今週のトピックス(2025年7月)
2025年7月30日
■中国当局、貸し出し用モバイルバッテリーも安全認証必須に
中国当局は24日、リコール(回収・無償修理)が相次いでいるスマートフォンなどに使うモバイル充電器について、貸し出し用の場合にも安全認証の取得を求める通知を出した。6月、認証のない充電器の航空機への持ち込みが禁じられ、販売に悪影響が出ており、関連業界にさらなる打撃が広がる可能性がある。
■香港がステーブルコイン解禁 ⼈⺠元建てに道、⽶ドルに対抗
⾹港で法定通貨を裏付けにした暗号資産(仮想通貨)、ステーブルコインの免許制度が始動する。将来の⼈⺠元建ての発⾏に道が開かれる。トランプ⽶政権がステーブルコインを通じた⽶ドル覇権の強化に動くなか、中国が⾹港を⾜がかりにデジタル決済分野で対抗する構図が浮かぶ。
■ロボ製品「6S店」、深セン⻯崗に初開業
ロボット製品を専門的に提供する「6S店」が28日、深セン市⻯崗区の坂⽥街道深セン星河WORLD園区で初開業した。⾃動⾞販売チェーンなどを指す4S(Sale、Sparepart、Service、Surveyを⼿掛ける総合ディーラー)店の基本サービスに加え、運営する深セン未来時代機器⼈有限公司がLeaseとCustomizedも全面的に提供する。 ロボットブームが続くなか、新たな商業モデルが今回誕生する。ロボット6S店は「六位一体」の全ライフサイクルサービスを提供する総合拠点。
■対中半導体輸出承認、個別案件で前進 日本企業にも影響広がる
2025 年7月現在、⽶国による対中半導体輸出規制については一部緩和の兆しが⾒られる。NVIDIAのAI半導体「H20」やAMDの「MI308」など、個別ライセンス審査が進み、近く承認される⾒通しと報じられている。一⽅で、包括的な規制緩和ではなく、依然として先端技術の中国向け輸出には厳格な審査が継続される⾒込みである。日本企業も⽶国の規制⽅針に準拠する形で対中輸出管理を求められており、現地でのビジネス展開やサプライチェーンに影響が及んでいる。特に装置メーカーや素材企業は、今後も⽶中両政府の動向を注視し、リスク管理を強化する必要がある。
■アリババ、スマートグラス披露 生成AIと連携で検索や道案内
中国ネット通販最大⼿のアリババ集団は、同社として初めて開発したスマートグラス(眼鏡型端末)を披露した。生成AI(⼈⼯知能)を使ったアシスタントアプリの「誇克(クオーク)」と連携させ、眼鏡越しに⾒た物を検索したり解説を聞いたりできるほか、翻訳などの機能を持たせた。
■「中国⻑安汽⾞集団」が発⾜、軍系企業から⾞事業を分離・移管
中国の国有企業を管理する国務院国有資産監督管理委員会(国資委)は29日、中国⻑安汽⾞集団の設⽴を発表した。これまで親会社だった⼈⺠解放軍系企業の中国兵器装備集団から⾃動⾞事業を分離し、中国⻑安汽⾞集団に同事業が移管された。27日付で重慶市に登記された。国務院が直接管理する「中央企業」で、資本⾦は200億元(約4000億円)。
2025年7月23日
■中国、EV電池の製造技術を輸出規制対象に 米国は反発か
商務部と科学技術部は7月15日、電気自動⾞(EV)に使われるリチウムイオン電池の製造に関する技術を輸出規制対象に含めたと発表した。輸出規制を強化した格好で、⽶国などの反発を招きそうだ。輸出を規制するリストにリチウムイオン電池の製造に不可⽋な正極材に関する技術を含め、同日付で適⽤した。中国は近年、国家安全保障などを理由に輸出規制を強めてきた。⽶国との貿易摩擦が激化した今年4月には、幅広い産業で使われるジスプロシウムを含むレアアース(希土類)7種類の輸出規制を強化。中国産に依存していた日本や⽶国で自動⾞⼯場の操業が停止するなど影響が世界に広がった。
■中国、日本産水産物449種の輸入許可 ホタテやマグロなど
国税関総署はホタテやマグロ、イカなど449種類の水産物について日本からの輸入を許可した。17日までに同署のホームページに許可対象となった品目のリストを公表した。税関総署は11日、北海道と⻘森県に⽣産地がある日本企業計3 社に対し、中国への水産物輸出に必要な登録を認めたばかり。企業登録に続き、輸入を認める水産物のリスト公開で輸入再開に向けた⼿続きを前進させた。税関総署は水産物を中国に輸出する日本企業に日本の政府機関が発⾏する衛⽣証明書や放射性物質の検査証明書、産地証明書の提出を求めている。中国に水産物が到着後、中国税関当局が検疫を実施する方針である。
