人型ロボットメーカーUnitree(宇樹科技)が上海で上場へ
- 中国の人型ロボットメーカー、Unitree Robotics(宇樹科技)が、上海証券取引所の科創板(STAR Market)への新規上場を申請して注目されているそうですが、どんな会社ですか︖
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Unitree Robotics(宇樹科技)(https://www.unitree.com/)は2016年設⽴の中国ロボット企業で、四⾜歩⾏ロボット(ロボット⽝)から人型ロボットへの事業転換を鮮やかに成功させた、いま世界で最も勢いのあるロボットメーカーです。2026年3月20日、上海証券取引所が科創板へのIPO申請を正式に受理しました。調達目標額は約42 億元(約880億円)。実現すれば「A株初の人型ロボット銘柄」の誕生です。第2位株主に美団(Meituan)系資本が9.65%を保有し、創業者の王興興氏が議決権の約69%を握る強固なガバナンス体制も注目されています。
まず目を奪われるのは、圧倒的な成⻑スピードです。2025年度の売上⾼は約17億元(前年⽐335%増)、非GAAP純利益は約6億元(同674%増)。人型ロボットの出荷台数は5,500台超で世界⾸位に⽴ちました。テスラのOptimus(約150台)やFigure AI(約150台)が依然として「試作・先⾏検証」の段階に留まる中、Unitreeと中国のAgiBotの2社だけで年間1万台以上を出荷しています。人型ロボットの主戦場は、シリコンバレーの研究所から中国の製造ラインへ完全にシフトしたと言っていいでしょう。

収益構造の変化も鮮明です。2025年1〜9月期には人型ロボットの売上⽐率が51.53%に達し、かつての主⼒だった四⾜歩⾏ロボット(42.25%)を逆転しました。決定打となったのは消費者向け人型ロボット「G1」の投入です。最安モデルは約30,000元(約60万円)という破壊的な価格設定で、競合を価格で圧倒させる戦略です。
この強さの源泉は「ロボット界のBYD」とも呼ぶべき垂直統合モデルにあります。モーターや減速機などの基幹部品を⾃社開発し、⻑江デルタのEVサプライチェーンを転⽤することで構造的なコスト優位を確⽴しました。さらに四⾜と人型でパーツを共通化してR&D効率を極限まで⾼めています。純利益率35%超はテンセントすら凌ぐ⽔準です。創業者の王氏は社内で「ケチ」と囁かれるほどのコスト規律で知られ、会議室のリモコンの電池ブランドにまで口を出すという逸話が残っています。この徹底ぶりが、販管費を売上のわずか6.5%に抑える企業文化を生みました。
一方で、最大の死角は「体は強いが、脳が弱い」という技術的アンバランスです。R&D⽐率は7.7%と、競合のUBTECH(36.6%)に大きく⾒劣りします。売上の約74%が研究・教育⽤途に依存しており、工場や家庭で実際に労働⼒を代替する「社会実装」はまだこれからの課題です。市場が今後評価するのは、現場でどれだけの仕事をこなせるかという点です。真の産業革命を起こす存在となるのか、その答えが、世界のロボット産業の価値基準そのものを定義することになるでしょう。
【参考︓本記事の主要データソース】1.BigGo Finance / 富途⽜⽜︓IPO申請と事業課題に関する詳細レポート
2.36氪(36Kr) / Kr-ASIA︓驚異的な⾼収益の背景に迫る深掘り記事
3.Visual Capitalist / Gasgoo︓世界の人型ロボット出荷台数ランキング
…… その他の中国国内及び欧米の主要メディア以上

