中国の軍⺠両⽤品(デュアルユース)に関する禁輸措置について
- 中国の軍⺠両⽤品(デュアルユース)に関する禁輸措置が実施されました。日本企業にどのような影響があるのか、教えてください。
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2026 年2月24日、中国商務部は日本の企業・機関40組織を対象とした軍⺠両⽤品(デュアルユース)の輸出管理措置を即日施⾏しました。今回の措置が日本企業に与える影響や対策について、以下の3点から解説します。
① この措置を公布した背景と理由
今回の規制強化の背景には、日中間の地政学的緊張の高まりがあります。具体的には、台湾有事をめぐる日本の高市首相の国会答弁などへの反発や、日本の政権与党の選挙圧勝を受けた政治的・経済的な威圧(揺さぶり)の側面が強いとみられています。
中国商務部は公式な理由として、「日本の再軍備化と核への野心(擁核企図)を抑制すること」を挙げており、国家の安全保障および不拡散義務の履⾏のために正当で合法的な措置であると主張しています。一方で、「正常な経済貿易活動に影響を与えず、誠実かつ法令を遵守する日本の企業・団体は全く心配する必要はない」とも強調し、あくまで特定の軍事関連⽤途に絞った措置であると説明しています。② 措置の内容の分析と解説
本措置は、中国の「輸出管理法(2020年)」や「両⽤物項輸出管制条例(2024年)」に基づき、対象組織を性質の異なる2つのリストに分類しています。・輸出規制リスト(管控名单)︓事実上の輸出全面禁止
三菱重⼯業、川崎重⼯業、IHIなどの関連会社、防衛大学校やJAXAなど20の企業・機関が指定されました。これらの組織に対し、中国の輸出事業者が軍⺠両⽤品を輸出することは原則として全面的に禁止され、進⾏中の取引も直ちに停止しなければなりません。
※商务部公告2026年第11号 公布将20家日本实体列⼊出⼝管制管控名单・監視対象リスト(关注名单)︓個別許可と厳格審査の義務化
SUBARU、ENEOS、TDK、住友重機械⼯業など幅広い業種の20企業・団体が指定されました。こちらは全面禁輸ではありませんが、包括許可(通⽤許可)の適⽤が不可となり、個別許可(単項許可)の取得が必須となります。
申請時には「リスク評価報告書」や「日本の軍事⼒向上に寄与しない旨の書面誓約」の提出が求められ、審査期間は無期限に延⻑される可能性があります。
さらに本措置には域外適⽤(サードパーティの責任)が含まれており、第三国にある日本企業の子会社であっても、中国原産の両⽤品を対象組織へ移転した場合は法的責任を問われるリスクがあります。
※商务部公告2026年第12号 公布将20家日本实体列⼊关注名单③ 日本企業への影響と対策
対象企業だけでなく、中国産部材を使⽤する日本の製造業全体への影響が懸念されます。
【日本企業への主な影響】
EV⽤モーターに不可⽋なレアアース(ジスプロシウム等)や半導体材料、炭素繊維などが規制対象品目に含まれる可能性が高く、調達リードタイムの⻑期化や納期の不確実性が急増します。また、自社のサプライチェーンの末端を経て規制対象企業に中国原産品が渡ってしまった場合、連鎖的に制裁対象となる「間接輸出(意図せぬ規制違反)」のリスクも高まります。以上


