2023 年の全国人民代表大会(全人大)の要点
- 中国で全人大が開催されましたが、今年の経済成⾧の目標等、重要な内容を教えてください。
-
中国の第 14 期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が 5 日に人民大会堂で開幕し、第 1 回会議で、李克強首相が 5 日に政府活動報告を行いました。以下に要旨をまとめます。
●直面する課題
貿易成⾧の原動力が弱まり、外部からの抑圧がエスカレートしている。国内経済は需要不足が際立つ。民間投資と企業の先行きが不透明で、多くの中小・零細企業が困難を抱えている。
雇用対策は非常に困難で、一部の地方政府の財政難が深刻になっている。不動産市場は数多くのリスクを抱え、一部の中小金融機関のリスクが顕在化している。科学技術のイノベーションの能力が伸び悩んでいる。形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の地方政府に政策実施の硬直化やノルマの上乗せがみられ、一部の幹部は職務を怠り、職権を乱用し、現実を見ていない。民衆の意思を無視し、民衆の合法的な権利や利益を軽んじるなどの問題がある。●23 年の方針
習近平を核心とする党中央の力強い指導の下、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を指導し、「中国式現代化」を着実に推進する。質の高い発展の推進に力を入れ、国内と国際という二つの大局、感染症対策と経済・社会発展、発展と安全を統一的に考慮する。
●23 年の経済目標
経済成⾧率目標は 5%前後とする。都市部の新規就業者数は 1200 万人前後、都市部調査失業率は 5.5%前後、消費者物価の上昇幅は 3%前後とする。住民所得の伸び率は経済成⾧率とほぼ同ペースに保たせる。
・軍事
中国政府は 2023 年予算案を公表し、前年比 7.2%増となる1兆 5500 億元(約 30 兆 5 千億円)の国防費を計上し、日本の 23 年度予算案の防衛費(約6兆8千億円)の約4・5倍となった。国防費は8年連続で1桁台の増加率。例年通り、内訳は明らかにせず、全体の金額と増加率のみ公表した。
「習近平の強軍思想」を貫徹し、(27 年の)中国人民解放軍の創設 100 年の奮闘目標の達成に向け、闘争・戦備・建設を推進する。訓練・戦備を全面的に強化し、軍事戦略指導を刷新し、実戦的な軍事訓練に力を入れ、各方面で軍事闘争を統一的に進める。
・外交
独立自主の平和外交政策を遂行し、各国との友好協力を発展させる。世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の擁護者であり続け、国際社会とともにグローバルな発展とセキュリティーのイニシアチブを実践し、人類運命共同体の構築を推進する。そして世界の平和と地域の安定を守っていく。
また、李首相は、政府活動報告では、財政、技術開発、雇用、新型コロナ、内需拡大、外資誘致・活用、金融、民生など多くの面から問題点を指摘し、積極的に対応する計画も公表した。閉幕日の 13 日に李強氏が新首相に選出され、内外記者会見が行われる予定。
※出所:各種報道を整理以上