2023 年中国経済の注目点と米・中・日の「GDP」について

中国経済の今年の⾒通しはどうなっていますか︖また、注目点があれば教えてください。

◇2023 年の中国経済の注目点
 中国の経済成⻑率は実質で前年⽐ 3.0%増でした。米中貿易摩擦やゼロコロナ政策の影響で政府目標の 5.5%を大幅に下回りました。ただし、国内総生産(GDP)は約 121 兆元と、日本円に換算すれば 2,300 兆円余りで日本の約 4 倍に達したもようです。
 中国政府がゼロコロナ政策を転換したことに反応して、複数の国際機関が 2023 年の中国経済の成⻑率予測を相次いで上方修正しました。国際通貨基⾦(IMF)は 23 年の中国経済成⻑率を大幅に引き上げて 5.2%とし、世界銀⾏も 23 年の中国経済成⻑率は 4.3%に達するとの予測を出しています。中国の成⻑率目標は 3 月 5 日に開幕する全国⼈⺠代表大会で表明される予定です。

 今年の中国経済の注目点は、ゼロコロナを転換した後の消費回復⼒です。コロナの影響が大きかったコロナ悪化 3 業種といわれる①交通・運輸・倉庫・郵便業、②卸小売業、③宿泊飲食業は、急速に回復に向かうと⾒られています。
 また、中国政府は消費拡大策として、生活サービス関連業者・個⼈事業者に対する支援や⾃動⾞などの大⼝商品の消費促進を掲げており、小売業や飲食店、商業施設などの接触型サービスの急回復を図るとしています。

 さらに、中国が強みを持つ IT 分野に対しても期待されています。バイドゥ、アリババ、テンセントに加えてファーウェイの4社で BATH と呼ばれていますが、中国政府から IT 企業の発展牽引⼒を期待されています。昨年 12 月に開催された中国経済工作会議で、「デジタル経済を大いに発展させ、常態化監督管理レベルを⾼め、プラットフォーム企業が発展牽引、雇⽤創出、国際競争の中で⼒を発揮することを支持する」と表明したことで、国家方針としてデジタル化を打ち出している点が注目されています。

◇米・中・日の「GDP」国別推移
 中国経済を日米との⽐較で⾒てみます。下記のグラフの通り、2010 に中国に GDP を追い抜かされ、12 年ほどの間に中国は日本の 4 倍の規模になりました。とくに昨年は、日本は円安に振れました。2012 年の 10 年前、1元は 12 円でしたが、昨年は 20 円を超えたので、日本円の対⼈⺠元レートは40%下落したことになり、海外からみると半値の感覚だといいます。

 

 このグラフからわかることは、成⻑していて、経済⼒があるという意味で、米中どちらかではなく、どちらも日本にとって大事ということです。⾒方によっては、米中が切磋琢磨して経済成⻑を競い合っているようにも⾒えますし、日本経済の成⻑が⽌まっていることが異様に⾒えてきます。
 いずれにしても、日本企業が成⻑する中国とアメリカの市場にコミットするのは、経済合理性からみれば当然のことだと理解できるかと思います。グラフには掲載していませんが、4 位にドイツ、5位にインド、6位にイギリス、7位にフランスとなっていて、インドの成⻑率は7%で 2027 年には日本を抜いて、米中の争いの中に加わっていくとみられています。

以上