今週のトピックス(2025年11月)

2025年11月27

■中国江蘇常熟が「ロボ産業」育成、27年生産額2.62兆円へ

江蘇省南東部の常熟市がロボット産業の成⻑を支援する。常熟市政府は18⽇、「インテリジェント・ロボット産業発展3カ年⾏動計画(2025〜27年)」を公布した。⼤型事業プロジェクトの推進、産業アライアンスの組成を通じ、完成機、コア部品、システム統合、検証・訓練を⼀体化したロボット産業エコシステムの形成を加速する。ロボット産業の年産額について、27年の1200億人⺠元(約2兆6200億円)超えを目指す⽅針という。常熟市には現在、⽴訊精密工業をはじめとするロボット関連企業が約200社集積している。これら企業の年産額は、⾜元で合計400億人⺠元を超えた。「研究開発→成果転化→産業応⽤」の循環が速まっている。

■中国で半導体博覧会「ICチャイナ」、政府が供給網強化狙う ⽶企業も参加

半導体分野の国内外の企業が参加する中国国際半導体博覧会(ICチャイナ)が23⽇から25⽇まで北京市で開かれた。ICチャイナ2025は、「⼒を結集し、未来をつなぐ」をテーマとし、半導体産業チェーン全体を網羅するワンストッププラットフォームの構築を目指した。米国、英国、韓国、⽇本、イスラエルなど、世界各国・地域から600社を超える企業が参加した。ハイテク分野の米中対⽴が続くなか、工業情報化省の高東昇チーフエコノミストはサプライチェーン(供給網)の企業連携でイノベーションを推進する⽅針を示した。

■中国航空会社が⽇本路線減便、キャンセルも増加

中国政府が⽇本への渡航自粛を呼びかけた影響で、中国の航空会社が相次いで⽇本路線を減便している。また、訪⽇を予定していた中国人が航空券をキャンセルしたり、⽇本⾏きツアーが中⽌になったりするケースも相次ぐ。⽇本での報道によると、中国国際航空1月末から2026年3月下旬まで、上海〜⼤阪や重慶〜東京などの路線を減便する。中国の春節連休(26年2月15〜23⽇)を含む形だ。ほか中国南⽅航空、中国東⽅航空なども⼀部路線の減便を決めている。また、SCMPによると、11月14⽇に中国外交部が渡航自粛を通知して以降、予約がキャンセルされた⽇本⾏き航空券は49万1000枚に上った。なお、国際航空、南⽅航空、東⽅航空などは12月31⽇までの⽇本⾏き航空券について無料での変更・払い戻しを受け付ける⽅針を表明している。

■中国NEV販売、10月に初の“過半数”突破──電動化の主戦場が明確化

中国自動⾞工業協会によれば、2025年10月の新エネルギー⾞(NEV)販売は171万5000台で前年同月比20%増となり、NEV比率は初めて過半数を超える51.6%に達した。EVは110万9000台と31.7%増で依然として市場を牽引し、PHVは60万5000台と堅調。FCVも小規模ながら増加基調が続いている。1〜10月累計販売は1294万3000台(32.7%増)と、全体2768万7000台の中で電動化がより⼤きな存在感を示すようになった。輸出も拡⼤が著しく、NEV輸出台数は201万4000台で90.4%増と急伸している。中国NEV市場は国内需要の成熟と輸出の拡⼤が同時進⾏する「⼆層成⻑期」に⼊ったと判断しており、2026年以降は中国メーカーの海外展開が⼀段と加速する可能性が高い。

■NEV輸出が90%増、中国の⾃動⾞輸出が560万台に到達

中国自動⾞工業協会によると、2025年1〜10月の中国の自動⾞輸出は561万6000台となり、前年同期比15.7%増で23年通年実績をすでに上回った。中国は23年に491万台を輸出し、⽇本を抜いて世界首位となっている。内訳を⾒ると、内燃機関(ICE)⾞は5.1%減の360万1000台だったが、新エネルギー⾞(NEV)は90.4%増の201万4000台と急拡⼤した。メーカー別では奇瑞汽⾞が106万3000台で首位を維持し、比亜迪(BYD)は78万9000台で2位に躍進。米テスラの上海ギガファクトリーは20万9000台で9位に⼊った。

