中国⼈が⽇本で経営管理ビザを欲しがるのはなぜ︖(2)
- 取引先の中国企業の中国人幹部から、日本の経営管理ビザを取得したいと相談されています。どのようなビザなのか、取得すると何がメリットなのか、また、取得申請のポイントを教えてください。
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先週は、「経営管理ビザ」に関する要件と、なぜこのビザを取得したがる中国人が多いかを説明した。業種や業態については、日本での適法な事業であれば、制限はない。例えば、料理人として働いている外国人が⾃分のレストランを経営したいと考えている場合、技能ビザではなく経営・管理ビザが必要となる。在留期間は、5 年・3 年・1 年・6か月・4 か月・3 か月のいずれかが与えられる。
先週に引き続き、今回は具体的な手続きについて解説する。3)経営管理ビザ取得の⼿続きの流れ
①会社設⽴
まず、ビザ取得する本人の会社を設⽴する。
1.会社形態の選択: 株式会社や合同会社などの形態を選ぶ(株式会社が一般的)。
2.会社設⽴手続き: 定款の作成・認証、資本⾦の払込、登記申請。
3.銀⾏⼝座開設: 会社名義の銀⾏⼝座を開設し、資本⾦払い込む。
※「ChinaWork Weekly Topics」2024 年 11 月 13 日号のトピックス「中国企業の日本法人設⽴について」を参照。(http://www.chinawork.co.jp/ChinaworkWeekly/241113.pdf)②必要書類の準備
- 事業計画書: 具体的かつ実現可能性の高い内容が求められる。
- 会社登記事項証明書: 設⽴した会社の情報を証明するもの。
- 賃貸契約書: オフィスの賃貸契約書。
- 資本⾦の証明: 資本⾦が 500 万円以上あることを証明する銀⾏通帳のコピーなど。
- 履歴書: 経営者または管理者としての経験を⽰すもの。
- 身元保証書: 必須ではないが、場合によっては求められることがある。
③ 在留資格認定証明書(COE)の申請
- 地⽅出⼊国在留管理局で「経営管理ビザ」の在留資格認定証明書(COE)を申請する。(通常、審査には 2〜3 か月)
④ ビザ申請
- COE が発⾏されたら、日本の在外公館(中国国内の日本⼤使館や領事館)で経営管理ビザを申請。
- 更新条件:経営管理ビザは1年または 3 年の有効期間があり、更新時には事業が実際に運営されているかを確認される。
⑤ 4 か月「経営管理ビザ」について
- 4 か月の経営管理ビザは、通常の 1 年ビザとは異なり、来日後の起業準備を目的としており、会社設⽴前から日本での活動ができる。
- 日本で住⺠登録や印鑑登録ができるため、企業設⽴や日常⽣活に関する手続きを円滑に進められる。また、国内で銀⾏⼝座を開設できるようになり、会社の資本⾦を直接⾃分の⼝座に⼊⾦できるため、手続きの簡素化につながるとされている。
- しかし現実問題として、⼝座開設の可能な⾦融機関が限られており、⼝座開設は予想以上に難しい。日本の⾦融庁は外国人のマネー・ローンダリング、すなわち、マネロン・テロ資⾦供与・拡散⾦融を非常に警戒しており、とくにコロナ禍以降はきびしくなっている。また、賃貸物件のオーナーが契約を認めないケースや、期限内にビザの更新申請を⾏う必要がある点にも留意しておく必要がある。
以上