大連市の外資に対する新たな奨励

大連の知人から、最近、大連市が外資企業に対して奨励策を発表したと聞きました。どのような内容の奨励策なのか教えてください。

 大連市政府は 6 月に地方都市としては大きな奨励策と盛り込んだ 2 つの外資向けの政策を発表しました。
 「大連市のさらなる外資の誘致・利⽤強化の若⼲措置」(以下、「若⼲措置」)と「大連市企業誘致仲介機関における外資案件奨励に関する指導意⾒」(以下、「奨励指導意⾒」)です。

 これは昨年(2022 年)の⽶中対⽴の激化や改⾰後退の懸念が投資リスクを⾼め、対中直接投資が低水準だったことが影響していると思われます。
 政策の中身を以下にみていきます。
 「若⼲措置」は、以下の 6 分野 26 項目からなっています。
①外資導入レベルの向上、②ハイレベルの対外開放の推進、③外資利⽤構造の最適化、④投資促進方法の向上、⑤発展要因の支援強化、⑥外資企業による投資の権益保護


 具体的には、製造業や現代的なサービス業などの主要産業に投資する外資を支援すること。ここでいう現代的なサービスとは、先進的な技術やノウハウを使ったサービスという意味です。そして、外資による本社や研究開発センターの設⽴を奨励し、重大な外資プロジェクトを取り入れて、条件を満たした優良企業には中国国外での上場を支援するとしています。 その中でも注目されているのが、以下の条件を満たす外資系企業に対し、比較的大きな奨励⾦を支給するという政策です。

●製造業と現代サービス業で登録資本⾦(実⾏ベース)が 1,000 万ドルを超える外資系企業に対し、600 万〜1,200 万元(約 1 億 2,000 万〜2 億 4,000 万円)の奨励⾦を支給する。
●地域本部を新設する登録資本⾦(実⾏ベース)1,000 万ドルを超える外資系企業に対し、800 万〜1,600 万元(約 1 億 6,000 万〜3 億 2,000 万円)の奨励⾦を支給する。
●大連市商務局、大連市財政局の認定基準(注)に達した外資系研究開発拠点に対し、新設補助⾦として 50 万元(約 1,000 万円)、100 人以上の研究員を採⽤する場合は 200 万元(約 4,000 万円)を支給する。

 また、もう一つの「奨励指導意⾒」で、大連市商務局が投資促進における仲介機関の役割をより発揮させるために制定された政策です。仲介機関が大連市の実質的な外商投資の窓口を提供することで、大連市と外商投資家との直接的なコンタクトを支援して、プロジェクト交渉の推進に実質的な役割を果たします。
 登録資本⾦の実質払込額によって、それぞれ払込額の 0.3%、0.4%、0.5%前後の奨励⾦が支給されます。

以上