■小⽶が26年度スマホ価格引き上げへ、メモリー値上がりで

メモリーの供給不⾜が叫ばれる中、小米集団(シャオミ)の盧偉冰・総裁は18⽇、2026年通年分の供給を契約によ
って確保したと明らかにした。⼀⽅、同社のスマートフォンについて、部品価格の上昇を受けて値上げする可能性があると指
摘した。今回のメモリー価格の上昇サイクルは比較的⻑期化するとの⾒⽅だ。以前は携帯電話業界の販売周期がメモリ
ー価格に影響を与えていたが、今回は人工知能(AI)が世界のメモリー価格を引き上げており、以前とはかなり異なると
みている。小米は既に今年10月、メモリー価格の上昇も⼀因として、「Redmi K90」フラッグシップ機種の価格を引き上
げた。

■ファーウェイ、新型スマホ「Mate80」発表 半導体も独⾃の最先端品

中国の通信機器⼤手、華為技術(ファーウェイ)は25⽇、スマートフォンの旗艦モデルの新商品「Mate80」シリーズを28 ⽇に発売すると発表した。このシリーズは、Kirin 9030プロセッサを搭載し、業界初の「ネットワーク不要緊急通信」機能を導⼊している。これにより、従来の携帯電話ネットワークが全くない状況でも通信を維持することが可能になる。前世代のMate 70シリーズに比べてスマホの性能が総合的に約4割改善したという。また、Mate 80シリーズは、HarmonyOS 6.0を搭載し、光学手振補正対応トリプルカメラ、リフレッシュレート120Hzの有機ELディスプレイ、衛星電話・メッセージ対応、急速充電100Wとワイヤレス充電Qi 80W対応のバッテリーなどが特⻑という。

2025年11月20

■中国政府がSMICに指導、華為に先進プロセス優先供給

先進半導体の深刻な不⾜状態を受けて、中国政府が中芯国際集成電路製造(SMIC)に対し、華為技術有限公司(ファーウェイ)などテック大手に製品を優先供給するよう指導を開始した。華為は人⼯知能(AI)⽤半導体の⽣産をSMICに委託していると報じされた。中国テック大手は、⽶国による半導体輸出規制の下、国内の限定的な⽣産能⼒の獲得競争を繰り広げている。計算能⼒の不⾜を補うために2枚以上のチップレットをまとめてパッケージング(封止)するなど手段を尽くしているが、一部の試験機関はエヌビディア(NVDA/NASDAQ)の⾼性能GPU(画像処理半導体)の密輸に走っているという。

■中国国際輸入博5日開幕、トヨタやホンダは8回連続出展

中国政府は⽣成AI(人⼯知能)でつくった悪質なフェイク画像や動画の取り締まりを強化する。国内で誘拐事件の被害者を装ったり、実際には起きていない大地震の被害を伝えたりするSNS投稿が相次いでいるためだ。捏造(ねつぞう)したコンテンツが政権批判などに利⽤されかねないとの警戒感がにじむ。2025年10月28日に採択された「中華人⺠共和国サイバーセキュリティ法(以下、中国サイバーセキュリティ法)」の改正が、2026年1月1日より施⾏される。本改正は、AIやデータ安全をめぐるリスクの⾼まりを背景に、法令遵守(コンプライアンス)リスクと運⽤コストを大幅に引き上げる内容となっている。

■中国、低空経済など⺠間資本参画を奨励、出資⽐率10%超承認も

低空経済など戦略的新興産業におけるインフラ建設に対し、中国は⺠間資本の参画を奨励する。国務院は10日、「⺠間投資の発展をさらに促進するための若⼲の措置」を発表した。⺠間資本による低空経済インフラ建設への参加を奨励し、商業宇宙周波数許可や打上げ審査の過程において、⺠営企業も公平に扱う方針を⽰している。国家重要ハイテクインフラのうち、⺠営企業に開放するリストを速やかに公表し、実⼒のある⺠営企業が率先して重要なハイテク分野でのブレークスルーを実現することを支援する構えである。

■テスラ「上海ギガファクトリー」、電池パック累計⽣産500万個

⽶テスラの中国上海⼯場で20日、累計500万個目のバッテリーパックがラインオフされた。⾃社初の海外完成⾞製造拠点として、「上海ギガファクトリー」はテスラのグローバル展開の中で重要な地位を占めている。2019年末の稼働開始以来、⽣産能⼒の増強を続けてきた。電動⾞のコア部品として、同⼯場で⽣産されるバッテリーパックは「Model 3」や「Model Y」など主⼒⾞種に広く搭載されている。テスラの電動⾞⽤バッテリーパックは、セルの化学配合やパックの構造を⾃社で独⾃に研究開発・設計している。バッテリーパックから電気駆動システム、完成⾞組⽴、海外輸出に⾄るまで、上海ギガファクトリーは完結した産業チェーンを形成した。

