中国における著作権登録について
- 当社の会社ロゴを中国で商標登録しようとしましたが、図形は類似がなく大丈夫でしたが、図形の中の英語会社名に類似商標が存在しており、取得は難しいと言われています。しかし、会社ロゴを権利化しておかないと、今後の中国展開での冒認(抜け駆け)出願や盗用されるリスクがあり、困っています。何かよい方法はないでしょうか。
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御社のロゴを拝⾒したところ、図形は類似がないとのことなので、その図表だけ商標登録されたらどうでしょうか。同時に、ロゴ全体を著作権として登録しておけば権利を⽴証することができます。
商標権は出願⼈が指定した商品・役務の権利を主張できますが、区分が煩雑で費用も掛かかります。しかし、著作権は商品・役務の指定はないので、権利範囲は広く、費用も抑えられるというメリットがあります。また、異議申し⽴てや無効審判請求という、対応に⾯倒な制度がありません。
著作物は、一定の顕著性や独創性を持っている必要がありますが、本件でご相談いただいている会社ロゴは、著作物としての登録は問題ないかと思われます。
著作権を申請するには、弊社にご依頼いただいた場合、以下の資料に捺印(会社代表印)が必要です。
①著作権を申請する著作物(捺印不要)
②法⼈著作物声明
・法⼈内部の⼈間が創作したという声明
③著作物(作品)創作説明書
・著作物の名称、完成時期、完成した場所、発表の時期、発表場所、創作の目的、創作の過程、著作物の独創性
④著作物登記承諾書
提出した登録申請資料が真実であることの法的責任を会社は負うこと。
⑤委任状
⑥著作者または著作権者の身分証明書
パスポートまたは『会社全部事項履歴証明書』なお、中国では著作権法改正案は 2020 年 11 月 11 日に可決し、新著作権法(以下、「新法」という。)は、2021 年 6 月 1 日に施⾏されています。第二条で、「中国公⺠、法⼈⼜は非法⼈組織の著作物は、発表の要否を問わず、本法により著作権を享有する」となっており、著作権は登録しなくても権利は発生し、それは著作物が完成した日となるわけです。しかし、中国では著作権侵害⾏為が知財侵害訴訟の中でもっとも多いのですが、著作物が完成した日、創作した日を⽴証するのが難しいといわれています。A がこの日に創作したという証拠を出しても、B がその前に創作していたと、あいまいな証拠を出すと言った具合です。音楽でも似た曲でよく起こりますし、2020 年の東京オリンピック エンブレムの盗用騒動も記憶に新しいところです。
そこで任意となっている著作権を登録しておき、著作権登録証書を提示することにより、著作権登録日には間違いなく著作権が成⽴していることを証明することができます。
なお、この著作権は、工業製品の部品でも登録が可能です。権利化しにくいものを著作権登録で権利化しておき、模造品との争いに備えることができます。
※弊社では中国における著作権の取得に関するご相談に応じておりますので、気軽にご相談ください。