■中国、北朝鮮との貿易額1〜6月30%増 旅客列⾞の運⾏再開へ
中国が北朝鮮との経済交流を活発にしつつある。中朝の1〜6月の貿易総額は前年同期から30%増えた。観光やビジネスなど人的往来を促すため、両国を結ぶ国際旅客列⾞の運⾏も近く再開する。中国税関総署が18日発表した両国の貿易総額は約12億6100万ドル(約1875億円)で、前年同期⽐で3割増を記録。中朝関係は経済分野を軸に復調しつつある。中国から北朝鮮への輸出の伸びが大きく、中国側が北朝鮮への影響⼒を維持しようとしているとの⾒方がある。
■アリババクラウド、プログラミングAI公開 ソフト開発を効率化
中国アリババ集団傘下のアリババクラウドは23日、ソフトウエアのプログラミングなどができる⽣成AI(人⼯知能)基盤モデル「Qwen3-Coder」を公開したと発表した。外部に技術情報を公開する「オープンソース」で提供する。Qwen3 Coder の大きな特徴は、ネイティブで256Kトークンという広大なコンテキスト⻑をサポートするだけでなく、「YaRN(Yet another RoPE-based scaling method)」という拡張技術を⽤いることで最大100万トークンまで対応可能である点。これにより、リポジトリ全体を理解するような大規模なタスクにも対応できる。C++、Java、Python、Ruby、Swift、ABAPなどを含む358もの多様なプログラミング言語をサポートできる。
■テスラ、中国で6人乗りSUV「モデルYL」 秋にも発売
⽶電気自動⾞(EV)大⼿のテスラは6人乗りの多目的スポーツ⾞(SUV)を中国で発売する。中国の⼯業情報化省が16日公開した資料で明らかになった。スマートフォン大⼿の⼩⽶(シャオミ)など新興勢が対抗⾞種を相次ぎ投入して競争が激化しており、⾞種の拡充で販売をテコ入れする。
2025年7月17日
■日本産牛肉、24年ぶり対中輸出再開へ 検疫協定が発効
⽇本産牛肉の対中輸出は、2001年のBSE(牛海綿状脳症)発生以降、約24年間にわたり停止していたが、再開に向けて⼤きく動き出した。2025年7月11⽇に「動物衛生検疫協定」が発効し、これは禁輸措置解除への重要な⼀歩とされている。この動きの背景には、2025年の⼤阪・関⻄万博に合わせた中国の何⽴峰副⾸相と⾃⺠党の森⼭幹事⻑の会談があり、ジャイアントパンダの新規貸与要請と牛肉輸出再開が「セット」で交渉されたと⾒られている。中国は世界最⼤級の牛肉消費国であり、高品質な和牛に対する需要が高い。⽇本の畜産業界にとって⼤きな経済的機会となる可能性がある⼀⽅、国内の高級和牛の供給量が減少し、価格が上昇する可能性も指摘されている。中国のネットユーザーからは「これまで⾷べていた和牛は偽物だったのか」といった声も聞かれるが、実際の輸出再開時期については、検疫に関する詳細な技術的協議が残されており、依然として未定である。
■中国消費者物価、6月0.1%上昇 5カ月ぶりプラス
中国国家統計局が9⽇発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月⽐0.1%上昇した。5カ月ぶりにプラスとなった。⾐類などが値上がりしたうえ、ガソリンなどの交通燃料の低下幅も縮小した。5月は0.1%下落していた。品目別でみると、⾐類は1.7%上昇し、靴類も1.1%上がった。⾷品関連では牛肉が2.7%、果物が6.1%それぞれ上がった。
■中国キャラ市場、12兆円で“ラブブ・ショック” 国産IP台頭と新ヒーロー誕生
