今週のトピックス(2025年8月)
2025年8月21日
■2025年上期の対中貿易⾚字3.9兆円、過去最大級に拡大
財務省が7月に公表した2025年上半期(1〜6月)の貿易統計速報によると、日本の対中輸出は前年同期⽐2.1%減の8兆9,472億円、輸⼊は6.9%増の12兆8,508億円となり、貿易総額は21兆7,980億円に達した。輸出⼊総額が20兆円を超えたのは中国のみであり、輸⼊額でも唯⼀10兆円を突破した。結果、対中赤字は3兆9,035億円と前年から35.8%増え、過去最大級に膨らんだ。品目別では、通信機の輸出が22.3%増の1兆4,149億円と好調で、とりわけスマートフォンなど電話機が1兆1,416 億円と3割以上の伸びを示した。⼀方、半導体等電子部品は11.4%減の2,148億円、半導体製造装置も15.1%減の9,258億円にとどまり、鉄鋼(2,190億円、▲14.3%)や非鉄⾦属(3,566億円、▲14.0%)など素材系の輸出も軒並み低調だった。輸⼊面では電算機類(周辺機器含む)が2割近い増加となり、中国依存の強さを印象付けた。
国別収支では、中国が最大の赤字相⼿(3.9兆円)で、次いで資源国オーストラリア(2兆3,381億円)、UAE(1兆6,265億円)、サウジアラビア(1兆5,186億円)が続いた。逆に⿊字では⽶国が最大で4兆1,320億円、次いで香港が2兆7,130億円と、日本の貿易⿊字を牽引した。
全体では日本の貿易総額は108兆9,402億円、輸出53兆3,622億円(+3.6%)、輸⼊55兆5,780億円(+1.3%)。結果として赤字額は2兆2,158億円に縮⼩したが、対中取引の赤字拡大は依然として日本の構造的課題を浮き彫りにしている。
■中国EV業界の海外投資160億ドル、国内投資を初めて超過
中国の電気⾃動⾞(EV)業界で2024年に、海外投資が初めて国内投資を上回った。ただ、海外投資プロジェクトはコスト⾼や遅延などのリスクが多く、⼀部企業は計画の棚上げや中止を発表している。ブルームバーグ通信が18日、調査会社ロジウム・グループのリポートを引⽤する形で報じたもの。リポートによると、EVサプライチェーンに属する中国企業の海外投資は24年に計160億⽶ドル(約2兆3600億円)に達した。国内投資の150億⽶ドルを7%上回っている。海外投資の大部分はバッテリー生産関連だった。
■中国、機能性飲料市場が5年で5割拡大、24年は3.42兆円規模
機能性飲料の市場規模が拡大している。資料によると、若年層を中⼼に消費が伸びるなか、年間の販売市場規模は、2019 年の1119億⼈⺠元(約2兆3050億円)から24年の1665億⼈⺠元(約3兆4300億円)に増加した。5年間で49%増えている。市場成⻑の背景には、コロナ禍後の「健康+機能」意識の⾼まりなどがある。中国を中⼼にアジア太平洋地域では、20年6月〜24年6月にかけて機能性飲料の新製品投⼊が活発化した。新製品発売数の年平均増加率は、世界全体が7%にとどまる⼀方、中国は26%(新製品は累計253種)に達している。
■米国、新疆産品禁輸の検査強化 強制労働防⽌へ圧⼒
⽶国⼟安全保障省は19日、中国新疆ウイグル⾃治区からの物品輸⼊を原則禁止する⽶国の「ウイグル強制労働防止法」に関し、税関当局の検査を強化したと発表した。特に⼒を⼊れる重点品目に鉄や銅、希少⾦属リチウムなど五つを追加で指定した。⾃治区での強制労働防止に向け、⼀層の圧⼒強化を図る。ウイグル強制労働防止法では、⽶国への輸⼊を⼀律に原則禁止としている。重点品目には既に、綿やアルミニウムなど7品目が指定されている。
■中国・東風汽⾞集団、ホンダとのエンジン合弁の持ち株売却 EV集中
