中国子会社の閉鎖を証明する登記抹消資料の取得について(1)

以前、中国に設⽴した 100%独資子会社の閉鎖を証明する登記抹消の公的な資料がないため、⽇本国内での税務上必要な⼿続きが進めることができません。しかし、今は亡くなっている先代が設⽴から閉鎖まで⾏っていたので、現在社内で保有している情報や書類が乏しく、対応に苦慮しています。登記抹消の証明書を取得するために中国でどのような⼿続きが必要となるのでしょうか。

中国国家企業情報のデータベースで貴社の現地法⼈「嘉善●●精密有限公司」(仮に地域を浙江省嘉善市とし、業種を精密とします。)を検索したところ、状況は以下の通りでした。
・「吊销・未注销」 -取消し、未清算
・「经营异常名录」 -経営異常企業リスト
・「黑名单」 -ブラック企業リスト
・「⾏政处罚决定书」 -⾏政処罰決定書

上記の内容から「嘉善●●精密有限公司」(以下、「●●精密」という)は中国の法律(公司法等)の規定に違法したため、所在地の⾏政機関より営業許可証を取消され、経営異常リストやブラックリストに記載されたことが分かりました。現状では、「●●精密」の所在地の登記機関から証明証を発⾏してもらうことができません。

上述の結果を受けて相談し、「●●精密」の詳しい状況やブラックリストの内容、⾏政処罰決定書の具体的な内容、登記機関から証明書を発⾏してもらうために必要な⼿続きを調査することになりました。

■現地調査の状況
「●●精密」の管轄部門に実社名と事情を説明し、会社を清算するための⼿続きを調査しました。
〇調査⼿段︓現地管轄部門への訪問
〇訪問した管轄部門︓
・税務関連︓嘉善市税務局科技園税務分局
・登記関連︓嘉善科技園⼯商分局、市⾏政服務中⼼⼯商局外資窓⼝嘉善市⼯商局風険監管科(リスク監督管理課)

1.税務関連について︓
嘉善市税務局環保科技園税務分局︓
担当者に事情を説明し、税務局のデータベースから「●●精密」の現状を調べてもらいました。

(1)納税⼈状態︓
●異常企業(抹消)
●過少納税
※業界レベルより納税⾦額が少なく、税⾦を追納されるリスクがあると指摘されました。

■最終納税申告⽇
①増値税︓2014 年 3 月 1 ⽇
②企業所得税︓2014 年 1 月 1 ⽇
※上記は 2013 年度の申告に応じたものとなるので、2014 年以降は、申告されていないことになります。

■処罰について
異常企業から正常企業へ変更する場合、⾏政部門に罰⾦ 550 元を納付する必要があります。(1 元=約 20 円)

■その他の未納等について
税務分局の担当者に「●●精密」にその他の税⾦の未納分がないかを調べてもらったが、「異常企業」と「過少納税」のみが記録されていました。

但し、2014 年から今までに何度もシステムのアップグレートが⾏われたので、税務分局のデータベースから情報が出てこなくても、嘉善市税務局のデータベースに企業の情報が保存されています。そのため清算の時に、未納等の警告アラームが出てくる可能性があると指摘されました。

※次回は、引き続き、税務局や⼯商局からの指導等を掲載します。地域名や固有名詞は、仮想の名称を使用しているのでご了承ください。