中国で現地子会社を清算する場合の工会(労働組合)の任命解除

中国の現地子会社を清算する場合、その会社の労働組合(工会)は、地域の工会本部に任命解除を申請して、本部の許可を得る必要があると聞きました。このことを詳しく教えてください。

 中国で会社を清算する際、工会(労働組合)が関与する必要があるのは、法律で定められた労働者の権利保護と、清算⼿続きの中での適切な労使関係の維持が目的とされています。特に工会の任命解除に関するプロセスは、以下のような流れと背景があります。

1.工会と清算手続きの関係
1)工会の設置義務

 中国では、⼀定規模以上の会社は労働者の権利保護のために工会を設⽴することが奨励されている。工会が設置されている場合、清算に際しの工会の役割は非常に重要である。

2)清算時の工会の関与
 清算プロセスでは、労働者の賃⾦や社会保険料の未払い問題、経済保証⾦の⽀払い、雇⽤契約の終了⼿続きなど、多くの労働関連事項が発生する。工会は労働者の代表として、これらの事項が適切に処理されているかを確認する役割を担う。

3)労働組合の任命解除
 工会を正式に解散する(任命を解除する)には、以下のような⼿続きが必要。
 ・ 工会の解散申請
  清算を開始する際に、会社側はまず工会の解散に向けた準備を⾏い、開発区や地⽅の工会本部に対して任命解除の申請を⾏う。
 ・工会本部の許可
  工会本部が審査を⾏い、清算プロセスが法的に問題ないことを確認した上で、工会の任命解除が許可される。

2.手続きの流れ
1)清算委員会の設⽴
 会社が清算を開始すると、まず清算委員会が設⽴される。この委員会が、工会を含む全体の清算⼿続きの調整を⾏う。

2)工会解散の協議
 工会委員会と清算委員会が協議し、労働者への補償や未払いの賃⾦に関する事項を整理。

3)申請書の提出
 会社または清算委員会は、工会の解散に必要な書類を作成し、工会本部に提出する。
 この時、以下の書類が必要になる。
 ・清算開始を証明する書類
 ・工会の解散理由と詳細
 ・労働者への賃⾦や補償の⽀払い計画に関する資料

4)工会本部の審査
 工会本部は、労働者の権利が守られていることを確認した後に、工会の任命解除を許可する。

5)工会の正式解散
 工会本部の許可を受けた後、工会は正式に解散できる。

 以上が、会社清算と工会(労働組合)の任命解除の主なポイントと⼿続きの流れです。申請は地域の工会本部ですが、経済開発区の場合は開発区に設置されている「開発区労働局」等になります。
 注意が必要なのは、労働者の権利保護について。清算時に労働者の未払い給与や補償が適切に処理されていない場合、工会本部は任命解除を許可してくれません。問題が解決するまで⼿続きが中断されることもあり、清算⼿続きが滞ることになります。また、地域や開発区によって、工会の解散⼿続きに関する詳細なルールや要件が異なることがあるので、地域の「開発区労働局」や「地⽅工会」に事前に確認が必要です。
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以上