今週のトピックス(2023年9月)

2023年927

■中国、日本産の水産物輸入 7 割減 全面禁輸で加速

中国税関総署によると、中国が 8 月に日本から輸入した魚類などの水産物は 2074 万ドル(約 30 億 6000 万円)だった。前年同月⽐で 70%減った。減少率は 7 月の 33%から拡大し、2020 年 8 月(75%)以来の大幅減となった。中国は東京電⼒福島第 1 原⼦⼒発電所の処理水放出に反発し、日本産水産物を全面禁輸にしている。

■中国、半導体・工作機械を重点支援 R&D 減税が柱

中国政府は 18 日、半導体と工作機械を手掛ける企業の研究開発を重点支援すると発表した。実質的に 5 年間減税する。半導体不況で業績が悪化するなか、⽶国が主導するハイテク分野の対中包囲網に備え、中国企業の技術革新を加速させる狙いがあるとみられる。

■韓国など 7 決済アプリ、中国本⼟で利⽤可能に アント

アリババ集団傘下の⾦融会社アント・グループは 19 日、クロスボーダー決済サービス「アリペイ+(プラス)」が、シンガポールや韓国などアジア各国・地域の 7 つの決済アプリに対応したと発表した。中国本⼟で各決済アプリが利⽤可能となる。アジアのスマホ決済の共通化を進め、外国人の利便性を⾼める。

■TikTok、EC 拡大で「売り場」へ進化 Amazon 対抗

中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」が⽶国や東南アジアでインターネット通販事業の拡大に乗り出した。⾳楽配信にも参入し、ネット通販最大手の⽶アマゾン・ドット・コムへの対抗⾊を強める。人気商品などの流⾏を生むメディアが販売の仲介役も兼ねて収益源を増やす。

■中国碧桂園、元建て債 9 本の償還延⻑で合意

資⾦繰り懸念を抱える中国の不動産最大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が、人⺠元建て債の償還延⻑について債権者から合意を得たもようだ。直近で債権者に償還延⻑を提示していた 9 本すべてで合意を取り付けた格好だが、巨額の債務再編の⾏⽅はなお不透明だ。

2023年920

■中国新⾞販売、8 月 8.4%増 通年は当初予測より上振れか

中国汽⾞工業協会が 11 日発表した 8 月の新⾞販売台数(輸出を含む)は、前年同月⽐ 8.4%増の 258 万 2千台だった。前年同月の実績を上回るのは 2 カ月ぶり。同日記者会⾒した協会幹部は 2023 年通年の販売が 22 年⽐で 3%増えるとした当初予測を上振れる可能性があるとの⾒解を示した。

■中国半導体、減益でも研究開発に積極投資 国産化急ぐ

上場する中国の半導体企業約 150 社の 2023 年 1〜6 月期の業績が出そろった。7 割余りの企業で業績が悪化したが、8 割近くが研究開発投資を増やした。米国が規制強化に動く中、中国政府内では 3000 億元(約 6 兆円)規模の半導体ファンドの構想も浮上しており、国産化を通じてサプライチェーン(供給網)の構築を急ぐ。

■中国不動産の遠洋、外貨建て債⽀払い全停⽌ 約 6000 億円

中国の不動産開発会社、遠洋集団控股は 15 日、全ての外貨建債券の⽀払いを停止すると発表した。発⾏残高は約6000 億円。深刻な販売不振で資⾦繰りが困難となっており、償還期限の延⻑など債権者との債務再編交渉で経営再建を目指す。

■中国人⺠銀、預⾦準備率 0.25%下げ 15 日に

中国⼈⺠銀⾏(中央銀⾏)は 14 日、市中銀⾏から強制的に預かるお⾦の⽐率を示す「預⾦準備率」を下げると発表した。15 日に 0.25%下げる。市中に出回るお⾦を増やして、住宅ローンなど銀⾏融資の拡大を促す狙いだ。

■ゴーション、20 億ドルを投じ米イリノイ州に EV 用バッテリー工場建設へ

米国イリノイ州のJ.B.プリツカー知事(民主党)と中国の大手EV用バッテリー開発製造の国軒高科(ゴーションハイテク)の米国子会社ゴーション(Gotion)は、同州カンカキー郡マンテノ市に電気自動車(EV)用バッテリーの新工場建設に20億ドルを投資すると発表した。

■再エネ蓄電池の大連融科、400億円で2工場 能力3倍に

大型蓄電池の世界大手、大連融科儲能技術発展は2023年末から、本社のある遼寧省大連市で2工場を完成させる。投資額は20億元(約400億円)強で、蓄電池の生産能力を3倍以上に増やす。同社は再生可能エネルギー発電所向けなどの蓄電池を手掛けており、政府や企業の脱炭素の動きを後押しする。

2023年913

■重慶で「スマート博」開幕、EV 供給網の整備狙う

重慶市で 4 日、中国国際スマート産業博覧会が開幕した。同市には⾃動⾞産業が集積していることから、電気⾃動⾞(EV)や⾃動運転技術関連の有⼒企業を誘致し、サプライチェーン(供給網)の整備を目指す。

