中国⼈が⽇本で経営管理ビザを欲しがるのはなぜ︖(1)
- 取引先の中国企業の中国人幹部から、日本の経営管理ビザを取得したいと相談されています。どのようなビザなのか、取得すると何がメリットなのか、また、取得申請のポイントを教えてください。
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経営管理ビザとは、日本法人を設⽴・運営したり、既存の事業を管理したりする外国人向けの在留資格である。したがって、先週の日本法人設⽴の⼿続きは、多くの場合、このビザの取得とセットになっており、経営者や管理職として日本で活動できる。
1) 主な取得条件
経営管理ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要がある。
要件① 具体的な事業計画:
申請時に提出する事業計画書には、事業の安定性・継続性について証明するために必要である。事業の概要・経営理念・サービス内容・集客⽅法・人員計画などを明確に⽰し、ビジネスの安定的な成⻑を⽰すことが求められる。具体的には、「事業を継続的に⾏えるか」「営業活動の⽅法」「日本で事業を⾏う理由」について多角的に審査される。
要件② 日本における事務所の確保
日本国内に事業拠点として使用できる物件(商業用オフィスなど)を確保する必要がある。事業の継続性や適切な運営が担保できる条件を満たさなければならない。事務所として独⽴性や⼗分な広さを有し、運営が安定して⾏える環境であることが求められる。例えば、レンタルオフィスや⼀⼾建ての⾃宅兼事務所は⼀定の条件を満たせば認められるが、バーチャルオフィスやマンションの⾃宅兼事務所は認められない。
要件③ 資本⾦ 500 万円以上の出資
経営管理ビザを取得するには、事業の安定性や継続性を確保するため、原則として 500 万円以上の出資が求められる。⼀⽅で、常勤従業員が 2 名以上いる場合には、500 万円の資本⾦は必要とされない。また、日本に住所を持たない中国人は、会社設⽴に必要な預⾦⼝座を持っていないことが多いため、日本に住所のある協⼒者の⼝座を利用することが⼀般的である。さらに、経営管理ビザを申請する際には、会社設⽴に使用した 500 万円以上の資本⾦の出所を証明する必要がある。
要件④ 経営・管理業務への従事
「事業の経営または管理」に従事することです。会社の代表取締役や取締役など、重要な意思決定や業務執⾏を⾏う役職に就くことが求められる。申請者⾃身が 500 万円以上の出資を⾏い、代表取締役として経営に携わる場合などは、実質的に経営を⾏っていると判断される可能性が⾼い。ビザ申請の際には、申請者⾃身が経営の中心にいることを⽰すことが重要。
2)経営管理ビザを欲しがる理由
中国人が日本の経営管理ビザを欲しがる理由は、ビジネスチャンスを追求するだけでなく、⽣活環境の向上や資産運用、リスク分散を含む多様な動機によるものだといわれている。特に、家族とともに安全で安定した環境で暮らしながら事業を運営したいというニーズが強い。経営管理ビザ取得の主なメリットは以下の通りである。
①生活環境
まず、何と言っても日本の⽣活環境のよさである。衣食住が充実していることに加えて、円安で何でも安い。そして日本人は礼儀正しくて、どこへ⾏っても安全で清潔。日本に居住している中国人も多いので、相談相⼿もたくさんいるので安心できる。
②資産の多様化
中国国内の規制強化(資産凍結リスクや厳しい送⾦制限など)を背景に、海外での資産保有や運用を希望する富裕層が増えている。日本での事業運営を通じて、不動産購⼊や銀⾏⼝座開設が可能となり、資産多様化の⼀環として経営管理ビザが選ばれている。
③ビザを活用した移住準備
経営管理ビザは永住権取得への道筋となるため、中国国内での将来的なリスク(社会情勢や経済変動など)を⾒越して、移住の選択肢を確保できる。
④他国の移住ビザに比べたハードルの低さ
アメリカやヨーロッパの移住ビザ(投資家ビザなど)と比較して、日本の経営管理ビザは必要な資本金額(500万円以上)が低く、比較的取得しやすいと見られている。
――次号に続く