中国への水産物輸出再開に向けた手続きについて

中国への⽔産物輸出が再開されました。当社(所在地︓中国地⽅)では、ホタテ、イカ、ワカメなどの⽔産品およびそれらを原料とした加⼯⾷品を、中国(上海・広州を想定)へ輸出する予定です。必要な⼿続きを教えてください。


■輸出条件と中国側準備︓
 輸出品が中国の禁輸対象地域産でないか確認します。現在、福島県等10都県の⽔産物は輸入禁止のため、それら由来の製品は輸出できません。想定されている中国地⽅産ホタテ・イカ・ワカメ等は問題ありませんが、原料を仕入れる場合も最終加⼯まで禁輸地域外で⾏う必要があります。また、中国の輸入業者が事前に動植物検疫許可証を取得し、⾷品輸入の営業許可も満たしていることを確認します。
■中国税関への事前登録︓
 輸出事業者および生産・加⼯施設は中国税関(GACC)への登録が必要です。ホタテやイカ等の⽔産物は中国指定の特定⾷品に該当するため、各加⼯場や冷蔵施設ごとに⽇本の主管当局(農⽔省)を通じて登録申請を⾏います。過去に登録済みの施設も禁輸解除に伴い再登録が求められています。審査に時間がかかるため、早めに⼿続きを進める必要があります。
■出荷前検査と証明書︓
 輸出前に衛生証明書、放射性物質検査証明書、産地証明書を取得します。衛生証明書は所管官庁が発⾏するもので、⽔産物の安全性を証明します。放射性物質検査証明書は⽇本産⽔産物について中国側が特に要求しているもので、検査機関でサンプル検査を実施します。産地証明書は禁輸対象地域産でないことを示すものです。必要に応じて検疫証明書等も準備します。これらの取得には時間と費用がかかるため、余裕を持って進めます。
■輸出通関・輸送︓
 必要書類を揃え、税関で輸出申告を⾏います(インボイス、P/L、B/L等)。冷凍ホタテやイカは冷凍コンテナで適切な温度管理のもと輸送します。ワカメ等の乾物は通常のコンテナで構いませんが、湿気対策を講じます。出荷スケジュールに合わせ国内輸送や船積み⼿配を調整します。
■中国での輸入手続︓
 貨物が中国に到着後、輸入業者が税関に輸入申告し、前述の証明書類を提出します。中国税関は書類審査と貨物検査(抜取検査)を⾏い、放射性物質や重⾦属、細菌などが基準以下で安全か確認します。問題なければ輸入許可となり、関税(例︓ホタテ冷凍品約5〜10%)と増値税(一般⾷品は9%)が徴収されます。RCEPの原産地証明書があれば関税の優遇も可能です。
■国内流通と表⽰︓
 輸入後、中国国内で販売可能となります。業務用原料として流通させるだけなら追加の許可は不要ですが、消費者向けに販売する場合は中国語の表示ラベルを貼付する必要があります。製品名、原産国(⽇本)、輸入業者情報、製造⽇・賞味期限、保存⽅法、内容量、施設登録番号などを中国語で明記します。これらの表示は現地での貼付も可能ですが、事前に準備しておくとスムーズです。
 外装箱にも「中国向け」(For China)等の表示をしておきます。表示義務を怠ると現地当局から是正指導を受ける可能性があるため注意してください。
 なお、⽔産加⼯⾷品の輸出には上記に加え必要な⼿続きや留意点があります。これらは次回に解説します。

※参考資料︓(JETRO「中国向け⽔産物輸出ガイド」jetro.go.jpjetro.go.jp、農⽔省「輸出再開⼿続」
jetro.go.jpmaff.go.jp、他)

  
以上