中国で注目される「ドーパミン(多巴胺)消費」とは?

最近、中国で“ドーパミン消費”が活発になっているとよく聞きますが、どういうことでしょうか。詳しく教えてください。

 中国では「ドーパミン(多巴胺)消費」が非常に注目されています。ドーパミンとは、脳細胞や副腎細胞で合成される神経伝達物質で、運動調節や認知、感情、睡眠などに影響を与え、その水準やバランスは、健康や幸福感に大きく関係しています。去年は、中国において高級感ある優雅なスタイルや、シックな色合いのスタイルではなく、彩度が高い色合いや鮮やかな色合いのコーディネートである「ドーパミン・ドレッシング」が幸福感を高めてくれるファッションとして流行しました。
 その後、楽しい気分にさせてくれる物事を形容するのに「ドーパミン(多巴胺)」というワードが使われるようになり、「ドーパミン観光地」や「ドーパミンウォーキング」、「ドーパミン飲食」、「ドーパミンバケーション」といった具合に、目に見える色彩から、目に見えない抽象的な概念に至るまで、「ドーパミン」で形容されるようになりました。業界の専門家によれば、カラフルな色彩はポジティブで前向きな気持ちをかき立てるもので、ドーパミンの流行は現代の消費者の気持ちの解放、ストレスの緩和をすぐにも必要としていることを反映していると言います。

 多くの消費ブランドがこのドーパミンブームに乗ってマーケティングを展開し、製品や材料に鮮やかな色彩を次々取り入れています。スターバックスはドーパミンカラーの新商品「Pink Drink ピンクリフレッシャーズ」や「Dragon Drink ココナツミルク入りマンゴードランゴンフルーツリフレッシャーズ」を発売しました。

 騰訊(テンセント)が発表した「Z 世代消費力白書」によると、新世代の若い消費者の消費における動機は、自分らしさを表現したいという気持ちにあることが多く、消費を通じて感性を表現することがこの層の重要な特徴だと言います。

 若者は自分らしさや独自性を表現することを強く望んでいるので、ドーパミンは今、まさにこのニーズを満たしています。同時に、豊かな色彩は消費者の写真をアップしたい、行ってみたいという気持ちをかき立てます。今では、SNS プラットフォームを通じて、生活観や個人のセンスを発信し、人から「いいね」をもらったり認められたりすることが可能になりました。こうした社交における双方向性がドーパミン消費ブームをさらに盛んにしています。従って、「ドーパミン消費」のような感性消費非常に大きなポテンシャルがあると推測されています。

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