■ロボットが壊れやすい物品搬送 中国新興、製造現場向け

ソフトロボットの開発を手がける中国スタートアップ「軟体機器人科技(Soft Robot Tech、SRT)」が、シリーズ C とC+で計 1 億 5000 万元(約 30 億円)を調達した。シリーズ C は⾦⽯投資(GoldStone Investment)が主導し、シリーズ C+は神騏資本(Pegasus Capital)と灼星基⾦(Zhuoxing Fund)が参加した。

■中国、8 月輸出 8.8%減 主要国向け不振で 4 カ月連続減少

中国税関総署が 7 日発表した 2023 年 8 月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月⽐ 8.8%減の2848 億ドル(約 42 兆円)だった。減少率は 7 月(14.5%)より縮まったが、4 カ月連続で前年同月を下回った。米国をはじめ主要国・地域への出荷がいずれも振るわなかったもようだ。

■中国「共同富裕」遠く 22 年の所得格差、都市部で最大

中国で所得格差が拡⼤している。都市部の世帯では 1 人当たり可処分所得の上位 20%と下位 20%の平均値の差が 6.3 倍と、確認できる 1985 年以降で最⼤となった。「ゼロコロナ」政策で失業リスクが⾼まった飲⾷店従業員らの収入が伸び悩む⼀⽅、問題債権処理の先送りで⽣じた⾦利の⽀払いが、多額の⾦融資産を持つ富裕層に収入をもたらしている。

■⼩鵬汽⾞、滴滴スマートカー開発部門を買収、開発強化

中国の新興の電気⾃動⾞(EV)メーカー⼩鵬汽⾞(Xpeng)は 8 月 28 日、中国の配⾞サービス⼤手の滴滴出⾏(DiDi)と戦略的提携に合意し、スマートカーと関連技術の開発で協⼒すると発表した。⼩鵬汽⾞は滴滴出⾏によるスマートカープロジェクト「MONA」の関連資産や研究開発能⼒を買収し、15 万元(約 300 万円、1 元=約 20円)クラスのコンパクト型スマートカーを開発する。

■北京現代、重慶⼯場を売却へ

中国の北京産権交易所が 8 月 11 日に公開した⽂書によると、韓国最⼤手⾃動⾞メーカーの現代⾃動⾞と中国国有⾃動⾞⼤手の北京汽⾞集団の合弁会社、北京現代は、重慶市にある⾃動⾞⼯場を約 36 億 8,400 万元(約 737億円、1 元=約 20 円)で売却を開始した。

2023年95

■中国小売り、閉店ラッシュ 家電・国美は 9 割削減方針

中国の⼩売り⼤手が店舗の閉鎖を加速している。家電量販店の国美零售は店舗数を 9 割削減する方針だ。スーパーも永輝超市などが 2022 年時点で 19 年⽐ 2〜4 割減らした。新型コロナウイルス禍で一段と普及したネット通販に押されている。景気減速で節約志向も広がるなか、生き残り競争が激しくなる。

■中国で新⾞値下げ合戦再び VW 系など、優勝劣敗進む

中国の新⾞市場の値下げ競争に再び⽕がついた。7 月の新⾞販売(輸出を含む)は 6 カ月ぶりに前年実績を下回り、需要喚起のため独フォルクスワーゲン(VW)系などが相次ぎ値下げに踏み切った。市場が成熟に向かう中、企業間や⾞種ごとの優勝劣敗がさらに広がりそうだ。

■碧桂園、赤字 9800 億円 住宅・学校の⼀体開発綻ぶ

中国不動産最⼤手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が 30 日発表した 2023 年 1〜6 月期連結決算は、最終損益が 489 億元(約 9800 億円)の⾚字となった。住宅と学校の一体開発で成⻑したが、習近平(シー・ジンピン)指導部の政策変更で経営モデルが崩れ、過去最⼤の⾚字を計上した。売上⾼は前年同期⽐ 39%増の 2263 億元。負債総額は 1 兆 3642 億元だった。

■中国の 8 月製造業景況感、5 カ月連続 50 割れ

中国国家統計局が 31 日発表した 2023 年 8 月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は 49.7 だった。前月より0.4 ポイント⾼かったが、5 カ月連続で好調・不調の境目である 50 を下回った。国内不動産市場の低迷や輸出の停滞が響いた。

■⾞載電池⽤部材メーカーの星源材質、マレーシアに約 1,000 億円投じ工場建設へ

深圳市星源材質科技(星源材質)は 8 月 26 日、マレーシア・ペナン州にリチウムイオン電池用セパレーター(隔膜)の生産拠点を整備すると発表した。第 1 期プロジェクトの敷地面積は約 66 エーカー(約 26 万 7000 平方メートル)で、最⼤ 50 億元(約 1,000 億円、1 元=約 20 円)を投じる計画だ。⼯期は 18 カ月の予定で、セパレーターの生産能⼒は年間 20 億平方メートルに上る⾒込みだ。

■塩野義「フロモックス小児⽤細粒」、中国で販売開始

塩野義製薬は 29 日、提携先の北京華衛医薬有限責任公司を通じて、経口セフェム系抗生物質製剤「フロモックス⼩児用細粒」(以下、「本剤」)の中国販売を開始したと発表した。なお本剤は、本年 1 月に国家医療保険償還医薬品リスト(National Reimbursement Drug List「NRDL」)に収載されて、⼩児の感染症に対する新たな治療選択肢として貢献することが期待される。