中国向け公⽂書等の「公印確認」と「領事認証」について(1)

中国で提出する日本法⼈の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)について、中国側から日本の法務局、外務省、中国⼤使館で公証してもらうように指⽰されました。どのような⼿続きが必要でしょうか︖

新型コロナウイルスに関する中国人スタッフの在留申請について、再入国許可により出国した中国人スタッフの日本入国に関するご質問です。これは、「再入国出国中に在留期限が経過した方の在留資格認定証明書交付申請に係る取扱い」として取り扱われます。

コロナ禍で訪中できないため、中国で様々な証明書や委任状の公証を求められることが多くなりましたが、⼿続きが煩雑でわかりにくいと感じる⽅も多いかと思います。公証の意味は「公印確認」と「領事認証」のことで、様々なケースがありますが、今回は中国ビジネスで発生する主なケースを想定して、2 回に分けて解説してみます。

■「アポスティーユ」が使えない中国
ハーグ条約(外国公⽂書の認証を不要とする条約)を締約している国は、提出書類に「アポスティーユ」という証明を取得すると「公印確認」+「領事認証」があるものとして扱うことができ、そのまま提出することができます。
しかし、中国はハーグ条約締約国ではないため、「アポスティーユ」が使うことができず、中国向けの⽂章には「公印確認」+「領事認証」を取得する必要があります。

■公印確認とは
公印とは、公務で使用する印鑑のことであり、国や官公庁で使用されるものです。中国ビジネスに関連した事例では、「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」やパスポート等の各種証明書、不動産の登記事項証明書などの書類にはすべて公印が押されています。

前ページの右記サンプルの通り、公印確認とは、これら日本政府が発⾏する公⽂書に押されている、市区町村⻑や法務局の登記官の印等である公印が偽造ではなく真正なものであることを、日本の外務省が確認して証明することを言います。

■領事認証とは
領事認証とは、駐日の領事がその書類が、日本の外務省により認証されたものであるということを認証することで、中国の場合は、2016 年より、中国ビザ申請サービスセンターが対応しています。この領事認証があることで、提出国の機関は、⾃国の領事が認証した⽂章であることか
ら、偽装されたものでなく真のものであることを推定することができます。

次回は、「公印確認」と「領事認証」を取得するための具体的な⼿順を説明します。