■ポップマート「ラブブ」映像化権、ソニー・ピクチャーズ取得か

泡泡瑪特国際集団(ポップマート)の人気IP「Labubu(ラブブ)」について、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが映像化権を獲得したもようだ。ラブブを主人公としたストーリーで映画を製作する計画という。ポップマートは2025年1月に映画スタジオを設⽴。7月には同社の王寧・最⾼経営責任者(CEO)が、ハリウッドのある映画会社がラブブの映画化を希望していることを明らかにしていた。報道によると、映画プロジェクトはまだ初期段階にあり、プロデューサーや監督などは未定。

2025年11月13

■双十一の総取引額は37兆円規模、前年⽐14%増

2025年の「双⼗⼀(ダブルイレブン)」が終了し、主要EC各社の総取引額(GMV)は約1兆7,000億元、円換算で約37兆円に達したと推計される。前年⽐14%超の伸びで、消費回復の不透明感が残る中でも、オンライン商戦の強さを改めて⽰す結果となった。今回はセール期間が「史上最⻑」となる数週間にわたり、利⽤者の購入タイミングを分散できた点が追い風になった。また、従来の物販に加え、外食や生活サービスなどO2O(オンライン・ツー・オフライン)領域を各社が積極的に取り込み、取引規模拡大に寄与したとみられる。

■中国、レアアース一部輸出規制を延期、ガリウムなども対米輸出禁止を1年停止

中国政府は7⽇、レアアース(希⼟類)の製造技術などに関する⼀部輸出規制を1年間延期すると発表した。⽶中首脳会談の合意を受けたもので、10月9⽇に発表した輸出規制の⼀部が対象だ。電気自動⾞(EV)や兵器に使うジスプロシウムなどの輸出規制は延期対象に含めなかった。また、中国政府は、半導体材料などに使うガリウムやゲルマニウムといったレアメタル(希少⾦属)の⽶国向け禁輸措置を停止すると発表した。⽶中首脳会談の合意を受けたもので、2026年11月27⽇までを停止期間とした。

■「AIの噓」中国が摘発強化 政権批判の「捏造」警戒

中国政府は生成AI(人⼯知能)でつくった悪質なフェイク画像や動画の取り締まりを強化する。国内で誘拐事件の被害者を装ったり、実際には起きていない大地震の被害を伝えたりするSNS投稿が相次いでいるためだ。捏造(ねつぞう)したコンテンツが政権批判などに利⽤されかねないとの警戒感がにじむ。2025年10月28⽇に採択された「中華人⺠共和国サイバーセキュリティ法(以下、中国サイバーセキュリティ法)」の改正が、2026年1月1⽇より施⾏される。本改正は、AIやデータ安全をめぐるリスクの高まりを背景に、法令遵守(コンプライアンス)リスクと運⽤コストを大幅に引き上げる内容となっている。

■7〜9月の対中投資、前期⽐51%減 景気減速で成⻑期待薄く

中国国家外貨管理局が7⽇発表した7〜9月の国際収支によると、外資企業の直接投資は85億ドル(約1兆3000 億円)の流入超過だった。⼯場新設などの新規投資があったが、低⽔準が続く。景気減速で経済成⻑への期待がしぼみ、外資の投資意欲が下がっている。7〜9月の外資の直接投資は4〜6月と⽐べて51%減った。四半期ベースでピークだった2022年1〜3月⽐で92%減だった。

■深圳、世界初、ヒト型ロボが店員として接客

ヒト型ロボット開発の深圳市众擎机器人科技有限公司(EngineAI︓https://www.engineai.com.cn/)は 11 ⽇、ヒト型ロボットの展⽰・
体験・販売・サービスを兼ね備えた旗艦店を深圳市内に開業した。家電を扱う実店舗「京東之家」と協⼒し、ロボットが実際に接客を⾏う世界初の試みとなる。開店初⽇には大勢の来客が押し寄せ、主⼒機種「PM01」がリズムに合わせたダンスを披露。さらに店内で販売するドライヤーを自ら操作して⾒せるなど、来店客の注目を集めた。同社は接客ロボットを「サイボーグ店員(赛博店员)」と称し、商品の説明や案内を自然にこなせると説明している。担当者は利点として「疲れず、感情表現が豊かで、常に模範的な対応が可能」と強調。小売とロボティクスが融合する新たな店舗モデルとして、深圳発の実証が業界の関⼼を集めている。

