中国に設⽴した子会社の会社名は商標を登録したほうがよい︖

中国で取引が始まり、現地での活動を活発にするため、現地拠点として上海に現地法人を設⽴します。しかし、その場合、会社名は同時に商標も出願して登録したほうがよいというアドバイスを受けました。会社名は商標登録したほうがよいのでしょうか。

 

 まず、中国の会社名を⾒てみましょう。通常は、漢字しか使えず、「⾏政区画名+商号+産業または経営上の特徴+有限公司」といいますが、これを⾒ると社名の構成がわかりやすいかと思います。“上海”が⾏政区画名、“桜葉商務”が商号、“信息諮詢”は業種がコンサルティング業であることを示唆しています。この場合の“桜葉商務”を商標登録したほうがよいのか、というのが、今回のご質問かと思います。

 業種や会社の方針によっても違いますが、可能であれば(類似があり、登録ができないケースも多い)、出願登録するべきだと思います。中国だからということではなく、日本でも、どこの国でも会社名の商号で商標を登録しておくと様々なメリットがあります。
 商号は、設⽴した会社の所在地の⾏政区画の中で同一の商号がなければ申請できます。一方の商標登録は、中国全国の中で、会社名が商標登録されていなければ、出願登録できます。これで権利化に成功すれば、出願登録に成功した区分(全 45 類からなる商標登録する商品又は役務のカテゴリ)の中で、同じような会社名を他の会社に勝手に商標登録させないで、商標の権利保護を⾏うことができます。また、似たような商標が出願された場合は、同じような商標だから使わないように権利を主張できます。
 逆にもし先に他社が貴社の会社名を商標として登録してしまったらどうなるでしょう。その会社名は公で使いにくくなり、使っていれば権利侵害で訴えられるリスクが出てきます。だから会社名の商号登記だけでは、会社名としてのブランドを守れないわけです。様々な宣伝で会社名を目⽴つように表示する、会社名をホームページでアピールすることができなくなる。つまり、会社名を目⽴つように使うことが難しくなるということです。

 会社名や商品名は、取引業者や消費者がそれを⾒たときに、どこの会社のどの商品だとすぐにわかるようにする必要があります。それが、公に会社名を宣伝すると権利侵害だと訴えられる恐れがあるという事態になります。わかりやすい事例として、「コカ・コーラ」を挙げてみます。「コカ・コーラ」は中国語で、“可口可楽”と書きますが、発音と意味が商品に適合している中国語ネーミングの傑作として知られています。この“可口可楽”は会社名としても使われており、例えば、“太古可口可楽有限公司”などがあります。

 このように、会社名をブランドとして使って、広く認知させたい場合は商号を商標として登録したほうがよいわけです。会社名、商品名、店舗名をブランド名で同一にすることで、ブランドイメージを強烈に印象付けることができ、同時に商標登録にかかるコストも効率化できます。


以上