中国のキャラクター市場が、今まさに⼤変貌を遂げている。2024年時点の市場規模は約12兆円――5年前から倍増という驚異的な拡⼤だ。上海で開かれたアニメ・ゲーム関連イベントでも、網易(ネットイース)などゲーム⼤⼿が生み出すオリジナルキャラや、若者が熱狂する新しい⾃国IPが注目の的となった。なかでも、今や社会現象と化しているのが、ポップマート(POP MART)の「LABUBU(拉布布)」である。(https://www.popmart.com.cn/home/about)香港⼈アーティストKenny Wongが生み出したラブブは、独特な表情といたずらっ⼦のような風貌が中国のZ世代をとりこにし、店舗には早朝から⾏列、限定フィギュアは即完売。SNSでも“ラブブ開封”動画やコレクション⾃慢がバズを生み、まさに「ラブブ・ショック」と呼ぶべきブームが広がっている。従来、⽇本やアメリカ発のキャラが主流だった中国キャラ市場は、今や中国発ゲームやオリジナルIP、そして香港発ラブブのような新世代キャラが主役へと⼤きくシフトした。中国当局も国産IP振興に本腰を入れており、「⾃国キャラ」が“ラブられる”時代が本格的に到来したと言える。12 兆円規模となった中国キャラ市場。その爆発的成⻑の裏側には、こうした⾃国発・新世代キャラの登場と、消費者の「共感」「癒やし」ニーズの劇的な変化がある。
■BYDとCATL、豪BHPと提携 鉱山事業の電動化で
オーストラリア資源⼤⼿BHPグループは14⽇、中国の⾃動⾞⼤⼿⽐亜迪(BYD)の電池事業⼦会社と⾞載電池⼤⼿の寧徳時代新能源科技(CATL)とそれぞれ提携したと発表した。BHPが採掘作業を⼿掛ける鉱⼭で、BYDとCATLの⾞両や電池を使った技術を活⽤する。
■フォルクスワーゲン、中国・南京の合弁⼯場を閉鎖 販売減で
ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)は中国国有⾃動⾞⼤⼿・上海汽⾞集団と合弁で運営する江蘇省南京市の⾞組み⽴て⼯場を閉鎖する。VWは世界販売の3割を占める中国市場で販売減に直⾯しており、構造改⾰で⽴て直しを図る。南京⼯場は2008年に設⽴した。主⼒⾞「パサート」や低価格ブランド・シュコダの「スーパーブ」などのエンジン⾞を製造している。
2025年7月10日
■中国、現⾦200万円超の取引に報告義務 貴⾦属・宝⽯業者が対象
中央銀⾏である中国⼈⺠銀⾏はこのほど、「貴⾦属および宝⽯取扱機関向け反マネーロンダリング及びテロ資⾦供与防止管理⽅法」を発表した。同管理⽅法によれば、取り扱い機関は現⾦による10万元(約200万円)以上の取引、もしくは同額の外貨現⾦取引を⾏った場合、反マネーロンダリングの義務を履⾏しなければいけない。
■中国初の洋上浮体式PV、⼭東⻘島で7.5MW稼働
中国初の洋上浮体式太陽光発電(PV)施設が山東省⻘島市沖でこのほど稼動開始した。中国⽯油化⼯傘下の⻘島煉油化⼯有限責任公司が設置し、先⾏稼働した着床式のPV施設と連動し、中国⽯化として最大規模の⽔⾯PV事業となる。プロジェクト全体で年間1670万kWhのグリーン電⼒を生み出し、二酸化炭素1万4000トン(樹木75万本相当)の排出を削減する。⾯積6万平⽅メートルに合計7.5MW(7500kW)相当を設置した。潮汐に追随して上下するフロート設計を採用し、発電モジュールと⽔⾯の距離を縮めたことで、海⽔の冷却効果で発電効率は5〜8%向上する。
■米政府、半導体設計ソフトで対中規制撤回 シノプシスなど提供再開へ
米政府が5月に導入した半導体の設計ソフトの対中輸出規制を撤回することが2⽇明らかになった。設計ソフトの主要企業である米シノプシスや米ケイデンス・デザイン・システムズなどが米商務省から規制解除の通知を受け取った。関税交渉を巡る米中政府間の緊張が緩和し始めた。シノプシスは2⽇に「最近規制対象になった中国向け製品の再提供に向けて取り組んでいる」と表明した。
■1000kW充電体験︕BYD常州⼯場が描く中国EV覇者の強さ
中国EV最大⼿BYDは、2025年4月の上海モーターショーに合わせ、江蘇省常州市の⾃社⼯場を⽇本メディア向けに公開した。常州⼯場は2022年稼働で年産40万台、主要⾞種はもちろん、⽇本向け右ハンドル⾞も生産。⼯場内は⾃動化が進み、溶接⼯程の95%がロボット化される一⽅、バッテリーや内装の組付けなど重要部分は⼈が担当する。全体で1万⼈が働き、「窓とタイヤ以外は全部内製」という徹底ぶりが特徴だ。ディーラー⾒学では、出⼒1000kW級の超急速充電も体験。⽇本で主流の90〜120kWを大きく上回り、「5分で400km分充電」という驚異的なスピードを実感できたという。BYDは新EVプラットフォームや独⾃電池技術で、技術⼒と多⾞種展開を武器に世界EV市場でトップを⾛る。2026年には⽇本市場専用の軽BEVも予定しており、今後ますます⽇本の街中でもBYD⾞を⾒る機会が増えそうだ。
