中国RoHS認証︓更新時に、シリーズ名称変更と「差分申請」でコスト削減は可能か⁉

中国RoHS認証の「更新」と「名称変更」を同時に⾏い、複数の派⽣モデルを包括的に管理する「親⼦シリーズ構造」を構築することで、将来的な認証コストや⼯数を削減する運⽤は可能でしょうか︖


 戦略的な「変更申請」により、既存認証を上位ブランド名に統合し、将来的な拡張を効率化する親⼦シリーズ構造の構築は可能です。
 貴社が目指されている、既存の認証(ベースモデルとしてここでは SE-1 と呼称します)をブランドの上位名称である「Sakuraba Series」に移⾏させ、さらに派⽣モデル(SA Series、SB Series、SC Seriesなど)を効率的に包括する戦略は、中国品質認証センター(CQC)の定める手続き内で実⾏可能です。
 この運⽤は、新規製品開発の度にゼロから認証を取り直す手間や時間、コストを大幅に削減するための、最も効果的な方法の一つです。

1.戦略的な認証スキームの確⽴
以下のプロセスで目的が達成できます。

  • 同時申請: 既存のSE-1の認証書更新申請を⾏うと同時に、その型番をメイン型番「Sakuraba Series」に変更する変更申請を提出します。これにより、SE-1の新規申請を別途⾏う必要がなくなります。
  • 親子構造の確⽴: 認証書には、「Sakuraba Series」をメイン型番とし、包括する各シリーズ(例︓SA Series、SB Series、SC Series)をカバー型番として記載されます。この構造は、認証システム内で階層的な管理を可能にします。

2.将来の拡張と効率化︓差分申請の活用
 この包括的な「Sakuraba Series」認証構造を構築することで、将来的に新製品(例︓SA Series、SB Series)が市場投入される際の認証負担を軽減できます。

  • 差分申請の適用: 新製品が展開される際、CQCの規定上、材質が異なる部品(差分)のみの申請・試験をもって、Sakuraba Series として包括的な認証の拡張が可能であるという認識が共有されています。
  • 材質の違いの判断: 例えば、電⼦基板上の部品を一部変更した場合、これは通常、材質が異なると認識され、試験が必要になります。一方、材質的に同一の部品については、適切な声明書等をもって認証に代えることができ、試験は要求されません。

3.実務上の申請要件と留意事項
スムーズな認証移⾏のため、以下の点に留意が必要です。

  • 必要なサンプル: 申請時には、現メイン型番であるSE-1のサンプル1台が必要です。また、包括申請を⾏う派⽣モデル(例︓SA Series)についても、メイン型番SE-1と材質が異なる部材を提供する必要があります。
  • サンプルの試験後の扱い: RoHS認証の型式試験には化学試験項目が含まれるため、試験完了後のサンプルは処分され、返却されません。したがって、以前試験所に提出されたサンプルを今回の更新・変更申請で再利⽤することはできません。
  • リードタイム: サンプルが試験所に到着してから認証書を受領するまで、およそ45日間かかる⾒込みです。このリードタイムにより、既存の認証書の有効期限までに更新が完了することを保証することはできません。
  • 更新の頻度: 認証取得後も、年一回の更新が必要とされます。また、包括されているカバー型番の量が増加すると、それに伴い試験費⽤が増額される可能性があります。

 この戦略を採⽤することで、貴社は中国市場における製品ラインナップを、認証の側面から強固に、かつ効率的にサポートすることが可能となります。

※以下は、過去に掲載した中国RoHSの説明です。参考にしてください。
■中国 RoHS と新規定について
https://chinawork.co.jp/fqa20240710/(その1)
https://chinawork.co.jp/fqa20240717/(その2)
https://chinawork.co.jp/fqa20240724/(その3)

  以上