Bluetooth やWi-Fi など無線機器に必要な“SRRC認証”とは(1)
- 中国でBluetoothやWi-Fiなどの無線機器を販売する場合、“SRRC認証”が必要と聞きました。SRRC認証とは何ですか︖また、どのように取得すればよいのでしょうか︖
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― 中国市場進出に必須の無線認証とその取得方法・実務課題 ―
中国の経済発展とともに、BluetoothやWi-Fiといった無線通信機能を持つ製品の需要は急速に拡大しています。日本企業の中国市場への進出も年々増加しており、無線機器やIoT機器の中国輸出・現地販売に注目が集まっています。その一方で、現地でこうした製品を合法的に流通・使⽤するには「SRRC認証(無線型式認証)」の取得が法令で厳格に義務付けられています。
SRRCとは「State Radio Regulation of China(中国国家無線電管理委員会)」の略称で、中国工業情報化部(MIIT)が運⽤する無線機器の国家認証制度です。1999年より全国で義務化されており、この認証を取得しない限り、無線機器の販売・使⽤は原則認められません。違反した場合は市場からの撤去や罰則のリスクもあるため、中国市場進出にあたっては必須の手続きといえるでしょう。【SRRC認証が必要な主な製品】
SRRC認証の対象となる主な製品は、以下の通りです。- 携帯電話・スマートフォン(GSM/GPRS/CDMA等すべての通信端末)
- タブレット端末、ノートパソコン、無線LAN(Wi-Fi)搭載機器
- Bluetooth機器(イヤホン、スピーカー、スマートウォッチ、各種ウェアラブルデバイス)
- 2.4GHz帯の無線マウス、無線キーボード、ドローン、VRゴーグル
- スマートグラス、スマートロボット、スマートカメラ、ドライブレコーダー
- 各種スマート家電、IoT機器、ワイヤレスルーター、ワイヤレスプロジェクター 等
これらの機器を中国国内で流通・販売するには、必ずSRRC認証の取得が必要となります。日本国内で認証済みのBluetoothやWi-Fi 機器であっても、中国では別途SRRC認証が求められる点に注意してください。
【SRRC認証制度の仕組み】
SRRC認証は、無線機器が中国の法規制(電波法)や安全基準に適合していることを証明する国家制度です。主な特徴・制度要件は以下の通りです。- 対象機器︓すべての無線送信機能付きデバイス(Bluetooth、Wi-Fi、RF機器等)
- 認証機関︓MIIT(中国工業情報化部)が指定する国家認定試験所
- 認証番号︓CMIIT ID(取得機器ごとに割り当てられる)
- 有効期限︓5年間(更新審査あり)
- 主な⼿続き︓申請書類提出、技術試験、現地審査、証書発⾏
- 申請資料例︓
「核准無線電発射設備型号申請表」、会社登記簿謄本、中国語の取扱説明書、ISO 9001認証証書、製
品仕様書・回路図・アンテナ情報・製品写真など - ⼯場検査︓原則ISO 9001認証取得工場が望ましい
- モジュール認証︓組み込み⽤無線モジュールも個別にSRRC認証が必要な場合あり
【2025年最新規制の動向】
ここ数年、中国政府は無線機器の規制をより厳格化しています。特に2024年以降は、以下の点が大きなポイントです。- 電波法規制の強化︓対応周波数や出⼒管理などが細分化、審査項目の厳格化
- 申請要件の厳格化︓事前に製品仕様や使⽤周波数の適合確認が必須
- 全書類中国語提出義務︓すべての技術書類・申請書は中国語で提出
- 現地試験所での実機試験︓中国国内の認定試験所で適合試験、追加サンプルの提出が義務化
- 審査期間︓平均2〜3ヶ⽉(状況により⻑期化する場合もあり)
- 認証の更新・監査︓認証後も定期的な更新や、市場抜き打ち検査・監査の対象となることがある
※次回は続けて、SRRC認証取得の具体的な手続きや申請時の注意点等を解説します。
以上