中国国有⾃動⾞大⼿の東風汽⾞集団は18日、ホンダと折半出資するエンジン合弁会社の持ち株を全て売却すると明らかにした。⼊札を通じて売却先や売却額を決める。東風汽⾞集団の新⾞販売や業績は低迷しており、事業再編によって電気⾃動⾞(EV)など成⻑領域への投資に集中するとみられる。
■中国ゲーム最大手テンセント、⾃社IPで海外攻勢 脱国内依存急ぐ
中国ゲーム最大⼿、騰訊控股(テンセント)が海外事業の拡大を急ぐ。2025年4〜6月期決算は増収増益だったが、国内ユーザーの頭打ちに直面。海外で有⼒な知的財産(IP)の買収・投資を進める。中⻑期的な成⻑を目指し、⾃社開発したゲームの海外展開も⼿掛けていく。
2025年8月7日
■「世界ロボ大会」8⽇開幕へ、北京亦荘で出展1500点以上
北京経済技術開発区(北京亦荘)内の会場で「2025世界ロボット大会」が8⽉8〜12日に開催される。世界ロボット博覧会と世界ロボット競技大会も実施される予定だ。中国電子学会(CIE)、世界ロボット協⼒機構(WRCO)が主催し、北⼈亦創国際会展中⼼を会場とする。世界200社超が参加し、展示されるロボット製品群は1500点を超える。うち100点以上が世界初公開で、新製品数は前年のほぼ2倍に拡大する⾒込みだ。開催地の北京亦荘では、「E-Townロボット消費祭」を会期中に開催する。
■中国、チベットで世界最大のダム着工 経済一体化で統治強める
中国政府がチベット⾃治区で発電能⼒が世界最大となる巨大ダムの建設を始めた。総投資額は1兆2000億元(約25兆円)にのぼる。減速する国内経済の刺激策にするとともに、⽯炭に依存したエネルギーの脱炭素化も狙う。電⼒供給源としてチベット⾃治区と沿海部など国内経済との一体化を進める思惑もある。
■ソフトウエア産業売上高12%増、上期は全国144.35兆円
今年1〜6⽉のソフトウエア産業売上⾼は、中国全体で前年同期⽐11.9%増の全国7兆585億⼈⺠元(約144兆3500億円)規模に上った。利益総額は12.0%増の8581億⼈⺠元に拡大している。工業情報化部が1日に報告した。情報技術サービス売上⾼は12.9%増の4兆8362億⼈⺠元(ソフトウエア産業売上⾼全体の68.5%)に拡大している。クラウド・ビッグデータソフトは12.1%増の7434億⼈⺠元、半導体設計ソフトは18.8%増の2022億⼈⺠元、Eコマースプラットフォーム技術サービスは10.2%増の5882億⼈⺠元などに達した。ソフト製品の販売収入は、10.6%増の1兆5441億⼈⺠元(ソフトウエア産業売上⾼全体の21.9%)に伸びている。うち基幹ソフトは13.8%増の903億⼈⺠元、産業用ソフトは8.8%増の1445億⼈⺠元などに上った。
■米スタバ、テンセントなどと交渉 中国事業の一部売却で
米コーヒーチェーン大手スターバックスが中国事業の一部を売却する計画を巡って、同国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)などと交渉を進めていることが明らかになった。ブライアン・ニコル最⾼経営責任者(CEO)は決算説明会で中国事業の株式売却について⾔及し、「ビジョンと価値観を共有する戦略的パートナーを探している。中国市場の大きな成⻑可能性と機会を捉えたい」と述べた。また、20社以上の企業が強い意欲を示しており、検討を進めているとした。
■中国・京東、ドイツ家電量販を買収へ 欧州でもECと店舗融合
中国ネット通販大手の京東集団(JDドットコム)は31日までに、ドイツの家電量販セコノミーを買収すると発表した。中国で培った通販や物流のノウハウを提供し、欧州でも通販と店舗の融合を進める。セコノミーの経営陣は京東による提
案を支持すると表明した。