資本⾦の払い込み期限に関する規制…等

広東省東莞市に独資の販売子会社を設⽴することになりました。現地の取引先から支払われる資⾦があるため、その資⾦を資本⾦に充てたいと考えています。しかし知⼈から、現地法⼈設⽴の際の資本⾦は⽇本から送⾦しなければならないと指摘されています。現地法⼈の資本⾦は、いつまでにどの程度支払わなければならないのでしょうか。

 結論から⾔うと、現地で新規開設する現地子会社へは、すぐに⽇本から資本⾦を送⾦しなくても⼤丈夫です。また、資本⾦の額については特に定めはなく、原則として事業規模に⾒合った額(通常の経費を賄える額)とされています。
――順を追って解説していきます。

 資本⾦の規制については、2017 年 3 月1⽇の会社法・三資企業法(独資企業法・中外合資企業法・中外合作企業法)の改正で、資本⾦の払い込み期限、最低資本⾦、現⾦出資⽐率に関する規制が撤廃されました。
 改正前は、会社法には2年以内の払い込み、独資企業法では 3 年以内の払い込みが義務付けられていました。これら制限は撤廃され、初回の払込⾦額(改正前の会社法では初回 20%以上)に関する制限も撤廃されました。そして、資本⾦に対する要求は許諾制となり、定款には資本⾦の払い込みスケジュールを記載する必要があります。
 例えば、10 年以内などの⽐較的⻑期の年数を記載することもできますし、「経営期間内に払い込む」と記載してもよく、資本⾦が営業期間内に支払われる限り、設⽴の際に資本⾦を払い込む必要はありません。
 つまり、新子会社の営業期間が 30 年である場合、資本⾦はその営業期間に支払うことを約束すればよいわけで、その上で定款に記載した期間内に、資⾦需要に合わせて、出資者が任意の⾦額を払い込むことができます。

 ただし、外資企業に対する総投資額と資本⾦の⽐率は従前の規定が残っており、完全に資本⾦額が⾃由化されたわけではありません。現地法⼈を運営しているとこの総投資額と資本⾦の⽐率による差額(投注差)があるため、中国子会社が資⾦を必要となった場合、⽇本親会社が貸付するときの限度額となって苦慮するということがよく起きますが、この規制は今でも健在です。例えば、総投資額が 300 万米ドル以下の場合、登録資本は 70%以上でなければならない。ここでは詳細な説明は避けますが、1 億円の総投資額であれば、登録資本⾦は 7,000 万円にする必要があり、親子ローンの借入枠は 3,000 万円が限度ということになります。

―――次号は、資本⾦払込未了で会社を清算する場合、また株主の利益配当という名目で海外送⾦する場合等、
引き続き資本⾦に関連する事項について解説します。

以上