中国の配膳・配送ロボット事情 (2)

最近、いろいろなところで中国製ロボットを⾒かけるようになりました。中国のロボット産業はどうなっているのでしょうか。

 3 月 1 日号に引き続き、中国の配膳・配送ロボット事情をみていきます。中国の外食産業向け配膳・配送ロボット市場は、この 2 年間の非接触配送の需要の高まりや人件費の上昇などを受け、急成⻑しました。2021 年の中国の外食産業向けサービスロボットの市場規模は 8400 万ドル(約 110 億円)、年間成⻑率は 110%を超えています。つまり2倍以上成⻑したことになります。

 その中のロボットメーカー上位をみてみると、
①「上海擎朗智能科技(KEENON)」
②「深圳普渡機器人(PUDU)」
③「蘇州穿山甲機器人(PANGOLIN ROBOT)」
④「猟⼾星空(ORIONSTAR)」・・・となっています。
 シェア 1 位は 48.6%の上海の KEENON 社で、成⻑率でも 153.4%でトップ。ソフトバンクから 260 億円の出資を受け、業界をリードしています。KEENON 社の強みは、高い技術研究開発能⼒と独⾃の知的財産権があり、⼤量⽣産における規模とコストの優位性を有していることです。中国に 3 つの工場があり、年間 5 万台の⽣産能⼒があります。
  一方で、猫型ロボットで旋風を巻き起こしているプードゥー社は資⾦難で苦慮しており、昨年(2022 年)は3回リストラを⾏い、新たな資⾦調達を模索していると伝えられています。
※中国商用サービスロボット⼤手「普渡科技」、再び⼤規模リストラを実施(https://36kr.jp/194304/

 いずれにしても配膳ロボットの導入は今後、世界的に広がっていくと⾒られており、2023 年の世界市場は、250 億ドル(約 3 兆 3 千億円)を⾒込んでいます。とくに日本では、少子高齢化が進んで人手不⾜が深刻になっており、加えて円安で外国人労働者が働きにくい状況ですから、配膳ロボットの潜在マーケットは⼤きかったということが言えると思います。

【SLAM 技術を応用】
 SLAM とは「Simultaneous Localization and Mapping」の略称で、「⾃⼰位置推定と環境地図作成を同時に⾏う」技術。ドローン、⾃動運転、掃除ロボット等に利用され、 GPS 測位を必要としない点が特徴です。センサーが3
つあり、最適なセンサーを選択して利用します。
①LiDAR(ライダー)SLAM︓離れた場所にある物体の形状や距離を、レーザー光を使って測定するセンサー。
②Visual(ビジュアル)SLAM︓カメラから取得した画像データを基に周辺環境を把握。
③Depth(デプス) SLAM︓ToF センサーというレーザー光や超音波などを照射し、 物体に反射して戻ってきたものを検出して距離を測る。

 

以上