中国への水産物輸出再開に向けた手続きについて(2)

中国への⽔産物輸出が再開されました。当社(所在地︓中国地⽅)では、ホタテ、イカ、ワカメなどの⽔産品およびそれらを原料とした加⼯⾷品を、中国(上海・広州を想定)へ輸出する予定です。必要な⼿続きを教えてください。


 前回は⽔産品の輸出⼿続きを説明しましたが、今回は水産品を原料とする加⼯⾷品(乾燥わかめスープ、イカ惣菜など)の中国向け輸出についてまとめます。基本フローは⽔産品と似ていますが、加⼯⾷品特有の注意点もあります。

1.輸出可否・施設登録
 まず、⽇本産⽔産物を原料に使う場合は、禁輸対象10都県(福島県、群馬県、茨城県、栃木県、宮城県、新潟県、⻑野県、埼⽟県、千葉県及び東京都)以外の原料のみが対象です。原料の採取地・加⼯地を必ず確認し、メーカーやサプライチェーン各社が中国税関(GACC)に登録済みであることをチェックします。高リスク品目(乾燥わかめ・魚介缶詰等)は⽇本当局経由で登録申請、それ以外はメーカーが直接申請します。

2.必要書類・成分規格の事前確認
 衛生証明書、放射性物質検査証明書、産地証明書が必要です。加えて、加⼯⾷品の添加物や成分が中国の基準(GB2760等)に適合しているかを確認します。保存料・着⾊料等で中国未許可のものは使⽤できません。製品規格書や成分表は中国語訳を⽤意し、審査時のズレを避けます。

3.梱包・輸送・温度管理
 常温品は通常の海上輸送でOKですが、湿度対策や高温対応が必要な場合も。冷蔵・冷凍品はコールドチェーン輸送(冷凍-18℃以下、冷蔵0〜5℃)が必須です。中国では冷凍品の追跡管理も強化されており、温度逸脱や品質不良は通関トラブルの原因となります。

4.通関・検査
 中国での検査では重⾦属・微生物基準、添加物の適法性、包装材の安全性(GB 4806等)も確認されます。包装資材の安全基準証明も求められることがあります。通関が通れば輸入許可ですが、加⼯品は生鮮より関税率が高め(例︓調製品20%前後)。RCEPなどの優遇税率活⽤も検討を。

5.費用と注意点
 主な費⽤は証明書発⾏費・検査費・物流費・関税など。放射性検査はロットごとに数万円、物流はコンテナ⼀本数⼗万円(リーファーは割増)。関税・VATは中国側負担ですが、HSコード別に要事前確認。RCEPで関税ゼロとなる品目もあります。

6.その他の留意点
 中国の⾷品規制は頻繁に改定されるため、最新の基準を常に確認することが重要です。安全管理やトレーサビリティ強化が信頼構築の鍵です。実務で不明点があれば、農⽔省やジェトロ等の窓⼝も活⽤してください。

参考︓JETRO「中国向け水産物輸出ガイド」・農水省資料

  
以上