中国における EV 市場について(その1:急成⻑する 2021 年の中国EV 市場)

中国では昨年(2021 年)、国内で EV がよく売れていると聞きました。中国自動車市場の状況を教えてください。

中国汽車工業協会(以下、CAAM)によると、2021 年の中国の自動車販売台数は 2627 万 5000 台に達しました。昨年の国内自動車市場は、コロナウイルスの蔓延、持続的な半導体チップ不足、原材料価格の上昇等の影響を受けましたが、自動車市場全体は安定した増加傾向を示しました。CAAM は、2022 年の国産自動車の成⻑は続き、総販売台数は 2750 万台に達し、5%程度増加するとの見通しを示しました。

新エネルギー車市場(NEV)の急成⻑
 とくに注目したいのは、2021 年の中国国内自動車市場では新エネルギー車(以下、NEV)市場が政策主導から市場主導に転換して、すごい勢いで伸びたことです。2021 年の NEV(新エネルギー車)の販売台数が前年比 2.6 倍の 352 万台を突破、自動車販売台数全体(2627 万台)に占める割合は 13.47%に上りました。中国の NEV とは、純電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)が含まれ、最近は販売台数の 83%が BEV、17%が PHEV、FCV はわずかです。
 日本の自動車販売台数が 1 年間で 500 万台強ですから、中国の NEV 販売台数 352万台は、日本の全自動車販売台数の 7 割近くの規模に達していることになります。

 中国政府は 2020 年、NEV に対する補助金を 2 年延⻑し、新型コロナの影響で景気が失速する中、低迷する NEV 業界への支援策を行いました。航続距離が 300km から 400km の標準的な EV では、販売補助額が 2020 年は 10%削減して 1 万 6200 元(約 25 万円)、 2021 年に 20%、2022 年と 30%削減していきます。
 また、補助金の交付以外にも、汽車購置税(自動車取得税に相当)などの免除も NEV に対して行われてきました。免除措置は 2012 年からはじまり、現行の措置はとりあえず 2022 年 12 月 31 日まで継続されることになっています。

NEV が若者に人気の理由
 CAAM によると、大都市の消費者は NEV のニーズが高く、ネットワーク接続と自動運転を合わせて「知能ネット自動車(智能網聯汽車)」と呼んで、若い消費者の購買意欲を引きつけていると指摘しています。例えば、北京汽車グループの「極狐(Arcfox)アルファ T」 は、「ファーウェイ・インサイド」方式で開発された最初の EV です。外界を感知するために用いるレーザーレーダー、自動運転を可能にする車載コンピューティングプラットフォームやモーターなどを「ファーウェイ」が供給しています。
 米国政府から、世界の通信市場から締め出された「ファーウェイ」は、このように中国国内の EVや「自動運転」分野で力量を発揮していることがわかります。そして、市場に基づく若者ユーザーの選択は消費者需要の変化を示しており、自動車市場をけん引し、自動車の EV 化へのシフトを加速させています。

※次週は、日系自動車メーカーを含めた中国EVメーカーの状況を解説します。

≪参考サイト≫
〇2021 年中国汽⻋销量排行:小鹏超越蔚来、理想
http://k.sina.com.cn/article_1400000521_5372500901900ymf3.html
〇2021 年度工业销量排名出炉 上汽居榜首
http://k.sina.com.cn/article_7517400647_1c0126e4705902dq4w.html
〇中国汽⻋工业协会:预计 2022 年我国汽⻋总销量同比增⻓ 5%左右
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1721745448714458922&wfr=spider&for=pc

以上