相互関税、⽶国による中国への累計145%に
- トランプ政権下で実施された関税政策が、日本と中国のビジネスに及ぼす影響について教えてください。
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―― 中国を中⼼に今起きている状況を整理してみます。
1. ⽶国による中国への累計145%関税の内訳
(1)初期の追加関税(20%)
・2025年2⽉︓
トランプ政権は、中国からの合成⿇薬「フェンタニル」流⼊問題を理由に、全中国製品に対して20%の追加関税を⼀⻫に課しました。
※この措置は、特定の安全保障上の懸念を背景に実施されています。
(2)相互関税の追加(34%+50%)
・2025年4⽉9⽇︓
「相互関税」政策の⼀環として、さらに34%の相互関税と50%の追加関税を発動。
これにより、既存の20%を含めた段階的な関税合計は当初104%となりました。
(3) 税率修正による最終的な累計(145%)
・2025年4⽉10⽇︓
ホワイトハウスは、相互関税部分の税率を125%に修正するとの発表を⾏い、既存の20%と合算して最終的な累計税率は145%となったと発表しました。
※この修正は、中国側の報復措置への対抗措置として実施されています。2. 中国側の報復措置および⽶国側の対応
(1) 中国の報復関税
・当初の報復措置(旧数値︓84% → 調整後︓125%)︓
米国の追加関税措置に対し、中国政府は、米国製品に対して既存の関税に加えて追加報復関税を実施しました。当初は報道上、⼀部で84%と伝えられていましたが、最新の情報に基づけば、中国の報復関税は米国側の関税強化に対抗する形で125%に引き上げられていると理解されます。
・戦略的⽴場︓
中国は、米国がさらなる関税引き上げを⾏った場合でも、「相手にしない」という姿勢を貫くと同時に、追加の報復措置の発動については慎重な運用を⾏う方針を示しています。
・WTOへの提訴︓
報復措置の⼀環として、中国政府は、これらの追加関税の根拠について国際的なルールを巡る争いの場として、WTOに提訴する措置も併せて実施しています。
(2) ⽶国側の追加措置と対応
・さらなる関税引き上げの表明︓
中国の報復措置を受け、トランプ政権は同日、対中関税を既存の20%を除く形で125%に引き上げると表明し、実質的な累計税率145%が形成されました。
・その他の国・地域への措置︓
米国は、中国以外の約60カ国・地域に対しては、相互関税の追加分を⼀時停止する方針を採り、⼀律10%の基本関税を維持しつつ、交渉期間として90日の猶予措置を与えています。
(3)⽇本への対応︓
当初、日本向けの関税は24%の税率が適用されましたが、上記猶予措置により⼀律10%に引き下げられ、他国との調和を図る措置が取られています。トランプ政権下での米国による中国向け関税は、初期の20%追加措置から始まり、4月9日の相互関税発動で34%と50%が加えられ、さらにホワイトハウスによる4月10日の修正措置で、相互関税部分が125%に上乗せされる形となり、最終的な累計税率は145%に達しました。
⼀方、中国側は、初期報道では84%とされていた報復措置を、最新情報に基づき125%に引き上げ、米国の動きに対抗する強硬な姿勢を示しています。加えて、米国は中国以外の国・地域への関税措置も調整するなど、広範な貿易環境の変化に対応するための措置がとられています。
以上