2025年11月5

■中国、⾃動⾞買い替え補助⾦の申請が1000万件突破 新エネ⾞⽐率は57.2%に

商務部の発表によると、2025年10月22⽇時点での「⾃動⾞買い替え(以旧換新)」補助⾦の申請件数が1000万件を突破した。そのうち、廃⾞による更新が340万件以上、買い替えによる更新が660万件以上となっている。「以旧換新政策」は、中国の⾃動⾞産業のグリーン転換を効果的に後押ししている。2025年の補助申請全体のうち、新エネルギー⾞(NEV)の割合は57.2%に達し、1〜9月の新エネ乗⽤⾞販売は前年同期⽐24.4%増となった。同期間の国内市場普及率は52.1に達し、特に9月単月で57.8%と7カ月連続の上昇を記録した。同時に、資源リサイクル利⽤の⽔準も着実に向上している。2025年1〜9月期の廃⾞回収台数は前年同期⽐47.9%増の734万5000台。関連機関の試算によると、これにより約710万トンの鋼鉄、92万トンのアルミ、93万トンのプラスチックを再利⽤でき、⼆酸化炭素(CO2)の排出削減効果は2100万トンを超える⾒込みだ。

■中国、ネクスペリアの半導体を輸出解禁 条件付きで

商務部は1⽇、半導体メーカー、ネクスペリア製品の輸出を条件付きで解禁すると発表した。オランダ政府は経済安全保障上の問題があるとして同社を管理下に置き、これに反発した中国政府が国内⼯場からの出荷を制限していた。1⽇午前にホームページに掲載し、国営新華社などが伝えた。ネクスペリア製品の調達難に直面する企業は「実情を総合的に考慮し条件を満たす場合は禁輸措置を免れる」という。⼀方、米紙ウォールストリート・ジャーナルなど欧米メディアは、10月30 ⽇に開かれた米中首脳会談の合意事項に輸出再開が盛り込まれたと報じた。米中両国は近く合意に署名し、公表する⾒通しだが、条件付きの再開にとどまる可能性もある。

■中国、⽇本⼈への短期ビザ免除措置を延⻑ 2026年末まで

外交部は3⽇、中国を訪れる⽇本⼈らに短期滞在ビザ(査証)を免除する措置を2026年末まで延⻑すると発表した。中国政府は外国⼈の往来を⼀層円滑にするため、⽇本を含む多数の国に対する⼀方的な査証免除措置を延⻑した。この措置は⼀般旅券(普通パスポート)を所持する者を対象とし、商⽤(ビジネス)、観光、親族・友⼈訪問、交流、トランジット(通過)の目的で30⽇以内の滞在を⾏う場合に、ビザの取得を免除するものだ。今回の延⻑措置は⽇本以外にもフランス、ドイツ、韓国など40カ国以上が対象となった。特に今回の発表ではスウェーデンが25年11月10 ⽇から26年12月31⽇までの期間で新たに対象国に追加された。

■中国の分離式eVTOL「陸地航⺟」、ドバイで有⼈⾶⾏に成功 中東で600台の大型受注も

中国の電気⾃動⾞(EV)メーカー「⼩鵬汽⾞(Xpeng Motors)」傘下で、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を手がける「広東匯天航空航天科技(Xpeng Aeroht)」(以下、⼩鵬匯天)は10月12⽇、ドバイで地上走⾏も可能な分離式eVTOL「陸地航⺟(Land Aircraft Carrier)」の海外初となる公開有⼈⾶⾏を実施した。合わせて新たなグローバルブランド「ARIDGE」を発表した。⼩鵬匯天は同⽇、アラブ首⻑国連邦(UAE)の⾃動⾞ディーラー大手Ali&Sonsグループ、カタールのコングロマリットAlmanaグループなど中東地域の提携パートナーと計600台の購入契約を締結し、海外市場における過去最大規模の受注だった。
陸地航⺟は、地上走⾏⽤ユニットと⾶⾏ユニットを分離できる構造を特徴とし、短距離移動における「陸と空の融合」を目指して開発された。これまでに世界で累計7000台の受注を獲得しているという。創業者の趙徳⼒⽒は以前、販売価格は200万元(約4200万円)以内に抑えると述べた。

■米スタバが中国事業の過半売却、現地ファンド傘下で再建 店舗2倍超に

米コーヒーチェーン大手スターバックス(スタバ)は3⽇、中国事業の経営権を投資会社の博裕資本(ボーユー・キャピタル)に40億ドルで売却すると発表した。中国事業はここ数年、景気減速に伴う消費動向の変化、より安価な商品を提供する地元勢⼒との競争で苦戦していた。両社は合弁会社を運営する。博裕は中国におけるスタバのリテール事業の最大60%保有する。スタバは合弁会社の40%の持ち分を保持。ブランドと知的財産を所有し、新会社にライセンスを供与し続ける。今後10年間に同社の持ち分とライセンスを合わせた売却益が総額130億ドル超を⾒込んでいる。