■アリババ、社債発⾏で2200億円調達へ クラウド・通販に投資
中国ネット通販最大⼿のアリババ集団は3⽇、他社株転換社債(EB債)を発⾏して120億香港ドル(約2200億円)を調達する計画を発表した。調達した資⾦はクラウドとネット通販事業への投資に充てる。今回発⾏するEB債は2032 年に満期を迎える。傘下企業で医療関連事業を⼿がける阿⾥健康信息技術(アリババ・ヘルス)の株式に転換する。
■テスラ世界販売13%減 4〜6⽉、不買運動響き2四半期連続2ケタ減
米電気⾃動⾞(EV)大⼿のテスラが2⽇発表した2025年4〜6月期の世界販売台数は前年同期と⽐べ13%減り、38万4122台だった。2四半期連続で2ケタ減となった。イーロン・マスク最⾼経営責任者(CEO)の政治的な発⾔への反発から続く不買運動に加え、中国企業が価格や質の⾯でも台頭し競争が厳しくなっている。
2025年7月2日
■中国、フェンタニル原料を規制対象に追加 米中交渉で懸案
中国政府は6月26日までに、合成⿇薬「フェンタニル」の原料2種類を化学品の規制対象に加えた。トランプ⽶大統領は2月、フェンタニルの原料となる化学物質の流⼊を中国が抑制できていないとして、中国からの輸⼊品に20%の関税を課した。など⽶中交渉の懸案となっており、中国側が⽶側の要求に応じた可能性もある。
■中国の国内便、安全認証ない充電器持ち込み禁⽌ Ankerなど回収で
中国⺠用航空局は26日、安全認証マークがないなどの充電器の国内便機内への持ち込みを28日から禁止すると発表した。中国では6月に⼊り、国内大手の安克創新科技(アンカー・イノベーションズ)などのリコール(回収・無償修理)が相次いでおり、安全対策を講じる。禁止されるのは、国家基準である安全認証「3C」のマークがなかったり、はっきり記載されていなかったりするスマホなどの充電器。
■中国が日本産水産物の輸入再開、29日に即日実施、10都県は除外
中国政府は29日、東京電⼒福島第1原⼦⼒発電所の処理⽔放出を受けて停止していた日本産⽔産物の輸⼊について同日付での即時再開を発表した。対象は37道府県の⽔産物で、福島や東京など10都県は含まない。⽔産物を中国へ輸出する日本側企業は、中国の「輸⼊⾷品海外製造企業登録管理規定」などの関連規定に準ずることとし、輸出を一時停止していた日本の⽔産物メーカーは中国での再登録を⾏う必要があるとしている。また、日本産⽔産物の輸出を申告する際、日本の公的機関が発。⾏した衛⽣証明書、放射性物質検査合格証明、産地証明を提出しなければならないとしている。
■中国・凱瑞医療、AIで採血や注射スムーズ 専用ロボ開発
採⾎ロボットの開発を手がける中国スタートアップ「凱瑞医療科技(Kairui Medical Technology)」がこのほど、プレシリーズAで瀘州市双港実業から数千万元(数億円)を調達した。調達した資⾦は、製品開発の加速や技術⾰新、⼈材採用、⽣産ラインの建設、CEマーキングの手続きに充てるという。同社は採⾎ロボット以外にも、⾃動超音波検査ロボットや3D超音波診断ロボットの開発にも取り組んでおり、包括的な医療⾃動化ソリューションの提供を目指している。
■小米、EVに独自半導体を搭載へ スマホに続き自社開発品を拡⼤
中国スマートフォン大手の小⽶(シャオミ)は、独⾃設計・開発の半導体を電気⾃動⾞(EV)に搭載する計画を発表した。これまで⾞載用半導体は⽶クアルコムやNVIDIAに依存してきたが、今後はスマートコックピットや運転支援機能などの中核部分を⾃社製チップで担う方針だ。2025年5月には、3 ナノメートルプロセスの新型チップ「Xring O1」を発表し、すでにスマートフォンやタブレットにも展開済みで、次世代EV『YU7』や『SU7 Ultra』といった⾞載モデルにも同チップを応用する。4つの電⼦制御ユニットを統合した⾼効率な制御システムを採用。工業情報化部(MIIT)主導の⾃動⾞産業政策の下、他の中国大手メーカーも⾞載半導体開発を強化しており、技術⾃⽴と競争⼒強化が加速している。