中国現地子会社を休眠にする場合について
- 中国の現地子会社が諸事情から運営が難しくなりましたが、一時的に会社を休眠にすることは可能でしょうか。
-
前回は中国現地子会社の運営を放置した場合について解説しましたが、今回は休眠措置を整理してみます。
2020 年 11 月に国務院は「企業休眠制度」を試行すると発表しました。それまでは「2 年連続で年度報告を提出していない企業に対し、市場監督局は営業許可証を取り消すことができる」としてきましたが、短期経営難で一時休業しているが、今後も経営を続けたいという意欲がある企業に対して、「休眠期間」を設定し、一定の条件を定めた上で、休眠企業を法的に留保することが提案されていました。
その後、2022 年 3 月 1 日に施行された新「市場主体登記管理条例」で休眠制度が明確化され、第 30 条で企業は 3 年を上限に休眠会社として登記することが認められました。そして休眠の間は、市場主体が休業している間は、住所や主要経営場所の代わりに法律文書の送付先を指定することができると規定されています。
休眠会社の申請が認められる条件として、「天災、事故、公衆衛生事件、社会安全事件等の原因により経営難に陥った場合」となっていますが、第 11 条で、「各省、自治区、直轄市人民政府が定める休業届出の状況」を記載すると規定され、コロナ禍の業務への影響を当局の窓口で交渉するといったことが可能です。なお、休眠申請手続きの流れは、以下の通りです。
同第 16 条 市場主体登録の申請に際しては、次に掲げる資料を提出しなければならない。
(1) 申込書
(2)申請者の資格書類と自然人の身元の証明。
(3) 本籍地または主たる事業所に関する書類
(4)会社の定款、非法人法人、農民の専門協同組合(協会)または組合契約。
(5)法律、行政規則、および国務院傘下の市場規制部門で規定されているその他の資料。実際に申請するのであれば、所在地域の市場監督管理局での休眠手続きの相談と根回しが必要となります。また、賃貸物件であれば契約の解約、法律文書送付住所と休眠期間中の連絡者を知らせること。毎月もしくは毎四半期の税務申告及び毎年の情報公示し、休眠期間中も最低限の税務申告と国家企業信用情報公示システムでの毎年の情報公示が必要です。
参考規定:
≪市場主体登記管理条例≫
https://www.gov.cn/zhengce/content/2021-08/24/content_5632964.htm
≪市場主体登記管理条例実施細則≫
https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/2022-03/02/content_5676403.htm以上