資本⾦の払い込み期限到来と、資本⾦が未払いのままの撤退
- 中国に合弁の現地法⼈を設⽴しましたが、新型コロナが拡⼤する時期と重なってしまい、いまだに稼働できていない状態です。しかし、設⽴当初に定めた定款の中には、資本⾦の⽀払い期限が記載されており、もうすぐその期限が来ます。どのような⼿続きを⾏えばよいのでしょうか︖また、いざという場合に撤退も視野にいれておきたのですが、資本⾦が未払いでも清算は可能でしょうか︖
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⼀般的は、資本⾦の納付承認時期を延期する必要がある場合は、その現法のある地域の市場監督管理局に資本⾦の延期届出申請を提出します。
1.営業許可証コピー
2.会社変更届出申請書
3.会社の最⾼権⼒機構(通常は株主会)の資本⾦の納付時期の延期に関する決定
4.委任状以前の公司法では、初回払込を、登録資本⾦の 20%以上として、残額を 2 年以内に払込ことが要求されてしましたが、改定によりこの制限が撤廃されました。会社の定款にどのような規定があるのかが重要で、「経営期限内に払込」と記載しておけば、その期限内に払い込めばよいですし、合弁企業の場合なら、⼀定の年数を記載しておく場合もあります。
では、資本⾦払い込みを完了しないまま、期前に撤退はできるのでしょうか。また、清算するなら残額の資本⾦を払い込むよう要求されるのでしょうか︖
中国は、「登録資本⾦制度」で、払い込むべき資本⾦額が定款に規定されています。2014 年の改定で、払い込み時期は上述のように緩和されましたが、外商投資企業が資本⾦を払い込まないまま清算ができるかどうかについては、明確な規定が確認できませんでした。ただし清算の基本はあくまでも、債権者に対する債務弁済のはずで、債権者に弁済ができないのであれば債務超過となり、⼈⺠法院に対して破産申⽴を⾏うことになります。この原則さえ揺るがないのであれば、最低資本⾦も資本⾦払い込みの期限も撤廃となったわけです。
つまり、資本⾦があってもなくても、振り込まれていてもいなくても、債権者に迷惑を掛けずに清算できるならばそれでよいというスタンスだと筆者は理解しています。逆に言えば、資本⾦の状況に関係なく、債権者に迷惑をかけるのであれば、日本の親会社にまでその責任は飛んでいくーーともとれます。
弊社はこれまでに数多くの日系中国現地法⼈の撤退を⽀援してきましたが、基本的に経営状況がよい現法はほとんどありませんでした。悪いから撤退する企業がほとんどです。そのため、事前に従業員の経済補償⾦や様々な債務弁済等で必要な費用を積算し、それを上回る資⾦が企業内に留保されているのかが重要でした。資⾦が不⾜していれば日本の親会社から増資して清算処理をするのが⼀般的です。
資本⾦を全額払い込んでいない状態での清算から、話が若⼲飛躍してしまいましたが、中国政府の中にも原理原則のような考え方が存在しており、それを持って当局と交渉すれば、意外と難しい局面も打開できるということが多々あります。以上