今週のトピックス(2023年7月)

2023年7月26

■6 ⽉の中国⾃動⾞市場、プラス成⻑維持、伸び率は鈍化

中国自動⾞工業協会(CAAM)が 7 月 11 日に発表した 6 月の自動⾞販売台数は前年同月比 4.8%増の 262万 2,000 台だったが、伸び率は前月(27.9%)より大幅に鈍化した。⽣産台数は同 2.5%増の 256 万 1,000台、前月比ではそれぞれ 10.1%増と 9.8%増だった。販売台数の内訳は、乗⽤⾞が 226 万 8,000 台(前年同月比 2.1%増)、商⽤⾞が 35 万 5,000 台(同 26.3%増)だった。うち新エネルギー⾞は 80 万 6,000 台(同35.2%増)で、自動⾞販売台数全体に占める割合は、2023 年 1 月から拡大し続け 30.7%となった。

■中国の無人貨物機、世界最大級で低コストに

大型無人貨物機の開発を手がける中国スタートアップ企業「白鯨航線(AirWhiteWhale)」が、真成投資(Zhencheng Capital)の主導するエンジェルラウンドで数千万元(数億〜⼗数億円)を調達した。資⾦は主に大型無人貨物機の開発や設計、テストベンチ構築、機体構造強度試験などに充てられる。

■中国、⽇本の⽔産物を全量検査 放射性物質巡り

中国の税関当局が日本からの輸入水産物への放射性物質の検査を強化している。在上海日本総領事館が 19 日、明らかにした。これまで中国側は一部を対象にサンプル検査をしていたが、全量検査に切り替えたとみられる。日本からの鮮⿂などが税関で留め置かれる事例が発⽣している。

■「半導体のグローバルな協⼒を」 中国業界団体が声明文

中国の半導体の業界団体、中国半導体⾏業協会は 19 日、半導体産業のグローバルな発展の維持を求める声明文を発表した。⽶国半導体工業会(SIA)が 17 日、バイデン⽶政権の追加の対中半導体規制を懸念する声明を公表したことに対応した声明で、⽶国の規制強化に反対する姿勢を改めて示した。

■中国電池大手の国軒高科がシーメンス、BASF と協⼒強化

中国のリチウムイオン電池大手の国軒⾼科(Gotion High-Tech)は、ドイツのシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアと戦略的パートナーシップ協定、BASF と覚書(MOU)を締結した。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアとは、人工知能(AI)産業⽤制御システムを活⽤したクローズドループによるデジタル化研究、製造、マネジメントプラットフォーム構築や、シーメンスのソリューションを使⽤した国軒⾼科のデジタルトランスフォーメーションなどを⾏う。

■テスラ、中国「値下げ合戦」にリスクの芽 4〜6 ⽉は増益

電気自動⾞(EV)大手の⽶テスラが 19 日発表した 2023 年 4〜6 月期決算は純利益が前年同期比 20%増だった。22 年秋からの値下げ効果で販売が増えて 2 四半期ぶりの増益を確保したが、利益率は下がった。先⾏き懸念が強まってきたのが重要市場の中国だ。値下げ合戦が過熱するなか、現地大手の後手に回りかねなくなっている。

2023年7月19

■2023 世界人工知能大会が開催、生成 AI 技術に注目が高まる

2023 世界人工知能大会(WAIC)が 7 月 6~8 日、中国・上海世界博覧中心で開催された。同大会は 2018 年に開催して以来、6 回目の開催となった。展示面積は過去最大の 5 万平方メートルに達し、出展企業は 400 社以上にのぼった。展示製品は大規模言語モデル、半導体チップ、ロボット、自動運転など多岐にわたった。

■ファーウェイ、特許使用料の基準公開 Wi-Fi 機器 1 台 70 円

中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は同社が保有する通信関連の特許の使用料の基準を公開した。無線通信の Wi-Fi 機器は 1 台 0.5 ドル(約 70 円)、スマートフォンは 1 台最大 2.5 ドルを要求する。同社は日本を含む各国で特許使用料の交渉を広げており、基準を示し理解を求める狙いだ。

■中国輸出 2 期ぶりマイナス 4~6 月 4.7%減、雇用回復に影響

中国税関総署が 7 月 13 日発表した貿易統計によると、2023 年 4~6 月の輸出(ドル建て)は前年同期比 4.7%減った。世界経済の減速に加え、米国などが対中依存の軽減を進めており、2 期ぶりのマイナスとなった。輸出の減少は工場労働者らの雇用回復に影を落とす。輸入も内需が振るわず 3 期連続で前年同期を下回った。

■香港、日本の水産品を一部禁輸へ 処理水放出で

香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政⾧官は、東京電力福島第 1 原子力発電所の処理水が海洋放出された場合「(日本からの)大量の水産品の輸入を禁止する」と表明した。李氏は記者会見で「処理水放出によるリスクは未知数だ」と指摘。香港は日本の食品輸出先で第 2 位となり、水産業への影響が懸念される。

■仏ルノーと中国・吉利、エンジン会社設立を正式契約

仏ルノーと浙江吉利控股集団は、折半出資でエンジンなど内燃機関車向けシステムを手掛ける合弁会社を設立することで合意したと発表した。2022 年 11 月に基本合意しており、今回正式に契約を交わした。新会社はルノーと吉利が対等な立場で、取締役会のメンバーを半数ずつ出す。

■華菱鋼鉄が電磁鋼板増産に 1,195 億円投資、NEV 向け需要増

湖南華菱鋼鉄は、電磁鋼板の増産を行う 2 期目のプロジェクトを発表した。当プロジェクトは傘下子会社の湖南漣鋼電磁材料を通じて行われ、総額 59 億 7,700 万元(約 1,195 億円、1 元=約 20 円)を投じ、湖南省婁底市に生産拠点を設置する。生産能力は年間で方向性電磁鋼板 22 万トン、無方向性電磁鋼板 40 万トンにのぼり、2024年 9 月に着工を予定している。

