中国現地法人の持分譲渡と利益配当の送⾦に関する注意点
- 当社のグループ会社の所有している中国現地法人(100%独資企業)を事業から撤退させるため、持分譲渡を当社が引き受けることになりました。その譲渡手続きを終えてから、当該企業の利益配当を送⾦したいと考えています。何か注意する点があれば教えてください。
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中国国内に機構・場所を有しない非居住者企業が、中国国内に源泉を有する利益配当を取得した場合、企業所得税が源泉徴収され、通常の所得税率は 20%(中国企業所得税法第 4 条)となりますが、外資系企業は実施条例第 91 条により 10%に軽減されています。
日中租税条約でも利益配当の制限税率は 10%となっています。
※利益配当の対外送⾦に対しては、企業所得税(10%)の源泉徴収課税のみで、増値税は課税されません。
また、株式譲渡(持分譲渡)には株式譲渡取引税(税率 20%)が課されます。
株式譲渡時に未配当⾦があれば、税務局は譲渡価格にかかわらず、未配当⾦を含めた譲渡代⾦を査定して譲渡価格とし、20%の譲渡取引税を徴収します(一般的には純資産(実収資本)+未分配利益を譲渡価格とし、20%の譲渡所得税が課されます)。
貴社が想定しているように、株式譲渡を⾏って先に株主を変更すると、新株主として貴社が引き継いでから配当を⾏う場合、新株主は配当所得の送⾦に 10%の税率で源泉徴収されることになり、税⾦を 2 回、支払うことになります。
したがって、株式譲渡(持分譲渡)手続きを実施する前に利益配当の送⾦を⾏うのが一般的です。