一人の出張者によって役務を提供された滞在日数ではなく、プロジェクトに関わっている出張者全員の合計の滞在日数でカウントされます。また、PE 認定されると、短期の出張者でもその日数分に個人所得税が課税されることになります。●PE による 183 日ルール適用除外と企業所得税
また、日中租税条約第 15 条第 2 項では、短期滞在者免税が規定されており、中国滞在が1年度で 183 日以下、給与の支払いや負担が日本または他国の場合は、中国で個人所得税が課されません。しかし、PE 認定されると出張者の給与は中国内の PE が支払っているとみなし、通称 183 日ルールが適用されなくなります。そのため、出張者は中国での滞在日数に応じて日本でもらう給与の個人所得税を中国で納付しなければいけません。
さらには、当該ケースで PE 認知されると、取引上の日本本社の利益に対し、現地 PE のみなし利益率(15%〜50%)を設定した上で、25%が企業所得税として課税されることになります。
※参考︓日中租税条約 China1983_jp_en.pdf (mof.go.jp)
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