2023年7月12

■武漢天河国際空港の発着枠拡大、国際線の復活も加速

武漢天河国際空港(以下、天河空港)の運営を行う湖北機場集団は 6 月 26 日、中国民用航空局が天河空港の発着枠の調整案を承認し、ピーク時の 1 時間当たりの発着枠が 42 機から 55 機に拡大されたと発表した。天河空港の発着枠拡大に伴い、航空便を増加させ、国際便では、ドバイやシドニー、ロンドン、東京、プーケット、マレ、ハノイなどへの路線を新設・再開するとしている。

■中国、車値下げ抑制で 16 社合意 自国 EV 保護へ政府介入

中国国有自動車大手や比亜迪(BYD)、米テスラなど 16 社は 6 日、中国市場で過当競争を避けることで合意した。中国の電気自動車(EV)市場は価格競争が激化し、メーカーの収益力が低下している。巨額の補助金を通じて EV産業を拡大してきた中国は、自国の大手を保護するため政府が主導する形で市場の修正を迫られた。

■中国セムコープ、初の海外工場稼働 ハンガリーで EV 部材

電気自動車(EV)向け電池の主要部材であるセパレーター(絶縁材)の世界最大手、雲南恩捷新材料(セムコープ)は 4 日、初の海外工場をハンガリーで稼働させたと発表した。国内外で増産を進めて首位固めを狙う。ハンガリー東部のデブレツェンに建設した第 1 生産ラインが 3 日に稼働した。今後もラインを増やす計画で、総投資額は約 3 億4000 万ユーロ(約 530 億円)を見込む。

■イランが上海協力機構に正式加盟

上海協力機構(SCO)の第 23 回首脳会議が 7 月 4 日、インドのナレンドラ・モディ首相を議⾧としてオンラインで開催され、準加盟国だったイランの正式加盟が承認された。首脳会議には中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、インドのモディ首相らが参加し、イランが SCO の新たな正式メンバーとなったことを祝福するとともに、参加に満足の意を表明した。

■スイス自動車部品メーカーのギャレット・モーション、武漢工場を拡張

スイス自動車部品メーカーのギャレット・モーションは 6 月 28 日、中国・湖北省武漢市にある生産工場を拡張したことを発表した。今回の拡張は、段階的な拡張工事の第 2 期にあたる。これにより、乗用車のガソリンエンジン用可変容量ターボチャージャー(の高速自動生産ラインが導入され、同工場の生産能力は 50%超上昇するとしている。

■中国 BYD、ブラジルに EV 工場 総投資額 900 億円

中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)は 4 日、ブラジルで EV などの工場を建設すると発表した。プロジェクト全体の投資額は 30 億レアル(約 900 億円)にのぼる。ブラジル北東部バイア州に 3 工場を建設し、EV やプラグインハイブリッド車(PHV)の乗用車生産、EV バスやトラックの車台生産、電池材料加工を手掛ける。乗用車工場の生産能力は年間 15 万台を計画する。

2023年7月5

■中国、ハイテク産業への投資拡大、1〜5 月は前年同期⽐ 12.8%増

中国国家統計局が発表したデータによると、2023 年 1〜5 月のハイテク産業への投資が前年同期⽐ 12.8%増となり、固定資産投資全体の伸び率を 8.8 ポイント上回った。そのうち、医療機器・設備・器具製造業への投資は 18.8%増加し、電子・通信機器製造業への投資は 16.1%増加した。

■中国勢、6G 規格で主導狙う ファーウェイなど開発に⼒

中国が次世代通信「6G」の規格づくりで主導権を狙っている。上海で開幕した⾒本市では華為技術(ファーウェイ)などが開発中の先端技術を披露した。ただ、⽶欧は安全保障上の観点から⾼速通信規格「5G」で中国製品を排除する動きを強める。分断が進めば、将来の通信規格が中国と⽶欧で分かれる懸念もある。

■中国⾞載電池⽤部材メーカー、韓国に相次いで投資

ニッケル大手、中偉新材料(CNGR)は 6 月 22 日、韓国の鉄鋼大手ポスコと、NEV ⽤電池材料を⽣産する合弁会社 2 社を共同設⽴すると発表した。1 社目は 8 月に設⽴し、正極材の中間素材となる前駆体を製造し総投資額は 1兆 969 億 6,000 万ウォン(約 1,097 億円、1 ウォン=約 0.1 円)で、2 社目は硫酸ニッケルの製錬を⾏う予定で資本⾦は総額 4,100 億ウォンで検討している。

■在中欧州企業アンケート、事業拡大を検討する企業が 5 割を下回る

在中欧州企業の団体である中国 EU 商会は 6 月 21 日、景況感調査の結果を発表した。同調査は 2004 年から毎年実施されている。2022 年の利益については、⿊字との回答が前年⽐ 10 ポイント低下の 69%となった⼀⽅、赤字は15%と前年より 2 倍近くに増加した。中国での事業展開については、2023 年に拡大を検討しているとの回答が 48%(前年調査では 62%)となり、2016 年以来 7 年ぶりに 50%を下回った。

■シーメンスが成都工場の拡張、中国事業をチャンスとして捉える

シーメンスは今回の投資戦略の中で、成都工場の拡張に 1 億 4,000 万ユーロを投資し、新たに 400 ⼈分の雇⽤が創出される⾒込みと発表した。また、広東省深セン市にデジタル研究開発(R&D)イノベーションセンターを新設する。急成⻑する中国事業をチャンスとして捉えるとしている。